はじめる

#LGBT

読んでると、
思わず胸がギュッとしめつけられる、
そんなポエムを集めました。

全3420作品 ・

好きな人が女の子だったら
ダメなんですか?

男の子じゃなきゃ
ダメなんですか?

それが普通だからですか?

普通に従わなきゃダメなんですか?

ෆ̈🧸月愛☕𖠚ᐝ・2020-03-27
LGBT
女の子と男の子
100人!
200人!!

【RealMe~性別のない人 第六話 性って、なんだ】




「は!?想!?おま、なんで」


「あー……えっと、その」


口ごもって


どう切り抜けるか悩んだ挙句


俺は愛想笑いを千祐さんに向けた。



それでも千祐さんは


驚いて言葉が出てこない様だ。


沈黙が……痛い。


いたたまれない…。


逃げたい。


額に汗が湧いた。



「あのねぇ」


その時、コウコさんが


俺の肩に触れて笑う。


「千祐と同じ、お手伝いに来てくれたの、ね、想ちゃん」


間近でコウコさんの顔を見ると


ウィンクで目配せ。


話を合わせろって事か。


恩に着る……。



「あ、はい、手伝いに…」


「あーそうか。ご苦労さん。でもな、想」



千祐さんは腰を折って


コウコさんを見つめ


からかうように言った。



「コウコにいい様に扱われんなよ、こう見えて人遣い荒いんだから」


「えっ、そうなんすか」


「最初だけだぞ、いい人なの」


「えー……?」


何と答えていいやらわからず


伸ばした音をコウコさんは


勘違いしてしまったらしい。



「もう、想ちゃんまで…!千祐も紗季も私に何の恨みがあるわけぇ」


「俺にあんのはコッコへの愛情なんだけどな」


紗季さんが言う。


「だったらもっと優しくしてよ」



コウコさんが唇を尖らせると


千祐さんは彼女の前で


四股でも踏むように


大股を開き両手を広げた。



「よし来た!俺の胸に飛び込んでこいっ」


「千祐には言ってない」


コウコさんが

冷たく言い放つと

三人は目を見合わせ


大きく、一笑した。



とても、仲良しだ。



そんな三人を見ていると


緊張もほぐれて



周りを見渡す余裕が出来た。



ふと聞こえてくる会話に


そちらを振り返る。



「あーくん、飲み物♪」


「おー、ありがとな結奈」


「ねー、今度温泉行こうよ温泉、美容に効くとこー」


「いいけど、部屋風呂な。これ条件」


「もー、また変なこと考えてるでしょ?」


「結奈だって変なこと好きなくせに」



普通のカップルに見えるあの二人


注視して見れば背はとても低い。



きっとあの、


髭を生やして彼女と笑う男の人は


元女性なのだろう。




気付けば


あっちの男性同士は


手を繋いでる。



ベンチでは


女性同士が寄り添い合う。



みんな、形が違う。


それでもみんな笑顔だった。




こうして


男と女って概念を持たず


当たり前に人と人が


自由に愛し合える場にいるだけで



不思議なことに


俺が今まで悩んで来たことは


なんだったんだろうと思う。




性って……なんだ?



