秘密さん・2023-01-29
恋人
×,
中毒的な君の愛に
溺れて死ねたら
君を求めるのが愛だと
勘違いしていた17歳の初夏
花と散る時は手紙でも書いて
紙飛行機にして貴女の元まで
懐かしくて苦い
ラムネに溶けた夏の残像
咲かぬまま瞼の裏で
死んだ愛を喰らって
君に忘れられたくないから
またねって捨て台詞を使う
海風薫る夏の夜
君に逢いに花と散る
花が僕を誘い
君の唇を刺激する二十時
発癌線のような恋に毒され
僕の心は貴方のもの
左様なら三日月
幼い夜の恋煩いは忘れて
愛の鞭を身体に刻まれ
今日も「愛してる」と
泣いて縋られ
曖昧な僕たちは
今日も縋りあって
13月の25時
君の歪な愛の音は
僕の心を侵して
二人で不幸のフリして
果たせない戯言を
「約束」と呼んだ
涙も月に吸い込まれ
微かに届く死の感情さえ
灰となって消えてゆく