〔 半壊した不可解は君に仄か 〕
『ででんっ、問題です』
『もしこの僕が悪い人になっても』
『君は』
『友達でいてくれるでしょうか』
×× 俺は、お前が______。
__
俺の幼馴染は変人だ。
鉄の虎と書いてテトラなんて
変な名前をしているから
中身まで変になってしまったのか
喋り方は独特で
良い感じに人の話を聞かず
すぐ自分の気持ちや身の回りの出来事を
クイズにする、なんて変な癖の持ち主で
その言動は正に予測不能。
彼という人間を表す言葉は
変わっている。の一言に尽きた
例えばある日の朝休み
『やぁ、間抜け面君』と
生意気全開で話しかけてきたかと思えば
『ででんっ、問題1
君はどうしてそんなに
間抜けな顔をしているのでしょうか』
なんて問うてきたので
飛び蹴りを食らわせてやろうかと
本気で考えた
「誰が間抜け面だコラ」
『君しかいなかろう
しかしまあ、朝から血の気の多い事だ』
「誰のせいだよ」
『お、この僕にクイズか?
面白い受けて立とう
うむ、そうだな
君の血の気が多い原因として
一番に考えられるのは
カルシウム不足だが
睡眠不足という線もあるな
……ハッ!
そういえば君
昨日深夜までゲームしてて寝てない
とかさっき言ってたよな
なるほど読めたぞ
問いの答えは
そのゲームの製作者及び
君に『早く寝なさい!』と
叱咤してくれなかった親のせいだ
どうだ、正解であろう』
「大ハズレだわ馬鹿!」
毎日毎日、こんな調子な彼と話すのは
ハッキリ言って疲れたし
イライラもしたが楽しいのは事実だった
__
『なぁ、間抜けのまぬけんよ』
「それ俺の事言ってんならはっ倒すぞ」
『君にクイズを出す』
「俺の話聞けよ」
蒸し暑い夏の日
家路をを辿っていると
いつもの様に彼が話しかけてきた
無駄に顔が整っているから
黙っていればモテるだろうに
どうしてこの男はこうも残念なのだろう
そんな事をぼんやり考えた
『ででんっ
明日のニュースに出る
高校生が犯人の事件は次の内どれか
いち、キョウハク
に、ボウコウ
さん、サツジン』
「随分と物騒な問題だな」
『平和ボケしたその間抜けな顔に
危機感を持たせたくてな』
「いや意味わからんし」
『それで、何番だと思う
正解は』
「んー、2かな」
俺は適当に答えた
『正解だ』
「なんで明日の事お前がわかるんだよ」
『分かるさ、明日のニュースなら』
「なんで」
『僕が鉄虎だからだ』
相変わらず
意味の分からない事ばかり言う彼を
はいはい、と軽くあしらって
「また明日学校で」と別れた
"「明日」は来なかった"
いや、この表現では語弊がある
世界は明日を連れてきた
ただし
"俺と鉄虎が学校で会える「明日」は"
訪れなかったのだ
__
物騒な問題を出された翌日
回答が気になった俺は
朝のニュースを見る事にした
そして絶句した
『問題』の答え
"それは全部だった"
深刻そうな顔をして
ニュースキャスターが告げる言葉が
頭に張り付く
「殺傷事件」
「死者八名」
「犯人は高校生」
昨日の彼の言葉がフラッシュバックする
『分かるさ、明日のニュースなら』
『僕が鉄虎だからだ』
なんで、なんで。
疑問に埋め尽くされた頭を抱える
分かりたくないのに
犯人が分かってしまう
鉄虎。 なんで
お前、ヒトヲコロシタノカ
あの時お前は
俺に止めて欲しかったのか
止めて欲しくてあんな問題を出したのか
気付いて欲しくてああ言ったのか
俺の問題に答えを出してくれる人は
もう傍にはいなかった