はじめる

#恋愛小説

読んでると、
思わず胸がギュッとしめつけられる、
そんなポエムを集めました。

全576作品・





〔 落ちる時間はキミのもの 〕




『この砂が落ちきるまでの時間


私に頂戴』



それが君の口癖だった




















































__













































大学四年生の春



鈴芽に告白した時



俺は初めて彼女の口癖を聞いた




『この砂が落ちきるまでの時間


私に頂戴』





彼女は俺の告白を聞いてそう言うなり



自身の鞄から小さな砂時計を取り出して



俺に見せ付けるように



自分のてのひらに置いた



予想外の出来事に俺は戸惑う



時間を私に頂戴?



つまり待てってことか?



にしたってなんで砂時計?



これ落ちきるまでに



五分くらいかかりそうなんだけど



五分俺に待てってことなのか?



グルグルと思考の渦に溺れながら



俺はその時を待った





そして、砂が落ちきる。






『うん、良いよ』



「へ?」



『付き合うの、良いよ』



彼女は砂が落ち切るとほぼ同時に



あっさりとそう言った



『時間、くれたから、良いよ


有難うね


私も、君、好き


だから、嬉しい』



今にして思えば



彼女は探していたのだろう



決断が苦手な自分を



受け入れてくれる人を






















__
























大学四年生の夏



付き合って何ヶ月かの記念日に



水族館デートをした




お土産コーナーで



ぬいぐるみを見つめながら



鈴芽はポツリと言った




『チンアナゴとシャチ


これは、関ヶ原になるわ』



「天下分け目の戦いって事?」



『そうよ


砂時計持って』



「あ、うん」




言われるがまま



手渡された砂時計を手のひらに乗せる



周囲の人に変な目で見られたことは



言うまでもないだろう




『よし、こっちね』



五分で完結した関ヶ原の戦い



勝者はシャチに決まったらしい



彼女は顔をほころばせながら



シャチのぬいぐるみを



レジに持って行った



そんな姿を見つめながら



俺は鈴芽の言葉を思い出す



『選択するって事は


どちらかを捨てるって事


平等であるべき物なのに


自分の主観で甲乙付けなきゃならない


そんなの、捨てられた方が可哀想


だから私は悩む


でもね、時間は永遠じゃない


いつかは決めなきゃいけないって


ちゃんと知ってるのよ


ある日雑貨屋さんで


この砂時計を見つけてピンと来た


タイムリミットを付ける意味で


これは使えるなって


その日からこの子は私の相棒よ』




「優しいな」と



気付けば呟いていた



捨てられた方が可哀想だなんて



俺は考えた事もなかった



こんな小さな決断にすら



自分の五分を使ってあげる



時間が永遠じゃないと知っていながら



そんな君の優しさが俺は好きだよ





「鈴芽」



『ん?』



「シャチの勝因は?」



『チンアナゴが


シャチに勝てる訳なかったわ』



「そんなこと言わないであげて!?」




鈴芽の優しが好きって考えてた俺が



バカみたいじゃないかと



笑わずにはいられなかった






























__



























































『ごめんね』




同棲二年目の秋



鈴芽は唐突にそう言った




「何が?」



『今まで沢山、時間を貰った事』



本当に申し訳なさそうに



彼女は目を伏せる



『私ってほら、可愛いじゃない』



「そうだけど自分で言うんかい」



『だから結構モテたのよ』



「うん、なんで急に自慢話始まった」



『でも、長続きした事は無かったわ』



「もしもーし、俺の声聞こえてる?」



『ええ、煩いから少し黙って』



急に自慢をされたと思えば



黙れと言われる



鈴芽さん、胸が痛いんですが



と心の中で言う



『私は即決が出来ないから


皆「もう待てない」って離れていった


でも、君は待ってくれた』



柔らかく、鈴芽が微笑む



その笑顔は反則だ



ついさっきまで感じていた胸の痛みが



遥か彼方に吹き飛んで行くのを感じた






『だから、お礼に



私のこれからの時間、全部あげる』




心臓の調子を整えるように



大きく息を吸う





『私と結婚してください』





一泊遅れて



鈴芽が発した声の意味を理解した





『それ使う?』



鈴芽がイタズラに笑いながら



テーブルの上の砂時計を指さす




「使わない」



俺もつられて笑う




「もう答えは決まってるから」
















「君の時間、全部貰う


代わりに俺の時間、全部あげる」



鈴芽は目を丸くする




「この指輪、受け取ってくれますか」




耳まで赤くして驚いている彼女に



俺は尋ねる










「砂時計使う?」




鈴芽は笑う



そして



これが答えよ、とでも言うように



砂時計ではなく



俺が手に持っている指輪を取った

綾瀬。垢変・2022-03-06
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〔 私の残り、君にあげる 〕