答えの出ない疑問符が



そこにはあった。











「いいか千祐、ちゃんと想ちゃんのこと送っていけよ」


「わかってるって」


「想ちゃん、もしよかったら来週も手伝ってね」


「うっす、また来ます」



午後八時


「ジェンダーレスの会」は


お開きになった。



皆、それぞれの場所へ帰っていく。



俺は仲良さそうに


繁華街へ消えていく、


コウコさんと紗季さんに手を振る。


このまま車を停めて


食事をしに行くらしい。




ふと、真横を眺めると


千祐さんが泣き出しそうな顔をして


コウコさんを見つめていた。



ちくちくと内部が痛む。


心が蝕まれていく気がした…。



「千祐さん…あの」


「あ、おう、なんだ想」


「千祐さんって…コウコさんの事好きなんすか」


「なっ、そ、そん、そんなわけ、なっ」


しどろもどろの千祐さんの顔は

見る見るうちに赤く変色していく。



あーあ、やっぱりね。


「わかりやす過ぎますよ」


俺は千祐さんを見つめて、苦笑する。


すると千祐さんは


「あー…」


バツが悪そうに唸ると


「なんでバレちまうんだろ」


頭を抱えてしゃがみ込んだ。




バイト先では


いつも飄々としていて


人の意見に左右されない


正義感も責任感もある


呑み屋のフロアで


絡む客にすんなりと


頭を下げられる、


強さも頼りがいもある人。



こんな弱々しい千祐さんを


見るのは出会って一年…


はじめてのことだった。



放っては帰れない。


俺は後を追うようにしゃがみ込むと


躊躇いながらも


千祐さんの頭に手のひらを伸ばした。


そして、ゆっくりと撫でる。


「話……俺でよければ……」


吐き出す息も

告げる唇も

撫でる手のひらも

小刻みに震えた。


感じた千祐さんの温もりは


とても、愛しい。


「想…、俺はさ」


「はい」


「兄貴も、コウコも好きなんだよ」


「はい」


「だから…幸せになって欲しいんだ」


千祐さんの言の葉は


ひらひらと宙を舞う。


切なくて、苦しい。


千祐さんのそんな想いが


胸に突き刺さった。



どのくらいの時間を


そうして過ごしただろう。


やがて千祐さんは


「……想、時間あるか」


「親に、連絡すれば」


「じゃあ、ちょっと付き合え」



俺を、誘った。


【RealMe~性別のない人 第六話 性って、なんだ(終)】

ひとひら☘☽・3日前
幸介
幸介による小さな物語
RealMe~性別のない人
小説
物語
トランスセクシュアル
幸介/性と言う名の鳥籠
ポエム
MTF
FTM
ゲイ
レズ
バイ
LGBT
トランスジェンダー
好きな人
学生
性別違和
悩み
差別のない世界へ
片想い
好き
もしも魔法が使えたなら
独り言
人生

好きなものを好きって言えないのに

嫌いなものは嫌いって言って良い

なんて惨い世界なんだろうか

それでも、踏ん張って生きてる君に

自分の為に溢せる涙を

心から笑える笑顔を

瀬斗風 欄・2020-03-27
LGBT
LGBTQIA
独り言
差別
独り言
死にたい
死にたい人へ
ポエム
いじめ
こころの日記
もしも魔法が使えたなら
いつか
君に会えたから
世界



