プール開きのためのプール掃除
ふざけていた俺たちだけが
プールサイドの掃除を頼まれた
「 なんで俺らなんだよぉ 」
「 なんで僕も巻き込まれてるの 」
「 いやいやお前もやってたって 」
「 はぁ?そんなわけないし 」
「 いやいや裏切んのかここで 」
「 裏切ってる気ないんだけど 」
「 てか早くしないと帰れないよ 」
「 うぐっ…そうですね… 」
「 早く持ってきて 」
「 あい… 」
同じ部活の俺とあいつは
相棒であり部長と副部長
今年のプール掃除は二年の中で
学年主任に選ばれた人のみの参加
そして俺らは選ばれた
最悪なことに
そしてちょっとばかしふざけたら
学年主任に見つかってゲンコツ
「 はぁ… 」
「 ため息ついてないで手動かせ 」
「 雨降るまでに終わんねーぞ 」
「 ちょっと君性格変わったんじゃない 」
「 … 」
バシッバシッ
「 いてぇ!いてぇって!! 」
「 ぉんまえっ! 」
バシッバシッ
「 いった!! 」
「 そっちがやったんだからな! 」
「 俺のせいじゃねぇからな! 」
「 君の方が成績悪いよね 」
「 学年主任に言いつけたらどうなるかな 」
「はぁ!?それ狡くねぇか! 」
「 普段の態度の違いでしょ 」 笑
「 ぐぬぬ… 」
正直に言って俺は
こいつに勝てない
俺はこいつより成績悪いし
俺はこいつより身長低いし
俺はこいつより教師ウケが悪い
でもこいつと唯一同じ
土俵に立てるのが"部活"
学校一強いふたりと呼ばれる俺ら
絶対的にこいつに勝てはしないが
同じ土俵に立てているだけ
多分マシだろう
「 なーなー 」
「 なに 」
「 帰りゲーセン寄ってかない 」
「 無理、塾 」
「 お前最近付き合い悪くねぇ? 」
「 気のせいじゃない、いつも通りでしょ 」
「 …そうか? 」
ゴシゴシ
磨いて磨いて磨きまくる
体力が落ちていくだけの
簡単なプールサイド掃除
反対側から聞こえていた音が消え
あいつの方を見れば
ふつうにスマホを触っていた
'やれって言ったのお前だろ'
そう抗議しようとしたら
バッと顔を上げたあいつと
バチッと目が合った
「 ..塾明日になったから、ゲーセン行けるよ 」
「 …え? 」
「 行きたいんでしょ、行けるようになったよ 」
「 え、塾は? 」
「 今日の塾なくしてもらったから 」
「 はぁ?行けよ 」
「 いやどっち 」
「 え、塾代勿体ねぇだろ、行けよ 」
「 大丈夫。ほら、雨降ってくるよ 」
淡々と話すこいつの話に
ちょっとばかし引いたものの
そういやこいつの性格
こんなんだったなと思い出した
考え事をしながら掃除してたら
ツルッと滑ってコケた
「 ぶへっ 」
「 …大丈夫? 」
「 いってぇ… 」
「 ! 」
タッタッタッタッ
ツルッドテッ
「 あ゛」
「 …お前の方がだいじょぶそ? 」
「 ちょっ、助けて 」
「 お前ド派手に転んだな 」
「 …あ、鼻血 」
「 はい、ティッシュ 」
「 いやお前が先だよ 」
「 いや君の方が先でしょ 」
「 はぇ? 」
その時やっと気づいた
ふたりともすっ転んだ勢いで
鼻血を出したことに
こいつのティッシュを
ふたりとも鼻に突っ込んで
なぜか見つめあった
「「 ぶっ…はははは!!!! 」」
「 お前その顔無様だな 」 笑
「 君も同じでしょ 」 笑
ポツ ポツポツ
パタパタパタ ザァーッ
「「 あ 」」
「 ほら言ったじゃん 」
「 ナカタ、傘ある? 」
「 ない 」
「 てか、もう濡れてるから意味無くない? 」
「 たしかに! 」
「 てかこんなに雨降ってんなら、騒いでも主任に見つからねぇっしょ! 」
