#ひまわりの夏休み

貴方は僕のために涙に蓋をして

大きな花を咲かせてくれるから

僕も涙を拭いて貴方に

笑顔で大きく手を振るからね

“誘ってたら一緒に見れたのかな”

好きな人を誘う勇気もなかった僕が

着物姿の二人を見つけて嘯く

独りで見上げた花火だけが

僕に優しく微笑んでくれた

長い休みが明けて始まった学校

“学校が怖いです”

それは学校を休む理由には

してもらえないのでしょうか

君に誘われて二人で来た夏祭り

私が君に告白出来てないことが

一緒に夏祭りに来られた理由なら

今だけは自分の臆病風にも感謝しようか

“生きるために学校に行く”

“生きるために学校を休む”

僕の選択肢は後者でした

貴方と肩を並べて歩きたくて

過ぎて行く夏を追い求めるように

僕は貴方の背中を追い掛けた


夏は動きを止めることなく

静かに新しい季節へ歩を進めた

見慣れない君の浴衣姿

ひまわりのように眩しい君の姿に

僕は声も出せずに見惚れていた

流離いの鳴き声は

季節の終了を伝える声か

僕を闇夜へ誘う声か

祭りの後の静かな帰り道

遠ざかる賑やかな話し声

会話もなく隣を歩いている君の手に

私の手が触れてしまいそうで

私は少しだけ歩くスピードを緩めた

雨が降りすぎて泣きすぎた雨空に

笑顔のような優しい青空のサプライズを

君との夏祭り

気紛れで食べたかき氷が

火照った身体を冷やしてくれる

私の想いは冷やさないでいてよ

泣きたい気持ちをこらえ

笑顔を向けている貴方

雨が降って貴方が安心して

泣けていますように

昼間の景色が眩しすぎるから

夜間の景色は優しく感じるの

私の出番はもうすぐ終わりみたい

もうすぐ新しい季節の花が咲き始める

私と出会ってくれた貴方へ

“私を見つけてくれてありがとう”

一瞬で消えてしまうと言うのに

それでも私を照らそうとしてくれるのね