【Real Me~性別のない人 第五話 ジェンダー・レス】



それは指定された、


土曜日の夕方だった。



俺が半信半疑のまま、


玄関前の石段に座っていると


ピンクパールの軽自動車が


颯爽と現れた。



コウコさんだ。



「想ちゃん!」


「うわ、ほんとに来た…」


「え、何その反応!」


コウコさんは驚く俺を見つめると


カラカラと笑ってみせてから


小さな軽自動車のドアを


車内から押し開けた。



「どうぞー、乗って、乗って」


「うっす…失礼、します」



コウコさんの甘い香りが


鼻をくすぐる。


「あ…」


思わず声に出た感嘆を


コウコさんは拾い上げた。



「ん?何?」


「あ…いや、コウコさん、いい香りだなって」


「ほんとー?」


「甘くて可愛い匂い…コウコさんにピッタリ」




そう言葉にすると、


コウコさんは嬉しそうに微笑む。




「嬉しい。この間のホワイトデーの時に、彼からもらったの。クリスチャン・ディオールの香水。ダッシュボードに入ってるよ、見てみる?」

「いいんすか」

「もちろん」


弾むような声に促されて


ダッシュボードを開く。


四角い瓶の中には


淡いピンク色の液体。


蓋にはコロンとした、


りぼんがあしらわれている。


「かわい……」


いつも友達と


男性用の香水を見に行くと


いつもその隣の


ショーケースの中で


女性用の香水がキラキラと


輝いている様に見えた。



何度、あの真ん前に立って


テスターの香りを


確かめたいと思っただろう。



まさか自分が


女物の香水の瓶を


手にする日が来るなんて。


俺はコウコさんの香水を


包み込む様に持ち


その重さを両手へと刻む。




「想ちゃん、それ、振ってみてもいいよ」


「え!?そんな、だって、彼氏からのプレゼントだし」

「少しなら平気よ?」


「でも、俺にはこんな甘い香り……」



似合うわけない。



「見せてくれて…ありがとうございました」


曇った表情を悟られまいと


笑顔を取り繕い


俺はコウコさんの香水を


再びダッシュボードの中へ


しまい込んだ。



しばらく


無言のまま車は走る。



やがてカッチカチという音と共に


「着いたよ」と声が聞こえて


俺は顔をあげた。



「ここって…」


そこは隣町に新しく出来た、


多目的ホールだった。



コウコさんは

駐車場に車を停めると


「ちょっとごめんね」


そう言って運転席から手を伸ばし


ダッシュボードを開いて


先程の香水を探し当てる。


ぽん、と蓋をとったかと思えば


しゅっ


コウコさんはそれを


俺の襟元に一度、吹きかけた。



「あっ…」


心地いい甘い香りが


鼻を掠めて心臓が跳ねた。



「想ちゃん」


「はい…」


呼ばれて見上げたコウコさんは


笑顔でこう告げた。


「冒険しなきゃ!」


「冒険……?」


「そう、冒険。少なくてもここにはね、想ちゃんの知り合いもいなければ、想ちゃんが抱えてる問題を笑う人もいないと思う」


「え…?」


「さ、じゃあ行こっか♪」


コウコさんは弾むようにそう言うと


俺の手のひらを引いて


多目的ホールへと入っていく。



ひとつ、動作する度に


女の子の香りが漂う。


これは


俺を包む匂いなんだ。



そう思うと


心が、くすぐったい。





促されるまま靴を脱ぎ


スリッパを履いていた俺の目は、



ホワイトボードに釘付けられた。



そこには


今日、多目的ホールの使用許可の降りた


団体の名前が時系列順に並んである。



今の時間は午後五時…


視線をスライドしていくと


「ジェンダー・レスの集い」


と書かれてあった。



「ジェンダー…レス?」


「うん私がね、高校の頃の友達と立ち上げたの」


「え?」


「行こっか」


コウコさんの優しい手が


俺の背中を押す。



多目的ホールの一室


16畳ほどのフローリングの部屋に入ると


沢山の人がガヤガヤと談笑していた。



俺は借りてきた猫のように


小さくなった。


一体、ここはなんだろう。




コウコさんは


そんな俺の手を握り締めると


勢いよく人混みに入っていって


「こんばんは調子はどう?」


なんて笑顔を振り撒いた。


