はじめる

#あいつ

読んでると、
思わず胸がギュッとしめつけられる、
そんなポエムを集めました。

全434作品・



「やるよ」


「え」


「上手く出来たからご褒美、な」



私ははじめて


柔らかく笑う世名を知った。



「これ…いいの?」


「いらねえなら、捨てろ」


「やっ、やだ、いるっ」



世名からのプレゼント…


自然と零れ落ちる笑顔。



ふと世名の視線に気が付けば


彼も目を細めて私を眺めていた。



世名ってこんなふうに笑うんだ。



とくん、とくん


優しく響く胸の音は


急いていく。




【Looking for Myself 分岐にゃん編~第六話~手料理】


沢山の買い物袋を腕に提げ


更には調理器具の入った、


袋を両手に抱えた世名は


家の前で悪戦苦闘。


何をあたふた


しているんだろう。


しばらくその様子を眺めていると


呆れた世名の声が飛んできた。


「気が利かねえな、おい、ポケットん中」


「え…何?」


「鍵っ、早く。フライパン落っこちる」


声色の変わらない世名が



表情のある声を出す。



その事が嬉しくて


自然と笑みを漏らしながら


私は世名のズボンのポケットに


手を忍ばせた。



「何笑ってんだよ、気持ちわりぃな」


「え、なんか嬉しくて」


そう呟くと、世名は


何を勘違いしたのか



「……なんだ、わいせつ罪かよ。そこらのオヤジと一緒じゃねえか」


と、白い目で私を見下ろした。


「え!?ちが、違うよ!世名のおしり触ったって嬉しくもなんともないっ」


「……俺の尻は高えんだぞ」


「いくらするの?」


私は真顔でそう聞くと


鍵をつまみ上げて


世名宅のドアを開けた。



荷物の多い世名の為に


ドアを押さえ続けるけれど


彼は一向に部屋に入る気配がない。




「世名?」


彼の顔をふと見ると


私の顔を呆けて眺めていた。



その目には


うっすらと涙が窺える。



「え……なんで、泣いて」


思わず口にしてしまった驚きに


我に返った世名は


「なんでもねえよ」


小さく呟くと


家の中へと吸い込まれていった。



世名。


どうしたの……?