ごめんね。



心の中で今日も君に呟く



色々考えたんだけど



やっぱこれしかないと思うんだ











































「ね、瑞樹」



『ん?』



「未来って、明るいと思う?」




急にこんな事聞いたら



驚かせちゃうかな



なんて考えていると



案の定、瑞樹は



は?とでも言いたげに眉根を寄せ



怪訝そうな顔をした




『急になんだよ』



「いやー、朝の占い見てたら


私最下位でさー


今日は上手くいかないらしいんだよね


だから、未来が明るいか


ふと気になっちゃって」



えへへ、と笑ってみせると



呆れたように溜息をつかれる




『相変わらず意味わかんね』



「まあまあ、そんな顔しないの


私が意味わかんね、なのは


いつもの事でしょ?」



『自覚あんならなおせよ』



「やなこった!」



笑いながら大きい声で宣言すると



瑞樹はビックっと肩を揺らした




『急に大声出すなよ、驚くだろ』



「相変わらずビビりだねー」



ニヤニヤする私


また深いため息をつく君




「あ、ねえねえ瑞樹!」



『なんだよ』



「もー、女の子相手に


面倒くさそうに返事しないの


そんなだから瑞樹はモテないんだよ」



『うるせーな、別に良いだろ


モテたいとか思ってねーし』



「またまたぁ」



冗談めかして私が言うと



彼はまたまたため息をつく



その姿を見て



君は一日何回ため息つくのよと



呆れて苦笑してしまった



「それでね、瑞樹」



『ん』



「私、瑞樹に笑って欲しい」



『はぁ??』



お前本当訳わかんね、と



瑞樹が目だけで言う



「ね、お願いお願い!」



『いやなんでだよ』



「今日が占い最下位だったから!」



『説明になってねーし』



「今日最悪の運勢なんだぁ


やだぁって思いながら生きるより


幼馴染兼恋人の笑顔を見て


一個はいい事あったなぁった


思って生きる方が楽しいじゃん!」



『思考回路謎すぎかよ』



「とにかくお願い!一生のお願い!」



『あぁ、もう』



心底面倒くさそうに


瑞樹が声を出す



『一回だけだかんな』



「分かってるって!」



ニコニコしながら答えると



瑞樹はやっぱりため息をつく



『ほれ』



不器用に。口角を少しだけ上げて



『これで満足か』



「うん!すっごい満足!


苦しゅうない!


ありがと瑞樹!大好き!」




『はいはい分かった


分かったから離れろ


くっつくな』



「えへへーっ」





瑞樹、本当にありがとう



最後に君の笑顔が見れて


すごく嬉しかったよ。



心の中でそっと呟く





「じゃ、私そろそろいくね」



『おう、気をつけて帰れよ』



「うんっ」



私がかえるのは



家じゃなくて土だけどね



なんて言える訳もなく笑って答える






「みーずーきっ」



『なんだよ』



「いっぱい生きてね」



は?と瑞樹が言うより先に




「さよなら!」



私は笑顔で彼の病室を出た


































__

















『別れは済んだか』




「うん」




『それでは、約束通り』




『君の命を貰おう』





私は死を間近に感じ



ゆっくりと目を閉じて



目の前の"悪魔"との出会いを思い出す







『立花瑞樹は3日後に死ぬ』



なんて、言われた時は吃驚したな



頭の中が真っ白になった








そんな私に悪魔は言ったの




『俺と契約すれば


立花瑞樹の寿命を伸ばせる』って





『ただし代わりに


お前の命をいただく』って






迷いなんかなかった。



なんて、言ったら嘘になるけど__


















私知ってるんだよ、瑞樹



私に冷たくしてたのは



自分がもうすぐ死んじゃうって



分かってたからなんだよね



自分の事これ以上



好きになって欲しくないって



思ってたんでしょ



瑞樹、本当は優しいもんね



でも、残念でした



私瑞樹にちょっと冷たくされたくらいで



嫌いになんてならないよ






さっき君を抱き締めた時



心臓の音がハッキリ聞こえてきた



すごくドキドキしてたなぁ



私の事、好きでいてくれてるのかな



って思ったのと同時にね



強く感じたのよ



"瑞樹に生きて欲しい"って
































だから、私の命を君にあげるわ


































私の命の残りを使って



好きな物をいっぱい食べて



好きな場所に行って



人生を楽しんで



















私は微笑む



「瑞樹」



もう彼に届かないと知っていながら



最後に呟いた






















































" 大好き。いっぱい生きてね "

綾瀬。垢変・2022-03-03
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和賀・2023-10-22
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好きな人がいる。

その背中は遠くて

触れることすら難しい。


そんなの分かっている。


でも彼が時々見せる

昔から変わらない笑顔や仕草に

今も胸が高鳴るんだ。


そして、

熱を持ち始めたこの感情は

冷めることを知らない。


厄介な感情だ。


今だって

数歩先を歩く君の姿が

目から離れない。


「蒼太」


気づけば彼の名を口にしていた。


「なんだよ」


こちらに顔も向けずに
彼は言い放つ。


「あ、いや、なんでもない」


彼の反応があまりに心に染みて
誤魔化すように口を閉じた。


「そ」


まただ。

彼との心の距離は
少しずつ遠ざかっていく。


それから何を話す訳でもなく
ただ足を動かした。


そして、私たちがいつも別れる道に着いた。


「じゃあね」

いつものように別れの言葉を
彼の背中に送る。


いつもならそれで終わりだった。


でもこの日は、

「亜美」と彼が口を開いた。



「俺、この街から離れることになった」



そしてその言葉は

私にとって残酷な言葉であった。






【この生命線で出会った僕らは】ー 1 ー

茅乃・2023-06-24
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〔 今世、愛言葉を探して 〕





