ボクが初めて碧姉ちゃんに会ったのは
教会の懺悔室だった。
誰も居ないと思って入った古い教会。
何かを見つめながら座っている碧姉ちゃんと
目が合って話し掛けられた。
『こんにちは、かな?
ここは入ってきたらSAN値チェックに
なっちゃうから別の場所で話そうね。』
碧姉ちゃんが見ていた先には
ぐちゃぐちゃになった何かがあった。
礼拝堂に連れて来られて[待ってて]って
碧姉ちゃんに言われて待ってたら
知らない男の子が来て話し掛けられた。
「お前も嫌われてんの?」
「ううん。そうじゃないけど…。」
ドアの開く音と碧姉ちゃんの声がした。
『罧、言い方に気を付けてね。
包帯取り替えるから座ってて。
君、紅茶は平気?
はい、アンチャン茶。』
碧姉ちゃんが出してくれた紅茶は
キレイな青色だった。
まるで――――の色みたいな青。
『優しい味のハーブティーだから
罧でも飲みやすいんじゃないかな?』
「青色が無くなったら
この教会も終わるんだな。」
罧くんは一口飲んで、そう言った。
『大丈夫…。
そんな事させないから。』
碧姉ちゃんは罧くんの包帯を巻きながら
淋しそうに笑った。
「お前、名前は?」
「えっと…ボクは…」
罧くんに急に聞かれて答えられなかった。
『無理に名前を言う必要は無いよ。
誰だって言いたくない事あるもんね。
ん~。
葵杜!君の名前は葵杜(あおと)!!!』
名前を言うか悩んでいたら
碧姉ちゃんが葵杜って名前を付けてくれた!
「俺は、罧。
本当の名前じゃ無いけどな。」
『僕は…碧。そう呼んでね!』
何でかは分からないけど
碧姉ちゃんと彼の姿が重なって見えた。
「ボク、忘れられるのが怖いんだ。
いつか彼らがボクを忘れてしまうのが。
もっと彼らと遊んで笑ってたい。」
『僕は忘れない。
きっと直ぐに思い出せない事があっても
葵杜の大切な人達は忘れたりしないと思う』
そう言って頭を撫でてくれた碧姉ちゃん。
忘れないでくれるよね?――――?