伊田よしのり・2024-07-27
フィクション
丸の内
ねるねるねるね
新聞を読みながら
スマホでSNSをチェックして
カプチーノを飲んだら
ねるねるねるねを練る。
これが丸の内で働く私の
休日の朝なのだ。
丸の内のホテルの
1階のロビーの
窓際の席で私は
行き交うビジネスパーソンを
眺めながら
ねるねるねるねを
練っていた。
莫大な資産を
相続で手に入れた私は
もはや雇われて
働く必要がない。
残りの人生を私は
練ることの研究に
捧げることにしたのだ。
丸の内を歩いたら爺が肩を当ててきた
いつもならボコるのに上司に刺された釘がある
奴ら電話の一本で人の人生壊すらしい
俺は刃物の一突きで奴の命を笑うけど
丸の内が偉いなら
国家のヒドラ笑ってる
丸の内が偉いなら
蛙も空に飛ぶだろう