『合言葉を決めておこうか』



「合言葉?」



『そう、合言葉』



『あと何千回生まれ変わったって


私はもう、この私にはなれないから』




「良いよ。どんなにする?」




『じゃあ、私が君に____』




















__

























緩やかに揺れる電車の中で



他にすることも無いしと



適当に今までの記憶を手繰り寄せる






犬に生まれた時は



変な男に飼われて大変な思いをした



でもネズミの時よりマシだったな



あの時は人に姿を見られただけで



命を狙われるんだから



たまったもんじゃ無かった



それでもまだ



マシだったんだと思ったのは



カメムシになった時だったか



思い出したくもないくらい



酷い目にあった



それでも君に会う為に



途中下車なんて



ただの一度もしてないよ







なぁ、覚えてるかい



あの日、初めてあった世界線



僕らが決めた"アイ言葉"を




























__























『合言葉を決めておこうか』



「合言葉?」



確かめるように問いかけると



君は力強く頷く



『そう、合言葉』



いつもの冗談なのか



暇つぶしの遊びなのか



はたまた何かの暗喩なのか



全く判断がつかなくて



返事に困っていると



君の命を繋ぐ点滴の雫の音が



聞こえてきそうな程の静寂が



病室内に訪れた



沈黙を破ったのはやっぱり君だった



『あと何千回生まれ変わったって


私はもう、この私にはなれない


それは君も同じ


君があと何万回生まれ変わったって


もう今の君にはなれない


だから、合言葉を決めておこう』



"だから"の意味は、


よく分からないけれど。



そう心の中で呟いた



「良いよ。どんなのにする?」




『実はね、私にいい考えがあるの


聞いてくれる?』



「もちろん」




『やった!


あのね、私が君に


何回生まれ変わりましたか?


って聞くの


それが、合言葉の合図』



「なるほど


僕はなんて答えればいいの?」



『それは君が今考えるんだよ


それで、私に教えてくれたら


合言葉の完成』




「えぇ、難しいよ」



『難しくても考えるの!』



「……んー、分かったけど


あんまり期待しないでね」



君のキラキラした瞳に負けて



合言葉の返事を考え始める僕を見て



君は満足気に微笑んだ
































__





























思い返すと君は



いつだって滅茶苦茶で



ちょっぴりワガママだったね



そんな所も好きなんだけれど






君の声を



君の匂いを



君の笑顔を浮かべていると



ガラガラと音を立てながら



電車の扉が空いた



終点に着いたようだ








さて、次は何になるだろう



出来ればカメムシ以外がいいな



欲を言うなら



人語を解した生き物がいいけれど



また"君"と会えるなら



何だって構いはしない



ふぅ、と深く息を吐いて



僕は"今世"への一歩を踏み出した
























__










































元気な子供達の声で目を覚ます



辺りを見回すとそこは公園だった



どうやら僕は



ベンチに座って本を読んでいる内に



眠ってしまっていたらしい






今世僕は希望通り



人間の男になれた





しかし、十八年経った今もまだ



"君"は現れていない




深いため息をつくと



先程まで他の子供達と



遊具で遊んでいた少女が近付いてくる





『お兄さん』



「ん?」



『1個だけ、聞いてもいいですか』



「え?良いけど……」



『あのね、お兄さん』















































『何回生まれ変わりましたか?』




















































「君に恋した数」






























君はいつかのように



満足気に微笑んだ

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〔 私の残り、君にあげる 〕


_瑞樹視点






君がいれば。



泣きながら何度も思ったんだ





あの時。あの瞬間。あの場所で。





素直に「大好き」だと言えば



素直に君を抱き締め返していれば



何か変わっていただろうか



後悔が俺の心臓を切り刻んでいく
















































"君がいれば俺は



命なんかいらなかったのに"











































