#セピア色の記憶

人の前では見せられない涙も

君になら見られても構わない

でも君はもう何処にもいない

泡沫になって消えてもいい

そう呟いて泣いた君の顔が

今でも僕の心を縛りつける

心に咲いた花の色

美しい花も醜い花もあるけど

これが僕のすべてさ

どの花も好きって言ってくれる

君が大好きだよ

書きかけの日記

なにを綴ろうとしていたのか

今となっては知る由もない

僕にできることは

走馬灯のように巡る想い出を

ただ辿るだけ

まるで春のような朧日

遠い蒼空に想いを馳せる

気まぐれな秋の心模様

封じこめた記憶は

たとえ時がたっても

消えることはない

ただ朽ちていくだけ

どのパステルを使っても

心はモノトーンのまま

いつか極彩色の絵を描いてみたい

夜になると人知れず咲く黒き花

あなたの影を映しこむそれは

暁とともに消えゆく夢幻の花

凍てつく冬の森

雪あかりと星あかりが

むなしい心を

ほんのりあたためてくれる

心の淵に沈んだ想い出の欠片

要らないわけじゃない

ただ触れる勇気がないだけさ

僕がここに在るかぎり

けっして忘れはしない

あの日の美しかった輝きを

君と過ごすこの時を

時を刻むことのない時計

もはや凍りついた時間が

溶けることはないだろう

この身が朽ち果てるまで

あちこちに散らばった想い出の欠片

僕のジグソーパズルは

何時になったら完成するんだろう

辛い時は作り笑いを浮かべ

哀しい時は饒舌を演じる

何時終わるとも知れない物語

春の幻術に惑わされた夜

夢から覚めた静寂の中

消えることのない切なさが残る