きゅっと、


摘まれたように


胸が痛くなった。



世名の後を追い、



少し遅れて入った部屋。



世名は冷蔵庫から


未開封のビールを取り出す。



その数や、


1、2、3、4…


どんどん増えていく。




「世名…まだ午前中だよ」


「あー?だから?」


「昼間からそんなに呑むの?」



素朴な疑問を


投げかけたつもりだった。



ところが世名は


大きなため息を付きながら


呆れたように目を細める。



「え、何?」


「マヤが食材こんなに買ったから、ビール冷やしてらんねえんだよ」


「あ……そっか」


「…ったく」


ぶつぶつと文句を独白しながら


冷蔵庫整理を始める世名の


横顔を盗み見ると


世名の目にもう涙は窺えない。



どうして


あの時、涙ぐんだのか


その理由は気になるけれど


それよりも今は


世名の涙が乾いた事に


胸は撫で下ろされる。




フライパンにお鍋


フライ返しにオタマ


計量カップに菜箸


真新しい調理器具。



なんだか


新婚さんみたい。



もう、とっくに


どこかへ追いやった、


いつか見た夢……


偽りでも


幻でも


勘違いでも


嬉しい。



「ねえ、世名」


「なんだよ」


「美味しいの、作るからねっ」


私が力んでそう言うと


きょとんと目を据えて


「まあ…せいぜい頑張れ」


やがて世名はそう言った。






料理には多少自信がある。


母が料理教室の先生だった。


小さな頃から


家庭料理を一緒に作ってた。




血色の悪い世名…


きっと普段から


ろくなものを


食べていないんだろう。



せめてもの


泊めてもらったお礼だ。



メニューに悩んだけれど


オムライスと


ミネストローネ


サラダ。


張り切った割には


普通のご飯。



時間はもう一時近い。


お昼も過ぎた朝ごはん。




世名は


料理の匂いに誘われて


自傷器具だらけだった、


あの机へと着席した。




「へぇ、見た目はまあまあだな」


「そう?」


「見た目は、な」


褒められて


声が上擦ったと知るなり


毒を吐く世名。


ほんと、素直じゃない。



「いただきます」



その声を合わせて


オムライスをすくい


口の中へ放る。



モゴモゴと


口を動かす世名は


何も言わないけれど


進む食が「美味しい」を物語る。



伏し目がちにその様子を見て


その愛らしさに私は微笑んだ。



あっという間に


全てを食べ終え


意外にもしっかりと


手を合わせた世名が言う。



「まずくはなかった、ごちそうさん」



ごちそうさん、


その言葉が掻き立てる…


ふつ…


ふつと


湧き上がる幸せ



父の挨拶は


おはよう


くらいしかなかった



ごめんも、


ありがとうも、


いただきますも


ごちそうさまも


要求するだけで


自分からは一切、言わない。



食卓はいつも


お葬式のように暗かった。



母はいつも


父の顔色を窺う。



私が理不尽に叱られていても


助け舟が出たことは


数えるくらいしかない。




いじめられて


起立性調節障害になり


鬱状態が続き


自傷行為を


繰り返すようになった時



話を聞こうともせず


学校に行けないのは


マヤの弱さだと


変わらずに怒鳴り散らす父親と


腫れ物のように私を見る、


母の目が痛くて



ああ、私は一生


この家族からは抜け出せないと


人並みの幸せは無いんだと


そう、思っていた。




世名の「ごちそうさん」を


聞いた瞬間


呪縛が溶けた気がして



ずっと、このまま


この時が続けばいいのに。



そう思う…。




「マヤ」



ふいに世名が私の名を呼ぶ。


世名に視線を投げると、


彼はソファの後ろから


取り出した紙袋を私に放った。



「何?」


驚いて世名を見れば


そっぽを向いて


照れくさそうに世名は言う。



「やるよ、中見てみろ」


そう促されて、


首をかしげながら


紙袋の中を覗いた。



「わぁ……っ」



中には、女の子用の


服が入ってる。



私は驚いて世名を見つめると


“どうぞ”とジェスチャーが成され



「飯…上手く出来たから、ご褒美な」


世名ははじめて


私の前で柔らかく笑った。


可愛い八重歯が覗く。



私は世名につられて笑顔になると


ガサガサと中身を広げた。




ベージュの

マキシ丈のフレアスカート。


白のノースリーブシャツ


黒のシースルーカーディガン。


裾にはレースがあしらわれている。



可愛いけど


大人っぽいセンス。


こんな服、着たことがない。



「これ…いいの?」


「やっぱあいつの服じゃ嫌だろうから」



今朝、手渡され


私が着込んだこの服の持ち主。



あいつ、


そう言えるだけ、


関係の深い女性。


それは一体、


誰なんだろう。


あがっては落ち、の


落ち着かない私の心模様。



「……ありがと」


私はきゅっと


世名からの服を抱き締める。



「なんだぁ?嬉しくなさそうだな。ゴミ箱はそこだ。いらねえなら、捨てろ」


世名はまたそんな悪態で悪ぶる。


「や、やだ、いる!」



「最初からそう言えよ。俺が誰かにわざわざ何か買ってやることなんてそうある事じゃねえぞ」


「レアなの?」


「おー」


気のない返事をした世名は


さっき出していたビールを


やっぱり真昼間から嗜む。





世名からのプレゼント…


自然と零れ落ちる笑顔。



ふと世名の視線に気が付けば


彼も缶ビールを片手に


目を細めて私を眺めていた。



世名ってこんなふうに笑うんだ。



とくん、とくん


優しく響く胸の音は


急いていた。



幸せでほんの少し切ない。



これ、勘違いなんかじゃないや。



一夜にして私は


世名に恋をした、らしい。



離れたく、ない。



そんな想いから


独白のように呟く。




「世名…」


「あー?」


「しばらく…ここ居てもいい?」


「飯炊きと抱き枕、やれよ」


「……うん」


抱き枕、その言葉に


とくんと、心臓が、跳ねる。




「交渉成立」



世名は


こくんとビールに喉を鳴らし


不敵に微笑んだ。

ひとひら☘☽・2020-05-03
幸介
幸介による小さな物語
LookingforMyself
LookingforMyself~分岐にゃん編
微笑み
笑顔
独り言
物語
小説
自殺未遂
自殺志願者
死にたい
穏やかなひととき
あいつ
プレゼント
洋服
生命
見つけた
片想い
好きな人
幸せとは
ポエム



あいつが幸せになりますように__。

華輝・2020-06-15
好きな人
大切な人
そばにいさせてください
あいつ
幸せに
ポエム
?‪w
独り言
NOTE15の日

あいつを幸せにするために

早く大人になりたい

涙色の花束・2020-03-29
~男子目線の恋愛ポエム~
あいつ
幸せ
早く
大人
好きな人
愛する人
恋愛
片思い
思い
想い
叶わぬ恋
叶わない
叶わない恋
いとおしい
愛らしい
恋しい
好き
大好き
ポエム
独り言
呟き

これらの作品は
アプリ『NOTE15』で作られました。

他に434作品あります

アプリでもっとみる

あの子が嫌い

この子が嫌い

あいつが嫌い

こいつが嫌い


でも1番嫌いなのは

何もできない「弱い自分」

Aimy☪︎* ヘッダーニスキクダサイ♡・2020-04-11
独り言
あの子
この子
あいつ
こいつ
弱い自分
弱い
自分
1番嫌い
何もできない
弱虫
役立たず
大嫌い
病み
人のせい
責任
ポエム?
嫌い
存在価値