__


















































大好きだから



君が大好きで仕方がないから



どうか、俺を嫌ってくれ



どうせ俺は長く生きられないから
















































『やっほー』



病室に入ってくるなり



『会いたかったよ瑞樹ー!』



なんて、恥ずかしい事を



サラッと言いつつ



兎のように



ぴょんぴょん飛び跳ねる彼女を見ると



昔を思い出さずには居られない





















































『瑞樹君!あのねあのね!』



砂場に小さな山を作っている俺に



優衣がぴょんぴょん飛び跳ねながら



話しかけてくる



『私ね、瑞樹君が好き!』



『だからね』



『瑞樹君が困ってたら』



『私が何とかするから!』



『瑞樹君、いっぱい笑ってね!』





































































『ね、瑞樹』



名前を呼ばれてハッとする



記憶から現実へと意識を引き戻すと



優衣がじっとこちらを見ていた



そんな些細なことで



ドキドキしてしまって



でも、喜んでいると悟られたくなくて



ん?と短く返事をする



『未来って、明るいと思う?』



「急になんだよ」



『いやー、朝の占い見てたら


私最下位でさー


今日は上手くいかないらしいんだよね


だから、未来が明るいか


ふと気になっちゃって』



えへへ、と彼女が笑う



なんだこの可愛さ大優勝の生き物は



うっかり口を滑らせて



「可愛い愛してる」などと



本音を漏らしてしまうと大変なので



慌てて憎まれ口で誤魔化す































なぁ、優衣



他愛ない会話を交わしながらも



俺は心の中で君に話しかける



必死に元気に見せてるけど



本当は体を起こしているだけで



どうしようもなく辛いんだ



死の匂いがすぐそこまで来てるんだ



怖いんだ



死ぬのも



君とお別れなのも



君が俺に囚われてしまうのも



だからどうか



俺の事なんか嫌いになって



忘れて楽しく生きてくれ



























『それでね、瑞樹』



優衣の声でまた我に返る



「ん」



『私、瑞樹に笑って欲しい』



「はぁ??」



急になんで、と



俺は目だけで問いかける



『ね、お願いお願い!』



が、しかし



優衣には伝わらなかったらしい



怒涛のお願い攻撃をされる



「いやなんでだよ」



『今日が占い最下位だったから!』



「説明になってねーし」



『今日最悪の運勢なんだぁ


やだぁって思いながら生きるより


幼馴染兼恋人の笑顔を見て


一個はいい事あったなぁった


思って生きる方が楽しいじゃん!』



なんてことだ、と心で叫ぶ



占いなんて気にしているの可愛い



恋人って言ってくれるの可愛い



俺の笑顔見たいとか可愛い



優衣の可愛いの爆発に



今にもニヤけそうなのを



ぐっと堪える



「思考回路謎すぎかよ」



「とにかくお願い!一生のお願い!」



『あぁ、もう』



これ以上



お願い攻撃と



可愛い爆弾を投げられては



俺の心は持たない



『一回だけだかんな』



やむなく降参した



まあ、一度笑うくらいなら良いだろう



と自己防衛する



「分かってるって!」



ニコニコしながら優衣が言う



もう可愛すぎてため息しか出ない




『ほれ』



少しだけ、口角を上げる



『これで満足か』



「うん!すっごい満足!


苦しゅうない!


ありがと瑞樹!大好き!」



途端、優衣が



ギュッと強く抱き締めてきた



俺の心拍がぐっと上昇する



冷静になれ、耐えろ



好きだなんて言うな。と



脳内で警鐘が鳴り響く




『はいはい分かった


分かったから離れろ


くっつくな』



「えへへーっ」





ひとしきり抱き締めて気が済んだのか



優衣は俺からバッと離れた




「じゃ、私そろそろいくね」



『おう、気をつけて帰れよ』



「うんっ」





優衣が扉に手をかけ



次の瞬間、俺の方を向いた




「みーずーきっ」



『なんだよ』



「いっぱい生きてね」



どういう意味?



と俺が言うより先に




「さよなら!」



優衣は笑顔で俺の病室を出た














































__





































そうして彼女は、



優衣は消えた。























































ある日突然消えた優衣



警察に届出ても



ニュースで報道されても



見つかるどころか



目撃情報すらない




「優衣、なんで……」



独り病室で呟く



『調子はどうだ』



「…ッ?!誰だ?!」



『調子はどうだ、と聞いているんだ


答えろ』



姿は見えないのに



声だけが聞こえる



低く、何の感情も感じない



けれども威圧感のある声が



「体調なら、


吃驚するくらい良いよ」



声の圧力に負けて答える



優衣が消えてからというもの



俺の容態は医者も目を丸くする程に



劇的に良くなっていた




『そうか


ならばこれで契約は完了だ』



「は?契約って、何言って…」



『ああ、そうだ


ひとつ忘れていた』



俺の声が届いていないのか



声は勝手に話を進めていく



『これを渡すのも契約の内だった


ほら、受け取れ』



言葉が耳に届くのと同時に



俺の手元に一つの封筒が現れる



「んなッ?!」



『今度こそ契約は完了した


さらばだ』



その言葉を最後に



声は聞こえなくなった



仕方なく手元に現れた封筒を見る



「手紙か…?」



俺はおっかなびっくりに



封筒の中身を見た


































__




































瑞樹へ






やっほー、瑞樹



突然のお手紙ごめんね



ビックリした?



瑞樹ビビリだから



きっとすっごいビックリしたよねー



ごめんね



実は私ね



瑞樹にどうしても伝えたい事があって



今こうして手紙を書いてるんだ



詳しい話は出来ないんだけど



私ね、もう瑞樹と会えないんだ



皆とも会えない



だから、って訳じゃないし



こんな事お願いするの



すっごく図々しいと自分でも思うけど



あのね瑞樹



私の命の分まで



生きてくれませんか



私の分まで笑って



私の分まで泣いて



美味しい物いっぱい食べて



綺麗なものを見て



心地いい音楽を聴いて



沢山人生を楽しんで欲しいです




今「は?」って顔したでしょ(笑)



お見通しだぞー(笑)



自分でも変な頼みなの



分かってるけど



どうしてもお願い!



