同じ夕焼けを・2024-03-30
お子様ランチな恋
ドッチボール
14ー4
ボールが手から逃げるから
言い訳をします
キミはあきれて何も言えません
腕を組んで
右足のつま先で
トントンと地面を叩きます
ボクの頭の代わりに
地面が叩かれているみたい
とりあえず投げてみて
ボクはキミに向かって
ボールを投げます
14ー5
空に舞い上がったボールは
2メートル先で着地して
力なく転がってゆきます
ポーリング玉じゃないよ
キミがそう言うので
知ってるよ
と答えます
やっぱりキミは
体で覚えないと
ダメみたいね
そう言ったキミは
転がっているボールを
拾い上げて
力いっぱいボクに
投げつけます
14ー12
こんなカッコ悪い投げ方をしていた
なんだか恥ずかしくなります
大げさじゃない
軽く抗議すると
ホントはもっとひどいよ
さらに傷つけられます
キミはボクに
横に来るように言います
そしてキミの投げ方を
見るように言います
14ー9
キミは両手で頭を抱えて
どこをどう直せば良いか
分からないと言います
ここまでできないのは
やっぱり運命かな
ボクが言ったことと
同じことを言います
ボクの言い分が認められたのに
なぜか悔しい気持ちになります
14ー9
確かにさっきから
恥ずかしいことを言っている
ボクは自分の顔が
赤くなりそうなのに
気づいたので
何の匂いだったの
話題を元に戻します
キミは小さな瓶を
ボクの顔の前に
差し出します
瓶の中には
茶色の小さな粒が
入っています
匂いの正体は
この小さな粒
ボクはこんな小さな粒が
沢山の匂いを放つことが
スゴいなと感心していると
キミはこの匂いは
チョコチップクッキーだよ
でもこんなにいい匂いなのに
食べられないなんて
もったいないね
と言います
14ー10
確かに食べられないとしたら
何に使うのだろう
そう答えたら
ペンケースに入れて
お腹が空いたら
匂いを嗅ぐのと言います
そんなことををしたら
お腹がぐうぐう鳴って
恥ずかしいことになる
間違いなくそう思います
それにしても
沢山の匂いがあります
バニラアイス
バナナパフェ
キミが好きそうな
お菓子ばかり
そう思っていたら
キミはこれ全部
ペンケースに入れたら
勉強が楽しくなるねと言います
14ー4
キミはペンを棚に戻して
宝石みたいな色の
鉛筆を手に取り
ボクに見せます
こんなキレイな鉛筆
もったいなくて
削れないよ
愛おしそうに
つぶやきます
鑑賞用に使うのだろうか
ボクはそう思いながら
見つめます
14ー1
ようやくキミは
消しゴムを買うことを
決めました
今までさんざん
ボクから借りては
ちぎって返すので
ボクの消しゴムは
デコボコになってしまいました
キミはお礼とお詫びをかねて
一緒に買いに行こうと誘います
14ー12
匂い玉を買うことなく
キミはノートを見に行きます
消しゴムは忘れられています
キミは次々と
気に入ったノートを手にしては
嬉しそうに見せます
キミが手にしたノートは
かわいい動物やハート模様が
描かれたものではなく
お菓子や果物の
描かれたものばかりです
キミに理由を聞いてみると
お腹がすくからと答えます
キミはどうしても
文房具でお腹を
空かせたいようです
14ー14
カワイイって
好きという意味だよ
キミはなんのことか分からずに
困っています
ボクはお構いなしに
つづけます
だからキミはボクに
好きと言って欲しくて
そのドレスを
着て来たんだね
大きな声でそう言うと
少し時間をおいて
キミはボクの言ったことが
分かったようで
顔を真っ赤に染めて
ボクに背中を向け
何か大きな声で叫びながら
大きなリボンを
目一杯ゆらして
走って帰って行きました
14ー5
続いてキミは
ロケット鉛筆を手にします
先端の芯を取り外しては
底に差し込んで遊びます
これなら鉛筆を
削らなくていいね
キミはそう言ったけど
鉛筆の芯を
すぐ折ってしまうキミは
あっという間に替え芯を
使い果たしてしまいそうです
ロケット鉛筆って言うぐらいだから
勢い良く替え芯が
飛び出せば楽しいのに
キミはそう言ったので
もしそうなら
ボクに替え芯を
撃つつもりでしょ
と返します
キミは得意顔で
二人でロケット鉛筆を買って
撃ち合いをしようと言います
キミにとっては
文房具は遊び道具なのです
14ー3
受けようとして
手を前に出すと
ボールは胸に当たって
地面に落ちて
はずみます
キミは目を丸くして
驚いてボクを見つめます
なんであんな
トンボが止まりそうな
ボールが受けられないの
ボクが考えていたことを言います
14ー8
キミはボクを指さして
ケラケラと笑います
真面目に投げているんだよ
ボクがそういうと
そうだったね
正しい投げ方を
していないだけだね
キミはそう返します
そしてボクに
もう一度投げるよう言います
言われたとおり
もう一度投げると
やっぱりさっきと
同じ結果になります
14ー10
とりあえず投げてみて
キミはそう言います
そして結果は同じ
でもキミは
ボクに何度も
投げさせます
キミは何かに気づきます
キミは手だけで投げてるの
そう問いかけます
手で投げるでしょ
当たり前のことを答えます
手だけで投げてると言ってるの
キミはそう言って
手本をみせます
14ー2
秋晴れのすがすがしい
日曜日の朝
近くの公園で
特訓をします
キミは投げる練習と言って
ボクにボールを投げます
ふんわりとした
トンボが止まりそうな
そんな速さで
ボクの胸に飛んできます