ヒュールさんが居らんくなってから1ヶ月。
情報処理室にナキ君が手伝いに来てくれとった。
「手伝わせてしもうて、ゴメンなぁ。」
『いえいえ。役に立てて良かったです。』
昨日隊員の数人が体調を崩したって
連絡してきて手が足りてへんかったから
ホンマに有難い。
にしてもや。
かれこれ5時間座りっぱなしなんに
全くナキ君は休もうとする気配があらへん。
ヒュールさんやソルティさんもやけど
うちの軍には珍しい位のホリックワーカー。
「なぁ、休憩せぇへん?
…相談とか乗ったるから。」
下手やって分かってるけど
どうにかして休憩してもらう。
コーヒーを2人分淹れて机に持っていく。
「ナキ君は悩み事とか無いん?」
『悩み事…ですか…。
そういえば情報処理隊長様には
昔、悩みを解決して頂いた事がありますね…。』
「何それ!?俺知らんねんけど!!!!」
するとナキ君は子供らしい笑みを浮かべる。
『直接ではありませんけど…。
僕の背は情報処理隊長様よりも低くて
入隊した最初の頃は困ってました。
でも、
リバトルで初めて御目にかかった際に
体格差を感じさせない戦い方に
勝手ながら勇気を貰ったんです。』
いつも「小さい」って弄られとったのが
苦手やったけど、
そんな事になっとたんやな。
『他の隊の方は情報処理隊長様を[小さい]って
仰りますが、背なんて関係無いと思います。
…戦場で総統閣下様に負けず劣らず
的確で通る声、
沢山のモニターを見る集中力
幹部としての立派な戦い様。
言葉も出ない程、素晴らしいと思います。』
あまりナキ君と関わる方では無いはずなのに
俺の事をよく見とるなぁ、と感心した。
「さよか…。」
報われた気がしたなんて
口が裂けても言えんわ。