一生のお願い!



瑞樹大好きです



いっぱい生きて下さい






優衣より



































__



























ぐちゃぐちゃだった



優衣の文章も



俺の涙で汚れた顔も



優衣で埋め尽くされた頭の中も




「…ゆ、い……ッ


なんで、」




涙がとめどなく溢れてくる



なんだよ会えないって



なんだよ生きろって



なんだよ、なんなんだよ



































『私ね、瑞樹君が好き!』



『だからね』



『瑞樹君が困ってたら』



『私が何とかするから!』



『瑞樹君、いっぱい笑ってね!』





















































優衣、俺はお前が



お前がそばに居てくれれば



それで良かったのに










































俺がどれだけ慟哭しようと



手紙の内容通り



優衣には二度と会えなかった












































__

























































「へー、これ意外と美味いんだな」



ネットで話題のパンケーキ店にて



俺は一人呟く



























優衣、見えてるか



俺も手紙の内容通り



ちゃんと、美味いもん食って



綺麗な景色見て



色んな音楽聴いて



勉強して、笑って泣いて



ちゃんと生きてるよ



























なぁ優衣



お前が生きてるのが



俺の中で当たり前だったんだ



だから、言えなかった



















「愛してるよ、優衣」



いつかまた会えたら



俺は君に一番にそう伝えるから

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~おしまい

坂井 傑・2022-11-26
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あまり雪の降らない地域で




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フェンスに手を置き





冬の空を見渡す





空気が凍っていて



手が悴んで




フェンスに上手く登れない






こんな所、





誰かに見られたら






生きていけない。









早く、早く、早く、早く





やった、やっと登れ_______








「さっきから何してんだよ、」









「え、」









頭が真っ白になって








フェンスから身を離そうとした瞬間














「目障りだ、死ぬ気なんてねぇんだろ」












手を強く引かれ




コンクリートに身を投げ出す







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見られてしまった














しかも、







制服のままで、










どうしよう、どうしよう、どうしよう







悴んでいた手が







何者かに握られる












「おい、だんまりはよくねぇぞ?」







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正面を見ると







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「手袋くらいしろよー」






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硬いって笑われそうだなぁ、












神咲くん?







気軽すぎるか、















神咲?







それは、怒られる。















あー、一体どうすれば...














「なんとでも呼んでいいよ、」












「えーっと、じゃ、じゃぁ、



神咲さん?」














「いいんじゃないかなぁ、


改めて よろしくね 篠目さん」








「よっ、よろしくお願いします。

神咲さん、」












「かたいなぁ」













そして






屋上で話している内に











冬の空が紅く染まってきた
















「篠目さん、またね」












「はい! さよならー」

















今日はとても良い日だった、














すぐに帰って












一人分の夕食を準備して












静かな部屋に一人で食べた。















お風呂に入って














神咲さんのことを考えながら










布団に身を投げ出す














「楽しかったなぁ」














誰もいない部屋に一人で呟く














明日も、明後日も、頑張ろう















神咲さんがいたから、














そう思えた。


















学校終わり












真っ直ぐにとある屋上に行って














神咲さんを待つ
















それが次第に













週に三回 週に五回



















半年過ぎた頃には














毎日 とある屋上に行くようになっていた




















「おーーい 篠目さーん」













「あっ!神咲さん!」













「ごめぇん、待たせたよね、」

















「いぃや、全然そんなこと...」













申し訳なさそうに













いつものベンチに座る















いつも通り話した。















陽が沈み出した頃















神咲さんが真剣に私を見る

















「篠目さん、







出逢って半年だけど








好きになりました。





















付き合ってください_______」
















鼓動が早くなる













顔が紅くなる














これは、逃げられない、














「篠目さん、」














神咲さんも顔が紅くて












冗談じゃないのがすぐに分かった















「喜んで_______」


















神崎さんは私を抱き締めあげて










こう呟いていた















「絶対離さない、好きだよ 篠目」














喜びに満ち溢れていた、














そんな時だった、


















「だからさ、



一緒に逝こうか、篠目さん」




















「......え どこに?行くの?」













「あっちに、逝くの、」











上を指し




"行く"じゃなくて






"逝く"だと悟った





















何も考えられなくなって












抗えなくて
















「ごめんね、篠目さん。






騙すつもりはなかったんだ






君が好きなのも、本当だよ、」






















切なげに言うその姿で













何もかもどうでも良くなった




















「篠目、好きだよ、大好き、」
















「私も、大好き、」















フェンスに上に登って















甘いキスを交わした





















「神咲 庵里、俺の本名な、」














ニカッと笑った顔はやっぱり















美しくて、可愛くて、















好きだな、


















「篠目 悠月、憶えてよ、」















「忘れるはずないじゃないか、」














そう言葉を続けた














「篠目さんが自殺しようとしてたとき







運命だと思った、















狂ってるだろ?