「 …じゃあ、ゲーセンなしね 」
「 はぁ!? 」
「 無理でしょ、こんな雨じゃ 」
「いぃや、絶対行くからな! 」
「 無理無理 」 笑
そう笑ってスマホを出した
'スマホを奪えば行ける'
そうこいつのスマホを奪った
「 あ 」
「 絶対行くからな! 」
「 ちょっ、返せ! 」
「 やーだね! 」
「 ちょっ…雨降ってんのにプールサイド走るヤツがあるか!! 」
「 ここにいるもんねー! 」
「 ベロベロベー!!へっ!! 」
「 こんのっ…!! 」
雨がプールサイドに降り当たる中
プールサイドを走り回る俺ら
'待てっ'とか言って
追いかけてくるあいつを
振り切るのが また楽しい
あいつ運動は壊滅的に弱いからな
俺を追いかけてる途中に
何度も転んでる音が後ろからする
幾度めかのあいつが転ぶ音
俺はそのまま走って
あいつの反対側に来た
ふとあいつを見れば
ピクリとも動かないのが見えた
血の気がサーッと引いて
あいつのところに駆けつけた
「 え、あ、おいっ、大丈夫か!? 」
「 なぁっ、、おいっ、なぁって、、、 」
「 かかった 」
バッと起き上がったあいつは
俺が持ってたあいつのスマホを
奪い取ってダッと走り出した
「 ・・・はぁ? 」
「 いやぁ、ハカナタがバカで良かったよ 」 笑
「 あ、バカナタか 」 笑
「 …おんのんれぇ~!!!! 」
「 ぜってぇ~許さねーかんな! 」
「 ハハッ、君が悪いんじゃん 」 笑
「 ぐぬぅ~!!!! 」
「 ほれほれ、届くかなぁ~? 」 笑
「 おめぇ、まじで許さねぇ 」
俺らがプールサイドを
走り回って戯れていると
だんだんと雨が上がっていって
遠くの山に行けるような
大きな虹がかかった
「 あ、あれ見て 」
「 あ゛ぁん? 」
「 僕ら幸運だね 」
「 …だな 」
そこで終戦して
そのままゲーセンに行けば
あいつクレーンゲームで
たくさん取りやがった ズルい…
次の日
「 君らホントに掃除やったの? 」
「 やったよ!見てないの? 」
「 じゃあなんで濡れたブラシがプールサイドに転がってたの? 」
「 ……えぇっと、それは、 」
「 トイレに行った後に片付けようと二人で話してたんですが、忘れてました、すみません 」
「 夏風…分かった 」
「 次からは気をつけるように 」
「 分かりました、すみませんでした 」
やっぱこいつ先生ウケ良すぎる
―――――――――
案外長編作になりました
最後まで読んでくださりありがとうございました
最後に登場人物紹介です
本人たちの名前は出てきてませんが、
考えていたのがあったので表記しておきます
ハウミ カナタ
・俺 ( 波海 風奏 ) 二年
ある部活の副部長
成績も授業態度も悪いが
運動神経はとても良い
生徒的にはとても人気者
先生ウケは調子悪い
ゲーム好きでオール当たり前
負けず嫌いの口悪者
陽向から ハカナタ と呼ばれる
ナカゼ ヒナタ
・僕 ( 夏風 陽向 ) 二年
ある部活の部長
成績も授業態度も良いが
運動は壊滅的に弱い
風奏以外の生徒には
苦手意識持たれてて
先生ウケは良すぎるほど
塾も行くほどの秀才くんだが
結構ゲーム好き(頭脳ゲーム)
風奏相手には結構意地悪で
よく笑うところが見かけられる
風奏から ナカタ と呼ばれる
ふたりとも正反対の性格だが
試合では凄く息の合うふたり
こんな感じです
結構凝ってますよね、自分なりにも思います
タグ紹介で青春とかなんとか書いてあったので、青春に特価してみました 笑
中学校か高校かは皆さん次第で
ここまでスクロールお疲れ様でした
そしてありがとうございました