振られた。完膚なきまで振られた。
返事はいらないって言ったのに、どうして未来永劫むりだなんて決めつけるのよ。
そんなの最初からわかってた。だけどその恋は成就するの?
うまくいく保証もないくせに、私の方が先に出会ったのに。
どうして。
私が自分のきもちに気付くのが遅かった?
私の押しが足りなかった?
恋はタイミングだなんていうけれど、私はタイミングが悪かった?
私の方が絶対好きで、私の方が一緒に過ごした時間も長い。幼馴染なんて最高のポジション。それなのに私が負けヒロインなんて嘘。
ごめんとか言わないで。まるで隣に並ぶことすら許してくれないんじゃないかって思うから。
だけどもう、友達でいることすらできないのかな。友達のままでいた方がよかったんじゃないかって、考えてしまう自分がいやだ。
そんなことないって言ってよ。隣にいないと淋しいって、隣にいてよって言ってよ。
私に申し訳ないと思うなら、中途半端な関係のままでよかったのに。
その日の夜、夢をみた。一緒にカラオケに行く夢。海に行く夢。手を繋ぐ夢。
目が覚めて胸が苦しくなった。
もう夢の中でしか触れられない。私に向けられたあの笑顔はもう、私には向けてもらえない。
だけどやっぱり諦めたくないよ。ずっとずっと好きだもん。
好きでいるだけなら許されるよね。奪おうなんて思ってない。
ううん、いまは誰のものでもない。向こうだって片想いなんだから。
大丈夫、まだチャンスはあるよ。
自分に言い聞かせながら前を向いた、はずだったのに。
ふたりでいる。それだけで私の心は傷ついた。
こんなの、前からみてきたはずなのに、いまさらどうして胸が痛むんだ。振られたと思うと余計に苦しい。
こっちみて。
私に気付いて。
思うだけじゃだめなんだ。だから私は声をかけ続けてきたはずなのに。
ああもうまた目の前が滲んでいく。いい加減、慣れたいのに。