そこにいる誰もが


コウコさんコウコさんと


彼女を慕っているようだ。


そのうちコウコさんは


一人の男性のところへ


俺を引っ張っていった。



「あ、いたいた、紗季!」


「コッコ、お前遅いぞ」


「ごめんごめん」


紗季、と呼ばれた男性は


とてもスマートに


コウコさんと俺に


ジュースを手渡してくれた。


「コッコ、もしかしてこれが千祐の?」


「これ。とか失礼な言い方しないでよ」


「あーごめん」


バツの悪そうな顔をして


紗季さんは頭をかきながら


俺に優しく笑いかける。


「俺、千祐の兄貴」


「千祐さんの……」


「そ、そんでコッコの大好きな彼氏!」


「変な紹介の仕方しないでよ」


コウコさんは

恥ずかしそうに顔を赤らめたけれど

否定はしなかった。



紗季さんの肩に


自然に触れるコウコさんの指先。


絵になるような綺麗なふたり。


何が綺麗って、

見てくれだけじゃない。


きっと、


強く結ばれた心を感じるんだ。


俺も、コウコさんのように


自分の心に素直に生きられたら


こんな幸せそうな顔が出来るのかな。





そんな事を思いながら


二人の姿に見蕩れていると


コウコさんは口を開く。


「ねえ、想ちゃん、あのねここにいる人たち全員、性別違和を抱えてるの」


「え…?全員?」

「そうなの、レズやゲイやバイって言われる人たちもいるし、私たちのようにMTFやFTMもいるよ」

「こんなに…いっぱい…?」

「男や女、その常識がね、事実に蓋をしてしまうけど、私たちみたいな人間も、世の中にはたくさんいる。みんな言えないだけ。その事を想ちゃんにも知って欲しかったの」


コウコさんの言葉が

心の奥底を震わせる。


まるで心地いいお湯の中に


身を漬け込んだような気持ち。



独りじゃない


そう言われているみたいだった。



「だからね、私は」


コウコさんは紗季さんと


笑い合い、


その場に集まった人達を


そっと見つめる。





「鳥籠みたいに私たちを閉じ込める、性別を無くしたいの」




凛としたコウコさんの表情が


俺の脳裏に、しっかりと焼き付いた。





「俺の彼女、すんげー男前だろ?」


紗季さんは、いたずらっぽく笑う。


だけどなんだかその姿は誇らしげだ。



「もう!また男前とか言う!!」


「かっこいい女ってことだよ」


「絶対うそ!」


じゃれ合うふたり。


幸せそうな二人の姿を


しばらく見つめていると



「ちぃーす」


また誰かがホールに来たらしい。


声の方を向くとそこには


千祐さんの姿があった。


な、なんで!?


俺のこと知ってる人なんか


いないってコウコさん言ったのに!




混乱した俺は


さっとコウコさんの影に隠れる。


コウコさんは

やれやれと息をついて


俺を隠したまま


千祐さんに声をかけた。



「千祐、こっちこっち」


「おーコウコ」


「おい、俺もいるぞ」


「あー兄貴じゃん、コウコと比べてちいせぇから気づかなかった」


「気にしてることをズケズケとっ」


「紗季が言うことじゃないでしょ!さっき私になんて言ったのよ」



千祐さんはけたけたと笑いながら


背負ってきたリュックを下ろし



とうとうコウコさんの


足元の後ろに隠れた、


俺の足に気が付いた。



「あれ?新人?」


「うん、想ちゃん」


「想ちゃん?あー、俺の職場にも“ 想”って……」



コウコさんの後ろを


ひょいと覗いた千祐さんは


あんぐりと口を開けるほど驚く。




「は!?想!?おま、なんで」



どうしよう、


なんて言ったらいいんだ



脳みそがぐるぐる


目の前の千祐さんが


幾重にも重なって見えるようだ。


こんなピンチも早々ない。


泣きそうだ。



ぶっ倒れそうな体を支えて


とりあえず俺は…


千祐さんに愛想笑いを


向けたのだった。


【Real Me~性別のない人 第五話 ジェンダー・レス(終)】

ひとひら☘☽・2020-03-25
幸介
幸介による小さな物語
RealMe~性別のない人
ジェンダーレス
トランスジェンダー
トランスセクシュアル
MTF
FTM
LGBT
幸介/性と言う名の鳥籠
好きな人
願い
もしも魔法が使えたなら
常識
悩み
苦しみ
辛い
性別違和
独り言
ポエム
小説
物語