あの綺麗な横顔と














君のその眼を奪うまでは
















死ねなかった。」














涙を流しながら













そう語っていた


















「わ、私も、一目惚れだよっ、







寒くて寒くて、















いつも一人の部屋の中で













ただ、勉強をするだけだったから、

















そんな日々に希望と君を














与えてくれたこの世界に、
















感謝してるよ、


















大好きだよ、庵里、」


















二人共、泣いて、笑って、
















月が真上に来た頃、



















「そろそろ、逝こ、」
















「そうだね、」

















お互いの身体を支えながら
















ビルの上から落ちていく、


















「あいしてるよ、ゆづき、」























「一生そばにいてね、いおり、」























サイレンの音と














庵里からの口付けで


















視界が真っ黒になった。






























速報です。







十九時二十三分頃、











西寄地区にて







高校生の男女が心中自殺_______



































































穹透・2021-08-27
小説
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ノーマル
ただの希望と、君と、
感想お願いします
心中自殺
心中
自殺

とりあえず区切りのいいとこまで書けたからまとめとく( '-' )











。*⑅୨୧ーーーーーーーーーー୨୧⑅*。

桜が舞う未来のいつかで過去の話を

。*⑅୨୧ーーーーーーーーーー୨୧⑅*。










両親の不仲

イジメ

裏切り

色々なことがあり
いつからか幸せになることを諦めていた
紅葉(こうは)

この世に楽しいことなんてない。

そう思ってた。君と出会うまでは…


。*⑅୨୧ーーーーーーーーー୨୧⑅*。

あらすじ…




中学の時に色々なことを体験し
人を信じることができなくなり
幸せになることを諦めていた
主人公の紅葉。

高校の入学式の日、
桜の並木道で
太陽みたいな少年、陽希に出会う。






まさかの学校、クラスが一緒で
少しずつ仲良くなり
話していくうちにお互い
「一緒に居たい」
と思っていくが、
二人の仲の良さに嫉妬した
クラスの女子達によりイジメられ、
しかしそのことを陽希に言えず
紅葉は自殺を決意するが…

ーーーーーーーーーーーーーーー

笑ってる時。

泣いてる時。

辛い時。

どんな時でも私の隣で

支えてくれてた君。


いつからか私は
幸せになることを諦めていた
"こんな自分"って。
生きることが辛かった。
楽しいことなんて何もなかった。

そんな私が笑えるようになったのは
"君がいたから"


本当に大好き_。




この世に"私"は必要ですか?

"君"は"私"を必要としてくれますか?

こんな私だけどまだ"君のとなり"に居られますか?

こんな私の"となり"に君はこれからもずっと一緒に居てくれますか?

"約束"です。

もし未来のいつかまで私がこの世にいたら。

桜が舞う未来のいつかで過去の話を一緒にしてください。

そして一緒に笑いましょう。





君と出会ったのは今から3年前の春。
その日は高校の入学式の日。

桜のトンネルの中ので。

私たちは初めて会話をしたね。

出会ってすぐ仲良くなって

約束もしたね。

覚えてるかな?

そんな君の第一印象は
とてもキラキラしててよく笑う、まるで太陽みたいな人だなって。
そう思ったのは今でも覚えてる。


🌸 🌸 🌸 🌸

20××年 4月7日 今日は高校の入学式。
自分の部屋の鏡の前に立つ。

「今日から高校生か…頑張ろ」

長い髪を整え新しい制服を着て鞄を持ち部屋を出た。

階段を降りてリビングに入るともうそこには両親の姿はなかった。





-紅葉へ-

"今日も帰りが遅くなるから
適当に食べといてー。

父さんは知らんけど
母さんは食べて帰るから"

「また1人なんだ…」

誰かに言うわけでもなく1人つぶやいた。
まだ7時半。しかも今日は…

今日は高校の入学式なのに

まああの人達にとってはどうでもいいか。




うちの両親は共働きで
土日関係なく仕事に出てるから
同じ家に住んでても
家族そろって晩御飯を
食べることなんてない


周りの人から見た私は
大金持ちのお嬢様


それだけで誰もが私を幸せ者と決めつける
それだけで誰もが私を羨む


お金が沢山あれば幸せ者?


ちがうよ。


これを言えばわがままになるんだろうけど

私から見れば周りの人たちの方が幸せそう

家へ帰れば

"ただいま"って言えば

"おかえり"って返ってくる

そして

家族であたたかいご飯を食べる

些細なことだけど
もうそれだけで幸せじゃん

私なんて毎日1人でご飯

誕生日だって祝ってもらえないし
"おかえり"だってない

おいしいものだって
おいしく感じられないよ…





幼い頃から失敗は許されず。

成功が当たり前。

いくら努力したなんて関係ない。

いつも結果しか見てくれない。



あの2人にとって

"私"っていう存在は

邪魔

迷惑の塊

でしかないんだろうな…


「てかそろそろ行かないと。遅刻する‪じゃん!入学式に遅刻は絶対嫌だなぁw」

1人でブツブツ言ってるとチャイムが鳴った。

「はぁーい」

誰?こんな忙しい朝に…((





「どちら様で…って美夜!?」



インターホンを覗くと

そこには幼なじみの美夜の姿があった。

彼女は上原美夜。

小学生の頃からの幼なじみ。

身長は私より少し高い165cmくらい。

性格はサバサバしてて物事をはっきり言う子。

数少ない私の友達の1人((てか他に友達居ない

けど高校は別々なんだよね(´;ω;`)

