#とある講師と生徒

目を閉じる度、あなたが浮かぶ。

あなたの笑った顔が
どうしても忘れられなくて

あぁ、好きすぎて眠れないや。

私、先生のことが好きです。

今の私は子供だし、可愛くもないから
まだ言わないですけど

高校ですっごい垢抜けしてさ
大学もちゃんと受かった時には、

胸張って、自信もって、
先生が好きって言ってもいいですか。

私、次のテストで
絶対自己ベスト更新するからさ、

その時はうんと褒めてよ。

私が先生に好きって言えるのは、
あと3年、いや4年後か。

先生はかっこいいから、
それまでに彼女の1人や2人
つくっちゃうんだろうな。

先生が好きだ。

公言できないこの辛さを
だれが代弁してくれようか。

もし、それが先生だったら、
私の心がどれほど喜びで溢れることか。

後悔するくらいなら
何もしなければいいのに。

頭の中はそう冷静でも、
心の中は冷静ではいられないから、

後先考えず行動して、また後悔して
ついには嫌われちゃうんだろうな。

甘い香水とは似合わない暑い暑い夏。

目を細めて、口を大きく開けて笑う先生に
恋をしてしまった。

卒業までの10ヶ月間
長いようで、とても短い10ヶ月間の

先生と私の、決して結ばれない
結ばれてはならない、恋物語。

結末は別れと感謝の手紙で。

生徒にウィンクする先生って
私、初めて見たよ。

そういうのノリでやっちゃう所が
先生の悪い所で好きな所で、

私を生徒としか思ってない証拠だね。

私は先生の一面しか知らない。

私の知らない所で、
誰かと恋に落ちて、悩んだり喜んだり。

私が大人になるまでの4年間で、
先生が誰かを好きだと抱きしめる時が
きっと訪れる。

そう思うと、少しだけ、心が痛いや。

先生と同じ年だったらいいのにな。

生まれた年月を変えることは不可能なのに
ずっとずっと、それを願う。

先生に恋する権利をください。

先生から欲しい言葉はたったの2文字。

毎日毎日それを思って、願って。

百も千も願っても
一になれない日々の連続の中、

0%の可能性にかけて、
今日も愛してる。

先生と出会わなければよかったと
何度思ったことか。

教室に入る度、
先生の香水が私を纏う。

それが辛くて、嬉しくて。

私はもう手遅れだ。
私は先生を愛してしまっている。

私の好みに髪型を変えてくれるって、

先生。私、勘違いしちゃうよ。

結局ただの思わせぶりか。
それが先生の性格だって知ってたのに

ちょっと期待して、喜んじゃった自分に
言いたいよ。

先生はお前なんか眼中に無いってね。

先生の歩いた後を
ちょっぴり甘いムスクの香りが辿る。

私が指摘すると、これ？と差し出した
先生の手首が香りの元で、

先生の香りを私の心が記憶してしまった。