私の大切な人、

それは
お前じゃなくて、

あいつでした___。

上山凛(13) 元上野凜花・2020-06-02
大切な人
お前
あいつ

愚痴を言うための

口じゃない。

なのに人は、また今日も

人を馬鹿にするんだ。

瑞穂みずほ・2020-05-08
独り言
あの日に戻りたい
あなたは知らない私の気持ち
僕と君との物語
ポエム
幸せとは
愚痴
馬鹿
友達
あいつ

僕は君に手を差し出した

でも君は、

あいつの手を握り

あいつと共に

消えていった。

あかり・2020-06-25
失恋
好きな人
さようならを
ありがとう
あいつ

【なんでだろ?】
なんで?忘れたはずなのに
あいつの名前に反応する。

No.316

菜乃夏・2020-05-29
恋愛
ポエム
なんで
なんでだろ?
忘れたはず
忘れた場合
アイツ
あいつ
名前
反応する
反応

僕はいじめを
無くしたい訳では無い。
いじめの苦しさをあいつらに
味合わせて
やりたいだけなんだ__。

結城 星流.・1日前
いじめ
辛いんだよ
死にたい
お前らに
あいつ
ウザイ
僕の声よ
届いて
独り言
苦しさ
逆襲
反抗


最近良く考えればなんか心がムズムズする。
"あいつ"
の事を考えるとそしてドキドキする。のかもしれん、。

Rico🍎🐣☁️・2020-03-14
あいつ

私が死んでも、
あいつは、悲しくないだろう。
むしろ、満面の笑みで、
一言だけ言うだろう。
 ああ、良かった、 と。

上山凛(13) 元上野凜花・2020-06-07
ネガティブ
あいつ


心に残る深い傷
私が入院した事を嘲笑ってたんでしょ…

miria🥱・2020-06-17
辛い
嫌い
あいつ

あーあ、
明日、部活ないのに
生徒総会の
リハーサルがある…

嫌やよー!

あいつと一緒に帰れるかな…?

上山凛(13) 元上野凜花・2020-05-27
生徒総会
リハーサル
嫌や
あいつ
一緒に
帰りたい



あいつと通話した
いつもよりたくさん話したし
いつもよりたくさん笑ってた
でも話の流れ的に呆れられたかもな


駄目だと思うこととか
ちゃんと注意してくれて
駄目なことに気づけたから
良かったけど
ちょっと凹んだし
傷ついた

“すげー人とか言ったけど
全然ちがったわ”とか
そんなこと言われても困る
もとからすげーひとじゃないのに
勝手に期待すんなよ


私はまだ好きだけど
あいつはもう私のことは
好きじゃないんだろうな



やっぱり通話は迷惑だったかな
でも久しぶりの通話で
仕事忙しくて
朝が早いのに
1時間以上も付き合ってくれて
あいつなりの優しさなのかな



手けがしたって言うから
大丈夫?痛そうだけど って
言ったら
痛いけど平気 とか
そっちも風邪ひかんでよって
言ったら
ひくわけねぇだろ とか
なに強がってるんですかー?


tweetしたこと気にして
“好きな人できたの?”
とか聞いてきて
何で?って言ったら
“いや、思い出したから”って
めちゃ気にしてんじゃん!!


ナンパされたことも話したら
どんな人だった?とか
それは災難だったねとか




あれ?私の勘違い??



喉痛いって
ただの風邪だから
大丈夫って言ったら
周りに迷惑かけんなよって
いや、外出控えてるし
仕事以外 外出 してねぇわ
なんなら職場でもらったよ?
この風邪みたいなやつ





だって最後なんて言ったと思う??
あれだけコロナの話して
注意して勝手に呆れたくせに
幻滅したなら
ほっといてくれればいいのに




コロナにかかるなよ
絶対死ぬなよ ってさ、




心配してくれてるんですか?
また会いたいとか
思ってくれてるんですか?



わかりにくいんだよ、バーカ

ayk・2020-04-05
通話
あいつ
って言ってるけど
実は
好きな人
ばか
だいすき

あの時高校辞めなくてよかったな

いますごく楽しい

私は今、幸せよ

はるた・2020-06-25
学校
やめる
辞めない
諦めない
あいつ
ありがとう
幸せ

他に434作品あります

アプリでもっとみる

その他のポエム

愛するということ
1363件

独り言
545881件

ポエム
314066件

257889件

好きな人
130324件

辛い
67417件

19793件

好き
136751件

自己紹介
39875件

恋愛
105267件

片想い
138859件

片思い
118779件

24792件

あなたに伝わりますように
3712件

先生
65972件

失恋
59646件

死にたい
32689件

大好き
61464件

43403件

友達
41731件

病み
46317件

すべてのタグ