*☆華夜☆*・2019-04-19
独り言
小さな生命
上を向いて
こんな小さな生命でも
真っ直ぐ上を向いて生きている
何回転んでも、
また、立ち上がって、
上を向ければ良いじゃない。
上を向けば
きっと大丈夫
そう信じてる
上を向けば
新しい世界が
僕だけの道が
広がるかもって
馬鹿みたいだな_
アナタへの気持ちを
もう 終わらせるために
ワタシは
前を向く
下ばっかり見てちゃダメだよね
私の笑顔が
君のところまで届くように
上をむかなきゃ
上を向かないと綺麗な虹は見えないよ
あぁ、暑い。
額や首に伝う汗が鬱陶しい。
そう思っていつも下を向いていたら
首が痛くなった。
だから、ふと上を見上げてみた。
「あぁ、快晴だ。青い空だ。」
目が痛くなった。
雨の日も晴れの日も
空はずっとつながってるよ。
大丈夫
どんなときも
ひとりじゃないよ。
がんばらなくていいんだよ。
ココロの元気がなくなって
ナミダがこぼれそうになったら
上を向いて歩いてみよう。
空はいつでも
やさしく包みこんでくれるから。
死にたい
諦めることは簡単だけど
生きたいって
上を向いて歩くのって
疲れちゃうよね
でも、
負けちゃだめだよ。
どんなに辛くても苦しくても。
下ばっかり向いてないでさ
上を向いてみてよ。
きっと素敵なことが
あなたに訪れるだろうから。
君の夢が一つ
叶おうとしているね
熱い想い重ねて
辿り着いた場所
ここまでの道のりが
長く厳しかったこと
たくましくなった君の
背中が教えてくれる
この日の喜びと
この日の悔しさを
忘れないように深く
胸に刻みこもう
精一杯の声を出した
この瞬間がいつかきっと
君が生きていく力に
変わる時が来るから
君の夢が一つ
生まれようとしているね
何度も迷いながら
辿り着いた道
あの日がゴールじゃなくて
スタートだったんだと
真っ直ぐに輝く君の
瞳が気づかせてくれた
あの日の喜びと
あの日の悔しさを
つまずいた時はそっと
思い出してみよう
精一杯の力出した
あの瞬間がいつかきっと
君が生きていく誇りに
変わる時が来るから
精一杯の汗と涙
流した数だけきっと
君が生きていく強さに
変わる時が来るから
時を越えて
羽ばたいて_____。
下ばっか見てたら上が見えないのは当たり前でしょう。
「真央ー行っちまうぞ!」
「おー、今行く」
仲間に呼ばれ、学生鞄を手にとり
「じゃあな脩哉、遊びすぎんなよ」
そう言い残して、教室を去ろうと
歩み始めたその時だ。
手首が掴まれ、
くんっと体がそちらに
引っ張られたかと思うと
どうだ。
俺はいつの間にか
脩哉の腕の中にいた。
性と言う名の鳥かごシリーズ
MIRROR´MIRROR~好きな人
第12話 脩哉の為に出来ること
「脩哉ー…」
「んー?」
「今日ユカさんは?」
「あー…今日は帰らないってさ」
それぞれのスマホ画面に釘付け。
同じフィールドでマルチプレイ。
その片手間で
俺たちはだるそうに会話する。
ぼろぼろのお化け屋敷みたいな
脩哉の家のドアもない脩哉の部屋。
聞けば、両親の喧嘩で
軽いベニヤの戸は
無惨にも破壊されたと
脩哉は笑っていた。
ベッドに寝そべる脩哉は
時折、もぞもぞと
股間の辺りを抑える。
「しょんべん?」
「んー…いや、ちょっとやりてえかも」
「底なしだなぁ」
俺はそう笑いながら
スマホの中の小さな世界に
サヨナラして
それを机の上に放り投げた。
「え、何真央、やめんの?」
「やりてえんだろーが」
「ん?うん」
「やれば?」
気のない誘い文句を言いながら
脩哉の横に陣取ってうつ伏せた。
心の中は軽いパニックだ。
俺から、誘うなんて
未だかつてない事だからだ。
「えー?真央、どうしたの」
熱でもあるのかと言わんばかりに
脩哉は俺の額に手を当てて
心配そうに覗き込む。
「お、れが……したいんだよ脩哉と」
全身を流れる血液が
俺の頬に集って
朦々と燃える様だった。
「最近、大胆じゃん?」
「うるせーよ」
「なんか、心境の変化でもあった?」
依然俺を覗き込む脩哉の眼に
刑事のような眼光が光る。
見透かされているようで
俺は不意に視線を逸らし
脩哉に呟く。
「なんもねーよ」
「ふーん」
「で、抱くの抱かないの」
いつでもいいぞ。
どこからでもかかって来い
なんて、可愛くねーこと
思って脩哉の腕に
抱かれる時を待つ。
だけど、脩哉は乗り気ではなさそうだ。
「俺、今日はいいや」
「……なんで」
「今日はこれから4組の石井と会うし」
「……そんなことお前今日一言も」
「忘れてた」
つまり
俺より石井の柔らかい身体を
ご所望というわけだ。
「わかった、そういう予定なら先に言えよ、じゃあ俺帰るわ」
「真央…?」
