#ホシトリノハナシ

彼が

星とりにいくと言い出した


『星鳥によろしく』


なんだよ、それ、と彼は笑った


『うまく撮れたら、見せてくれよ』


まかせろ、と彼は

見慣れない道具を担いで

意気込んで出掛けていった




それっきり、帰ってこない




彼は【星を採り】に行ったのだ

ここを出るときには、

もう、僕より狂ってたんだ

特注のオーナメントを揺らして

メッセージを贈りますから

あなたも瞬きで返してください

星になる、とイッタのだから

きっとそうしてください

おいていくなとあれほど言ったのに

出来もしない約束だけ残して




いつまでもいとおしいひと、Merry Christmas

流れていった先は

帚星の廃棄場らしい



願いを叶えて

石ころになった

私はあいつを探している



今度はあいつが

満たされる番だ



帚星の廃棄場に

またひとつ、またひとつ

強欲の代償

ほんとうに美しいものはなんだ

星採りが帰ってきた。


もうむちゃくちゃ、


腕は網とくっついてるし、


目なんか7つもある。


『存外変わったじゃあないか。

星はトレタかい…？』


すると彼は得意そうに、


星は採れるかどうかではなく


採るか採らないかなのさ、と言った。


彼の7つの瞳はキラキラと輝き


急に僕の方が化け物のような気がした。



















＊

見つけたい場所がある


ホシノハカバ


住処から行ける範囲しか探してなくて


いつまでも見つからない


まず勇気の出し方を


探さなきゃならないようで



道のりは遠い