【Real Me~性別のない人 第七話 交差】



千祐さんが俺を誘ったのは


行ったこともないような


小洒落た料亭だった。


しかも下手したら正座した膝が


ぶつかるような


小上がりの小さな個室だ。



正直、心臓が


いくつあっても足りない。


「ここ、落ち着くだろ?」


千祐さんはおしぼりで


手のひらを拭きながら


そう笑った。


「は、はい」


内心、落ち着かねーよ


と思いながら相槌を打つ。


「なんか食べたいもんでもあるか」


「そう聞かれても…こんなとこ来た事もなくて」


「じゃあ適当に頼むぞ」


「うっす…お願いします」



千祐さんは手慣れた手つきで


定員を呼ぶと


あれこれと悩む事もなく


注文した。



その姿はやっぱり


同学年の友人とは違い


スマートで、とても格好いい。



目がハートになる、なんて


表現があるけれど


まさにそれだ。


思わず見惚けていると



俺の様子に


気がついた千祐さんは失笑した。



「おい想、どうした?よだれ出そうだぞ」


「はっ!?よだ、あ、すんませんっ」



俺が慌てて口元を拭うと


個室いっぱいに


千祐さんの笑い声が響き渡る。



「いや、冗談だよ」


「ひ、ひど…っ!」


「なーに?そんなに俺いい男?」



それがジョークで


飛ばされた言葉であることくらい


わかっていた。


わかっていたけれど


飲んだこともないくせに


店の大人な雰囲気に酔ったみたい。



「か……かっこいいっすよ……、千祐さんは…すごくすごくかっこよくて、俺の……」


好きな人、と言いかけて

我に返って言い換えた。




「…憧れっす」



顔が見れない。


長い沈黙が続く…。



やっぱり


男からこんな事言うの、


おかしかったのかな。



普通の感覚がわからない…。




仕方なく俺はうつむき加減で


店員が置いていったお冷に


手を伸ばした。


「あ……」


その水には香りがついていた。


ほんのりと


レモンの味が口に広がる。


きっとピッチャーに


レモンを入れて作ったに違いない。


これにミントをプラスしたら


酒やニンニクの効いた料理を出す


バイト先の店のサービスとして


いいもてなしになるかもしれない。


俺は、ついさっき口走った事も忘れて


俯いていた顔を上げ興奮気味に言う。




「このもてなし、いいっすね、ミントプラスしてうちの店でも取り入……」


ところがだ。


千祐さんを見れば


挙動不審に目を動かしながら


赤面している。



「え?な、なんすか…?」


「お前が……有り得ねえ褒め方すっから…調子狂ったんだよ」


「褒め方?」


「あ、憧れ……とかなんとか……言ったろうが」




やばい、


普段大人で


さっきまで


すごくスマートで


かっこよかったはずの


千祐さんが


可愛い……。


「ほ、褒められ慣れてねえんだよ……」



心臓が、きゅきゅん、と跳ねた。



「な、慣れて無さすぎでしょ、そんな」


「おう、そうか…そうだな」



頭に血が上る。


これじゃあ2人揃って


茹で蛸だ。



俺がまた


レモン水に手を伸ばすと


千祐さんも俺に


倣う様にそれに口をつける。



一口、二口と進むうち


天の助けだ。


料理が運ばれてきた。



とても綺麗な料理ばかり。


気まずい空気が一変する。



千祐さんは獺祭を1杯頼み


チビチビとやりながら


料理に舌鼓を打った。



「お前も早く酒くらい呑めるようになれよ」


「呑みたいけど、法律が」


「昔は結構違反もしたけどな」


「そうなんすか?」


「俺なんか、スポーツ優等生の兄貴と違って、ヤンキーだったから真っ当な道歩んでねえし、余計かな」


千祐さんの遠い目に哀愁を感じる。


掛ける言葉が見つからずにいると


千祐さんの方が俺に尋ねた。



「想はこういう店に連れてきたい女いんの?」


「いないっすよ」



咄嗟に


奈々の存在を隠した。



隠したとして


何になる……?


