余命1000光年・2024-12-28
のすたるじあシリーズ
マイ グランドファザー 第一話
『ここには何もない』
血の気の引いてく瞬間はいつだって冷たい
飼っていた小鳥の最後にそんな世界の真理をみた
死はいつだって冷酷で突然で…夢に似ている
「ガクン!」
ベッドから落ちた衝撃で首が死ぬ
「痛ぁ!」
首をすさって体をよじ起こす
何の気なしに髪を掻いていると
「ん?あー。」
思ったより寝癖が酷いなとそのまま一階の洗面所へと足を動かす。
ふらつく足元に体が慣れない
「にしても此処の家キーキーうるさいな」
いつもと違う場所の洗面台に誤ってドアを開ける
「ん?ああこっちか」
もう一度ドアを閉めてもう一度耳障りな階段を通る
「慣れない…」
そう愚痴をこぼして顔を拭きもう一度鏡に写った自分を見上げる
「おはよう、つまらない家」
気取った物言いで再び階段を降りる
実家帰りの2日目の朝
田舎に似合う澄み渡った空だった
マイ グランドファザー第0話
おじいちゃんとの思い出は
殆ど思い出せない
唯一鮮明に思い出せるのは
戦隊モノのおもちゃを買ったとき、
手を繋いでおじいちゃんの体温に触れた帰り道
と、
他人から聞いた無様な死に様
だけ
マイ グランドファザー第二話
『徒然た末の寸劇』
徒然なるままに……
最近、よく聞く口頭文句
僕はこれが大好きだった
何ともまぁ…荒唐無稽で……
「カッ」
実家帰りの朝は早い
箸を置く音が背に付く
「ええと今日何やるんだっけ?」
「……昨日あれだけ説明したでしょ」
「おいおい小4には荷が重すぎるぜ母さん」
「…にしてはアンタ随分デカいけどね」
いけずな人だ。まあ小1からずっと背順No.1連続記録を更新し続けてるのが俺の唯一の取り柄だからな
「今日はおじいちゃんに会いにいくんでしょ」
おじいちゃん……というのもあまり良い記憶はない。ひたすらに厳格で神経気質……とはいえジジィはジジィだし病院でお蔵入りだけどな
「…名前は確か勇(いさむ)だっけ?」
「うん…」
勇は母さんの父に当たる。詳しい事情はよくわからないが。
「ほら!さっさとご飯食べっちゃって!」
カツカツと料理用の長い箸を急かして鳴らす
「ほいほーい」
朝飯は近くのコンビニで買ってちょっとした手料理を加えていた
「にしても近くにセブンイレブンが出来てて助かったわ」
「まー…そこは同感だけど」
そこから8分ぐらいかけて朝食を食べ終える
自分は食べるのが遅くて、よく昼休みになるまで食べたものだ。
「ごちそーさま!」
せっせとその場を離れ2階に駆け上がる
途中で「片づけなさい!」と聞こえた気がしたが気のせいだろう。
家はリフォームで一階にも二階にも生活スペースがあるのだが、そのうちの二階にゲームが置いてあるのだ。
実家帰省中はとにかく暇で特別に制限なしで遊べる。Wi-Fiがないのがネックだがそこはまあ問題ない。
「さーお目当てのゲームを……」
ドアを開けて真っ先に目に映るのは
「あら!えいちゃん!」
優しい瞳でこちらを覗くおばあちゃんだった。