きょとんと目を据え
俺の名を呼ぶ脩哉を後目に
「じゃーまた明日学校でなー」
俺は精一杯の笑顔を向けて
脩哉の部屋を後にした。
夕暮れ時も過ぎ
夜闇に包まれるその寸で
空は葡萄色に燃える。
街灯がチカチカと照ると
伸びた影法師と共に
足早にアスファルトを蹴った。
やがてほろほろと
涙が溢れる。
「あー……つれぇなぁ」
空を仰いで口角を曲げ
涙の零れた目を擦った。
俺は、脩哉の涙を見たあの日
心に誓ったことがある。
ユカの代わりでいい。
女が捕まらない時でいい。
はけ口でいい。
セフレでもいい。
どんな要求も飲もうと。
ただただ
結婚するユカに
心を遺して欲しくなかった。
そんなの悲しすぎるじゃん。
脩哉の涙は俺が救ってやる。
脩哉が
ユカをきちんと忘れられるまで
俺はその為に脩哉の望みを
ひとつでもいい、叶えてやるんだ。
だけど
心はまだ言うことを聞いてくれない。
今日みたいな事があれば
必要以上に傷ついて
気持ちわかってるくせにと
牙を剥きかける。
「俺もまだまだだな。なんとかしなきゃ」
そんな独白を
小さく夜空に捨て置き
俺は帰路を歩んだ。
・・・
「真ー央ッ」
「なんだよ」
放課後の教室で
脩哉が突然
肩を組んで
俺の首筋をなぞった。
「……こんなところでやめろ」
「いーじゃん、誰もいねーし」
「見られたら変態扱いだぞ、脩哉の人気も急暴落だな」
持ち帰る教科書を
机の上でトントンと整えながら
俺は脩哉をからかった。
「あー、それは困るわ」
「だろ、ヤレる子が居なくなる」
「んー…」
冗談だってのに
脩哉はしばらくあれこれと
独白しながら考え込むと
後ろの机に腰掛けて笑う。
「あー…でも俺、真央がいりゃいいや」
「……は?」
「だってどんな女より長く一緒にいんじゃん。真央と居るとさびしくねーよ、俺」
不意打ちもいいところだ。
大方、また何かの気紛れだろう。
そうは思ってみても
胸を高鳴らせた脩哉の言葉は
耳にこびりつき何度もリピートされて
全身を喜びが駆け巡った。
「そ、そういう事は女に言えよ」
「まあね」
いたずらっぽい笑みで
目を細く繕うと脩哉は
机に腰を落としたまま
俺の腰をきゅっと抱いた。
「何、今日は俺とやりたいってこと?」
「んー……今日は大学生と会う予定」
ほら
期待に花を咲かせても
結局これだ。
馬鹿馬鹿しい。
ちょうどその時だ。
「真央ー!行っちまうぞ!」
全開の窓
校庭からクラスメイトの
田辺の声が聴こえた。
「おー!今行く!」
俺は躊躇いなく、そう答え
急いで帰り支度の続きを始める。
訝しげな声で、脩哉は尋ねた。
「なに、あれ」
「田辺、俺と一緒にバイトすんの」
「なんで田辺?」
「あいつバイト探しててさ、ちょうど俺のバイト先人辞めたから間取り持ったんだ」
「真央から声掛けたの?」
「ん?ああ。スタンドで良けりゃ紹介するよって」
田辺がバイトを探してた
通りすがりに聞いたって
いつもの俺なら声はかけない。
繋がりが欲しかった。
脩哉に依存しないように。
重たい事を言ってしまいそうで
脩哉が嫌いな束縛をしてしまいそうで
いつか、女のとこに行くなと
口走ってしまいそうだったから。
だから俺は
脩哉と俺だけの世界から
ほんの少しだけ
外に目を向けてみようと
そう思ったんだ。
今までまた奇異な目で
見られるんじゃないかと恐くて
声もかけられなかったけれど
掛けてみればどうだ。
田辺は笑ってくれた。
ありがとうと伝えてくれた。
「よし、準備出来た。じゃあな脩哉、遊びすぎんなよ」
そう言い残して、教室を去ろうと
歩み始めたその時だ。
手首が掴まれ、
くんっと体がそちらに
引っ張られたかと思うと
俺は一瞬にして
脩哉の暖かな腕の中にいた。
「しゅ、脩哉」
やめろという代わりに
頭を頭をポンポンと叩く。
それでも脩哉は離さない。
それどころか
俺を拘束する力は増すばかり。
「お前、どうしたの」
聞けば「お前こそ、どーしたの」
小さく脩哉はそう呟いた。
「何がだよ」
「お前、俺のことまだ……好き?」
「好きだよ」
「ふーん……俺もバイトしよっかな」
「はぁ?」
「真央んとこのガソスタで」
あまりに唐突な言葉に
俺は噴き出して笑うと
脩哉にこう投げかけた。
「お前にゃ無理無理っ、ガソリン入れに来たお姉さん方全員口説く気だろ?」
「だよな!バレたか!」
威勢よくそう笑うと
ようやく脩哉は俺の身体を解放した。
「真央、頑張れよ」
「おう、またな脩哉」
絡みつかれた腰の辺りが熱い。
じわじわと悦びさえ感じた。
最近、脩哉と
深く触れ合っていない。
「言うこと何でも聞こうって決めた矢先に俺もしかして飽きられたんかな……」
一抹の不安に埋もれそうな頭を振り
俺は田辺の元へと急いだ。