素直になる気のない「俺」は


千尋さんの中で「男」なのに。


我ながら呆れて自嘲を漏らしたが


千祐さんには


違った意味に見えたらしかった。



「女いねえくらいで腐るな腐るな」


「腐ってなんか…ないっすよ」


「でもなぁ、俺が想くらいん時は、女と遊びまくってたもんだけどな」


千祐さんは、


いたずら少年のように笑う。


若い頃の千祐さんの話は貴重だ。


好きな人の、過去。


知りたくないけど…知りたい。



「えー?そんなにっすか?」


「最高、何人だ、えーと…同時に5人!」


「ご、5人……相当っすね、バレたら修羅場とか思わなかったんすか?」


「その頃は、そこまでの頭なかったな。でも結局バレて女結託して、5人から平手打ち食らってジ・エンド」


「うわぁー…千祐さんって遊び人だったんすね」


「その頃は……な」



それまで身振り混じえて


けたけたと笑いながら


当時の様子を


教えてくれていた千祐さんの目が


突然、変わった。


ぐい呑みに注がれた獺祭を


見つめて、物思いに更ける。



やがて、千祐さんは語り始めた。




「コウコはさ……元々、馬鹿でかいけどなよっちくて、気持ち悪い幼なじみ位にしか思ってなかったんだけど、いつの間にか兄貴と付き合ってて、心ん中は女だって言うじゃん、それからはどんどん…綺麗になって、隣で支えてる兄貴を羨ましいと思うようになって…気がついたらコウコから抜け出せなくなってた」