美夜居ないとこれからが不安だよ…

「あと今日は入学式じゃん?行ってきますぐらい言いたいなって思って。まあ本音は紅葉に会いたかったからなんだけど‪wこれからはあまり会えないかもしれないし…」

「私も美夜に会いたかった!そうだよね…美夜と一緒の高校に行きたかった…(´;ω;`)」

「それな…私も紅葉と一緒高校生活enjoyしたかった…」

「うん…」

「でもまあ元気出しなって!絶対会えないわけじゃないんだし!紅葉が辛くなったら話聞くし、会いたくなったら遊びに来るから!」

「ほんと!?やったぁ!嬉し( *´꒳`* )美夜ありがとー‼️」





「あっ!」


慌てた様子の美夜。


「どしたの?」





「ごめん紅葉…バスの時間あと少しだからもう行くね…!」


話に夢中になってて時間なんて忘れてた((


「そっか(´;ω;`)
寂しいけどそれはしょうがないもんね…」


そう言いながら私は美夜に抱きついた。


「もぅ…‪w紅葉ったら…痛いって‪‪w」

「あっごめんごめん‪w」


「ヨシヨシ、、

それじゃ行ってきまーす!紅葉ファイトだよ!」

「うん!美夜も頑張ってね!バイバイ!」


私が手を振ると美夜も手を振ってくれた。

幸せだなぁ。


「てか私もそろそろ行かないと!がんばるぞー!!」

1人で気合いを入れて鞄を持ち家を後にした。

絜燈・2021-08-30
桜が舞う未来のいつかで過去の話を
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【花】

電車から降りて
いつもの家までの道。
歩いているときれいな花がある。
名前はわからないけど素敵な花だ。
私はこの花が好きだった。
優しい色で、柔らかい。
こんな感じの人がこの世に溢れていたら
この世界は平和なんだろうな。
そんなことを考えていると
もう家に着いてしまった。
あーあ…今日も会えなかったな。
同じ高校の先輩。
少し茶髪で優しい人。
でも大人しくはなくて
元気で犬みたいな人。
私が前、電車に乗ってるときに
年寄りの人に席を譲っていた。
「どうぞ、座ってください!体を痛めたら大変っすから!」
あの眩しくて優しい笑顔でそう言った。
その瞬間、私は恋をした。
その先輩はまるで私が好きなあの花のようだった。
男の人を花に例えるのはどうかと思うけど
本当にそんな感じだった。
あの笑顔が私に向けられていたら…なんて考える。
どうすればいいんだろう…
私の事なんか分かってないだろうしな…
毎日毎日考える。

瑠唯(ヘッダーに好きよろ)・2022-08-09
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【曇天】






「いやいや、違うの


曇りだって言いたいの」







「うん?だから、


暗くて嫌われてるって事でしょ」









「え、曇りって嫌われてんの?」









「暗かったら、嫌われるでしょ


何だって、誰だってそうでしょ」











「いや、俺は好きなんだよ。」













澄み切った青に



純白の綿が浮かんでいたら



それはそれは綺麗でしょう。









そこに更に鳥なんかが


飛んでいれば



風情を好む俳人達は




それはそれは大喜びでしょう。











だが、そんな物を好まない



変な人が居ました。







はい、今まさに目の前に。










「曇りがいっちゃん好き。




お前みたいで。」













「あのね、フォローになってないっていうか




それ、言われても嬉しくないっていうか





ていうか何なの!?




告白なの!?」













「ああ!告白だとも





付き合ってくれ、花見!」











「いっみ分かんないし!



