書くとココロが軽くなる
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「ただいま、電源がにゃうにゃうのため、電話にでることができません。ピーという発信音のあとに、お名前と、ご用件を、お話しください」

よくある留守電のアナウンスは、電源がにゃうにゃうのためという、よく分からない文言によって、一瞬ですべてをもっていかれた。
こういう時は、電源が入っていないため……ではないだろうか。
電源がにゃうにゃう。
隠語か?
最近のアナウンスは可愛らしく、電源が入ってないアピールをするようになったのか?
しかしかわいい。
私は猫派なので、にゃうにゃうだってぇ、などと、ひとり声にだしてにやけてしまった。
電源がにゃうにゃうなら仕方がない。また時間をみてかけなおそう。
私は留守電にメッセージを入れることなく電話を切った。
そして数時間後。

「ただいま、電源がにゃうにゃうのため、電話にでることができません。ピーという発信音のあとに、お名前と、ご用件を、お話しください」

またしてもにゃうにゃうだった。
この時間帯ならでてくれると思ったが、電源がにゃうにゃうなら仕方がない。
なんていうことを何度か繰り返しているうちに冷静になって考えてみると、にゃうにゃうってなんだよという結論に辿り着く。
にゃうにゃうとはなんぞ。
電源が入ってないのであれば、にゃうにゃうなどと誤魔化さずに最初から電源が入ってないと言えばいいのに、なしてにゃうにゃうと申すのか。
私の頭の中は、にゃうにゃうでいっぱいになっていた。
こうなったらでるまでかけよう。
私は鬼電を開始した。

「ただいま、電源がにゃうにゃうのため、電話にでることができません。ピーという発信音のあとに、お名前と、ご用件を、お話しください」

「ただいま、電源がにゃうにゃうのため、電話にでることができません。ピーという発信音のあとに、お名前と、ご用件を、お話しください」

「ただいま、電源がにゃうにゃうのため、電話にでることができません。ピーという発信音のあとに、お名前と、ご用件を、お話しください」

「ただいま、電源がにゃうにゃうのため、電話にでることができません。ピーという発信音のあとに、お名前と、ご用件を、お話しください」

「ただいま、電源がにゃうにゃうのため、電話にでることができません。ピーという発信音のあとに、お名前と、ご用件を、お話しください」

「ただいま、電源がにゃうにゃうのため、電話にでることができません。ピーという発信音のあとに、お名前と、ご用件を、お話しください」

「ただいま、電源がにゃうにゃうのため、電話にでることができません。ピーという発信音のあとに、お名前と、ご用件を、お話しください」

「ただいま、電源がにゃうにゃうのため、電話にでることができません。ピーという発信音のあとに、お名前と、ご用件を、お話しください」

「ただいま、電源がにゃうにゃうのため、電話にでることができません。ピーという発信音のあとに、お名前と、ご用件を、お話しください」

「ただいま、電源がにゃうにゃうのため、電話にでることができません。ピーという発信音のあとに、お名前と、ご用件を、お話しください」

これでは私がいたずら電話をしているみたいじゃないか。
もうじゅうにかいもかけているのにでないなんて、おかしい、おかしい、おかしい、おかしい。
電話にでたら言ってやる。
にゃうにゃうってなんだよって。
それを聞きたいがためだけにかけるまである。
だって気になるじゃないか。にゃうにゃうってなんだよって。

夜になっても私はかけた。もう何回かけたかも忘れてしまった。
朝までかけ続けていると、ようやくアナウンスの文言が変わる。

「おかけになった電話番号は、現在使われておりません」

真鶴。🐰・2025-03-16
にゃうにゃう
留守電
迷惑電話
それはそう
ss