独白のように語る千祐さんの言葉が


矢と化して俺の心をいちいち的にした。


命中、命中、命中の百点満点。


切ない想いが、伝わって


俺の心まで悲しみの底に落ちてくようだ。



「高校時代、遊び人で通した俺がよ?コウコが好きだって自覚してから、コウコ一筋。一途。オンリー。笑っちまうだろ、あいつ、元々男なのにさ」


違う


違うよね千祐さん。


本当はわかってるはずですよね。



ぐっと握りしめた拳。


俺は震える声を絞る。



「コウコさんは元々、女の人っすよ……」


だってコウコさんは言ったんだ。


女の体を取り戻したいんだ、って。


彼女を好きだという千祐さんに


彼女が元々男だなんて


例え強がりだとしても


言って欲しくなかった。





千祐さんは



呆然と俺を眺めていた。



呆れられているのかもしれない。


なんせ千祐さんはバイト先の上司だ。


こんな生意気、許されない。


でも、もう止まらなかった。


「タラシから一途になれたんでしょ?千祐さんは、コウコさんを好きになって、まともんなったんすよ」


そこまで吐いて我に返る。

さすがにタラシだのまともだの


俺の言葉は失礼だと思い直し


千祐さんの顔色を窺った。


すると、千祐さんは


噴き出して大きく笑う。



あははははと声を響かせて


涙まで拭いながら笑った。



「し、失礼なこと、言ってすんません…」


「いやぁ?想の言う通りだよ」


そう言って千祐さんは


背の低いテーブルに


手をついて身を乗り出すと


俺の頭を優しく撫でた。



千祐さんの手のひらの重みが


ふわっと肌に広がる。


息遣いすら


鼻先に感じられる程の距離だ。


突然の事に頭の中は混乱状態だった。



「あ、やっ、いや、近っ、あの何…っ」



うまく言葉を発せられない俺に


千祐さんは今までに


見た事もないくらい


優しく微笑みかける。




「想」


「…は、はい」


「お前はいい子だなぁ…、ありがとう」




どうして礼を言われたのか


よく理解も出来なかったけれど


千祐さんが


とても素敵な笑顔で笑うから…


可愛い子、なんてずるい言い方するから


心臓は否応なく、跳ねた。












「今日はありがとうございました」


「うまかったかー?」


「はい、とても」


本当は心臓跳ねっぱなしで


料理の味なんて


ちっとも覚えていない。


美味しかったとすれば


千祐さんを独占出来た、


この時間のことだなあ


そんなこと考えて


俺は一人、羞恥に赤らむ。



「想、あのさ」


夜中の街を歩きながら


千祐さんは言った。



「なんすか」


「コウコはもう兄貴のもんだからさ、俺は口が裂けたって好きだとは言えねえけど」


「はい」


「お前は正直でいろよー?感じた時に正直でいねえと後で後悔すっからさ…俺みたいに」


眉間いっぱいに皺を寄せて


切なそうに笑う千祐さんが苦しい。



「千祐さんには…幸せになってほしいです」


俺は呟く。


「おー、俺は幸せよ?」


本当は泣きたいくせに


だって声が震えてる。


「後はコウコと兄貴が入籍でも出来るようんなってくれりゃ言うことねえんだけどなあ」


嘘ばっかり。


本当は


ねえ、千祐さん


コウコさんが自分のものに


なればいいと思ってない?



自分の思いが伝えられない事より


今、千祐さんが


無理をして笑ってる事が切なくて


心が痛い。



溢れ出す気持ち。


どうにも出来ない違和感。


好きな人の辛そうな姿。


柔らかい体で


抱き締めて


癒したいのに。


俺の身体は


なんて、硬いんだろう。



頭の中がパンクしそうだ。



気がつけば俺は


大粒の涙を


アスファルトに落としていた。



千祐さんに見られて


理由を聞かれでもしたら


なんて言っていいのかわからない。



それでも涙は止まらなくて


困った俺は


その場にしゃがみこんで


顔を伏せた。



「お?どうした、想」


さあ、なんてごまかそう。


「想ー?」


考え込むうち


千祐さんは俺の名を呼び


そばにしゃがみこむ。


「き、気持ち悪く、なって」


捻り出した、苦肉の策。



千祐さんは失笑して信じ込み


「おいおい、呑んでもいねえのに、大丈夫か?」


俺の背中を優しく撫でた。



「しゃあねえなあ、ほら想、おぶってやっから帰って休もうぜ」


「は!?え、」


「気持ちわりぃんだろうが。遠慮すんな」


「でも…」


「いいから、早くしろ」


「……うっす」


体調不良なんて嘘つくんじゃなかった


この歳になっておんぶなんて。



後悔したって後の祭り。


俺は千祐さんの背に覆いかぶさり


首に縋る。


「重くないっすか」


「軽い軽い」





どこまで、優しいんだよ…。


じわじわと腹に感じる、


千祐さんの温もりが愛しい。



愛しい。


愛しい。


千祐さんが愛しい…。



交差した想いがひどく切なくて…



きゅっと縋り直した腕の力に


言えるはずもない、


想いの丈の全てを込めた。


【Real Me~性別のない人 第七話 交差 (終)】

ひとひら☘☽・1日前
幸介
幸介による小さな物語
RealMe~性別のない人
小説
物語
LGBT
トランスセクシュアル
トランスジェンダー
性別違和
悩み
思春期
女の子になりたい男の子
ジェンダーレス
独り言
ポエム
好きな人
幸介/性と言う名の鳥籠
想い
片想い
叶わない
願い
君と見たい景色
人生
もしも魔法が使えたなら

想い出の湖に 身を委ねて
ただ浸っていたい。

想い出に溺れてしまっても構わない。
目が覚めなくてもいい。

今は楽になりたい。

すずらん🌸🍎・1日前
LGBT
バイ・セクシャル
失恋
ポエム
独り言
バイセクシャル
同性愛

誰が誰に恋しようと関係ない

恋をすること自体が素敵な事だから

@ 濵 田 ノ ン 🏳‍🌈・21時間前
LGBT
LGBTQ
LGBTの理解者が増えますように。
LGBTIQ
Xジェンダー
Xジェンダー?
両性
中性
無性
不定性
はげちょろびん🌈の呟き