それに私は好きじゃない。




悪いけど、諦めてよね。」












「くっそ…マジか。」












彼は栗色の髪を掻き回し



悔しそうに座り込んだ。









「ちょっと、ねえ、奈倉。」







「麦くんと呼べ」






「クソ麦。しゃがみこまないでよ」









「あーあー。



ねえ、俺のどこがダメなん」











「どこがって…



意味わからないところが、ダメ。」











「確かに俺、ミステリアスだもんな」









「あ、そういうとこも、無理」










曇天を好むこの男は



奈倉 麦 といって



誰もがお察しの通り、変な人である。








時は放課後の教室。





世はその教室を


オレンジ色だと言ったりする。






オレンジ色なんてものじゃない。






濁っているようで

淡くも鮮明な、変な色。






「んじゃ、またな花見」









「うん?」










そりゃ私だって



清き晴天のような人だとか



そんな風に言われたら良かった。









麦のデリカシーの無さに



少しばかり呆れながら



帰路を重々と辿った。









空を見上げれば



全面灰色がかった曇天である。








私は思わず溜息をついて



下を向きながら早足で進んだ。


















翌朝、昨日と見違える晴天で



今度は逆に、


上を見上げづらくなってしまった。











「おはよ、花見!」







胸糞悪い原因の元である



奈倉麦が、今日も無駄に朗らかに



話しかけてきた。










「はあ、おはよ。」








わざと溜息をついたりなんかして、


素っ気なく返事をしてしまった。









「むーぎ!」








短髪で赤毛混じりの



ピアスを4、5個雑に付けている男が



急に視界に現れたものだから






思わず吃驚してしまって、



先刻と同じように下を向いて



麦の横を通り過ぎて行った。








「おい御門、ジャマすんなよ」





「わりい、え、あの子?」




「そうだよ、あーあ行っちゃった」






運の悪いことに、


私と麦は席が前後で、



授業中はやたらと後ろを向いてくる。





「ねえ、ちょっと、集中しなよ」




「優等生だなあ花見は」



「何よ、暗くてつまんないって


言いたいの?」





曇天女と思われたのが


余程悔しかったのか


私らしからぬ言葉を吐いた。





「曇りは暗い、そりゃそうだけど


淡く美しく、俺を元気にしてくれる」






茶色く光る瞳が


余りにも真っ直ぐだったものだから


私は思いのほか驚いてしまって、


黙ることしかできなかった。






ホームルームも終わり、


時はあの放課後となった。






「シャーペン落ちてる、

ねえ未玖、誰のだろ」




クラスの女子の言葉で、

私は視線をシャーペンに向けると



まあなんとも見事に、


私のペンだった。




「黄瀬さんじゃない?

この席だし、」





「黄瀬?…


ああ、あの暗い人。」








昔から友達なんかいなかったし


キツい性格とか、

暗い性格とか言われてきて



自分がつまらない人間だなんていう自覚は


とうの昔からあった。





ただまあ余りにもド直球だったものだから


焦り、というか、そんな気持ち。




心を抉るようだったけど、


臆病で情けない私ですから



傷ついた、ということを


意地でも認めたくはなかった。








結局、シャーペンは受け取らず、



気づいたら教室を出ていた。







空を見上げると、


眩しいくらいの、晴天である。






うざっだるい。


目が眩む。





あと数秒でも見上げるならば


きっと吐き気が襲ってくるような



そんな嫌悪感。







…羨ましい。





羨ましいほどの眩しさ。






この嫌悪感は、



醜い妬みで




ただこの眩しさを



夢見て


憧れて






曇った心が廃れては傷んでいく。









曇天女の、どこがいいのだろうか。


曇った天気の、どこに惹かれるのか。


暗い気持ちの、どこに救われるのか。






「分からない。」





そう呟いた後、


無数の水滴が頬を蔦った。





「あ、花見ー!」




変人男、奈倉麦が楽しそうに寄ってきた。




「え、何、何で泣いてんの。」




「うるさいな。


そんなことより、


なんでそんなに嬉しそうなの。」






「え、花見がいたから。」






「それ、どれくらい嬉しいの。」






「んー、数学の授業が、急遽体育に

変わった時、のー

50倍!」





「ふはっ、何それ

分かりづら!!」




暗くて、つまんない、


そんな私が、


いるだけで、こんなに喜んでもらえるなら。




明るい、眩しい、羨ましい、


だとかの妬みも、段々と薄れてくる。






「あ、笑った。かわいい」




「な、うるさい。」







ありがとう、そう伝えたかったけど、


喉で重複して、


それから消えた。




「んで、なんで泣いてたの」



突然、声色が変わった気がした。



綺麗に光る、栗色の瞳が、


まっすぐに私の目を見てる。





「しょうもないことだよ。


暗い人、って、言われただけ。」





「誰に?」





「クラスの人」





「ごめん、やっぱ、嫌だよな」






「そりゃね、


でももういい。」






清き晴天とかいうものに、


憧れたって、



自分の本質的に、


なれるものじゃない。



もし、なれてしまったら


それはもう、私じゃないんじゃないかって


思えてくる。



「疲れたー!最悪だ!って思った一日が、


誰かにとって、


楽しくて、嬉しくて


忘れられない大切な一日なら


なんかもう、それでいいやって



それがいいやって、


思えるように、





暗くて、つまんなくて


嫌だなって思った自分が、



誰かにとって、


それがいいって、思える


大切な人なら、




なんかもう、それがいいやって、



思えるよ。」





私がそう言うと、


彼は目を丸くして




「好きだ」



と、又言った。




曇りの良さが、分からなかった。



皆を、落ち込ませるだけだと


思い込んでいた。





ただ憧れるんじゃなくて、


自分を理解して、


受け入れて、



そして又誰かに、


受け入れてもらいたい。












「花見!行こう!」




雨天の中の晴れ間のような

心優しい、物好きな少年と



曇天のような

淡く美しく、


人の心に、寄り添える少女は



彼の猛アプローチの末、


今は2人で手を繋いで




晴れの日も

雨の日も、


風の日も、

雪の日も、



曇りの日も。



手を繋いで、笑っている。

瀬海・2023-08-19
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瑠唯(ヘッダーに好きよろ)・2022-08-09
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