君の声を聞くだけで
心の底から安心するんだ

そこに言葉はいらないから
ただ笑ってて欲しい
これからもずっと僕の隣で

蓮。・2020-03-25
同性愛
LGBT
独り言
久しぶり

みんなそれぞれ色がある

自分は自分の色で

みんなにはみんなの色がある

@ 濵 田 ノ ン 🏳‍🌈・21時間前
LGBT
LGBTQ
LGBTの理解者が増えますように。
LGBTIQ
Xジェンダー
Xジェンダー?
両性
中性
無性
不定性
個性
はげちょろびん🌈の呟き

もしも魔法が使えたなら

きみの家の飼い猫になりたいな。

そしたら毎日きみに撫でてもらえる。

毎朝名前を呼んでもらえる。

ひっそりと泣くきみのそばに居てあげられる。

死ぬまでずっときみと一緒。

ずっとずっと愛してくれる。

僕の求める愛情とは違うかもだけど。

白詰草・2日前
もしも魔法が使えたなら
LGBT
LGBTQ
きみとともに。☘️
同性愛

思うんやけどさゲイとかレズとか言うけど

みんな恋して悩んでるのはみんな同じ。
絶対叶わない恋だってしてる人沢山いる。
そしたら性別関係なく身近な人に恋してるんだったら付き合えるのは0じゃないんだよ?

そあ ⸝꙳.‎˖⠔・2020-03-25
しょぉポエム
LGBT
レズ
ゲイ
恋愛

正直、告白しようかなと思ってる。
昨晩は考え込んで寝れなかった。
振られる未来しか見えないけど笑
でもそれでもいい。
突き放して欲しい。
優しさはいらないから。
これで最後だと思うとほんとに怖い。
怖くてたまらないけど


言わないで後悔は何度もしてきたから
言って後悔したい。

たぴお☀️・1日前
LGBT
告白
後悔
好き
恋愛
好きな人
片想い
後輩
じゃあな

LGBTがいてはいけない存在なら

どうして神様はLGBTを生んだの?

愛は愛だよ

それは変えられない

レディーレ・21時間前
LGBT
同性愛者

女装してる気分とか
男装してる気分だとか
女だと思うだとか男だと思うだとか
胸が大きいとか胸がないとか
子供を産むとか産まないとか
そんなことひとつひとつが嫌になる

ヨルト・2020-03-27
LGBT
不定性





✳︎LGBTQについて



【性自認】

自分がどちらの性であるか


【性的指向】

自分はだれにときめくのか



前々から興味があったので
脳科学の視点から調べてみました

皆さんにも共有します


✂︎キリトリーーーーーーーーーーーーーーーーー



€前視床下部間質核
(ぜんししょうかぶかんしつかく)


「性的指向」を左右する器官


男性の方が女性よりも神経細胞の数が多く

大きさも2倍以上あります


しかし同性愛男性の場合は

女性とほぼ同じ大きさ!




€分界条床核
(ぶんかいじょうしょうかく)


「性自認」に関わる部位


男性の方が大きい

(異性愛.同性愛に関わらず)


しかし男性から女性に性転換をした人は

女性のように小さいことが確認されています




€アンドロゲン


胎児自身の精巣から分泌され

胎児の脳を男性化します


女の子の場合は分泌されないので

脳の女性化が進みます


男の子の場合でも

アンドロゲンが十分働かなかったりすると

脳が女性化し

遺伝子上の性別との不一致を招きます

憂弦・3日前
LGBT
LGBTQ
同性愛
異性愛
性別
独り言

他に3420作品あります

アプリでもっとみる

その他のポエム

志村けん
1163件

志村けんさん
896件

独り言
461305件

君と見たい景色
1285件

志村けんさんありがとう
570件

コロナ
4289件

ポエム
257363件

コロナウイルス
4226件

218044件

自己紹介
34232件

ありがとう
31553件

好きな人
99325件

人生
17565件

好き
120482件

ご冥福をお祈りします
265件

恋愛
90107件

歌詞
84969件

SnowMan
3636件

片想い
121881件

片思い
103440件

辛い
54241件

すべてのタグ