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#優しい泥棒猫

読んでると、
思わず胸がギュッとしめつけられる、
そんなポエムを集めました。

全2作品・





◇沙織さんとコラボ◇







短編小説


『優しい泥棒猫』

















 私は猫である。名前はまだない。







 いや、名前はあるな。ルウという名前だ。





 私の親代わりである人間が付けてくれた名である。












「ルウ、ご飯だよ」




 図書館の裏庭で寛いでいたら、佳織の声が聞こえた。






 彼女にバレないよう、草木の影から静かに見守る。




 幽霊となった私の姿は誰にも見えないけれど、佳織には気配でバレてしまうらしいのだ。






「ルウ、またお客さんを案内してくれたんだね」





 美味しそうなキャットフードの匂いが鼻腔をくすぐる。




 とても食べたいが、我慢しよう。





「お客さんが持ってきた本に、また白い毛が挟まってたの。すぐにルウだって気付いたよ」





 佳織の頬が林檎のような赤色に染まっていく。




 あの頃と変わらない笑顔に安堵した。





 黄色い帽子と革製の真っ赤な鞄を身につけて、

「行ってきます!」

と笑顔で家を出ていく。




 そんな昔の佳織と、司書として働く佳織。






 色んなことが変わっていく中で、彼女だけは変わらないことが本当に嬉しかった。





「ルウ、いつもありがとう」





 誰もいない裏庭で、佳織が感謝の言葉を告げた。







 佳織、それは違う。それを言わないといけないのは、きっと私の方なんだ。






 佳織の祖父母が他界したのにも関わらず、佳織や佳織の両親は私の面倒を最後まで見てくれた。




 だから、私から言わせて欲しい。ありがとう。






「図書館の案内係をルウがしてくれてから、悲しさも寂しさも無くなったの」






「祖父母が他界したことで私の両親も元気がなかったけど、ルウが帰ってきたことを話したらとても嬉しそうにしてた」








「ルウのおかげだよ。ルウが私たちの悲しみを全部盗んでくれたから、また笑顔で居られる。






「あなたは優しい泥棒猫なんだよ、ものすごく感謝してる」





 頭上に広がる大空を見つめながら、優しく独り言をこぼす。







 佳織がこうして話してくれている時点で、隠れる意味などなかった気がする。






 たとえ何処に居たとしても、佳織にはバレてしまいそうだ。






 そんなことを思っていたら、背後から風が吹いた。





 どうやら、また本を探している人がいるらしい。









 いつか、佳織のことも案内してあげたいな。





 静かに切願してから、首元の鈴を鳴らして立ち上がる。






 佳織の祖母から授かった伝言を抱きつつ、私は大好きなキャットフードを惜しんで歩き出した。







-完-



夕雁_反抗声明( '-' )・14時間前
沙織さんに負けてしまいそうです(真顔)
ほんとにヤバいです、ポエム臭いわ
読んでくれたらいいな
このネタが降ってきたとき、書きたくてウズウズしてたもんな
まぁ、感想をくれると嬉しいです。
図書館の案内係
優しい泥棒猫
adolescence.story_
小説
短編小説
白猫
幽霊
図書館
ペット




『図書館の案内係』



__夕雁さんとコラボ





私は昔から本が好きだった。

古びた匂い、インクの匂い、

小説、絵本、全てが好きだ。


だから今日も、隣の市にある

大きな図書館へ行く。



(あれ……どこだ……)



分類番号シールをなぞる指が止まる。

前に見かけて

借りようと思っていた本が

見当たらないのだ。


諦めて、この本棚にある本を

借りようと思ったその時…



(ん…?)



空いている本棚の隙間から、

白いなにかの尻尾が

揺らめいているのが見えた。


どうしても気になるので、

見に行くことにした。


左側に回ってみると、

真っ白な毛並みをした猫がいた。

その猫はどういうわけか、

身体が半透明だった。


白猫は私の顔をじっと見て、

歩き始めた。

まるで"ついてこい"と

言っているようで、

私は思わず後を追った。


歩く度にチリンチリン、と

青い首輪についている鈴が

鳴っている。


周りの人は、そんな音が

聞こえていないかのように

本棚を眺めていた。


白猫がひとつの本棚の方を向き、

その場に座った。


この本棚になにかあるのか?


そう思い、

題名を確認しながら

本をなぞっていく。



「!」



そのなかのひとつに、

私の探していた本があった。



(まさか、案内してくれたの?)



白猫がいた方を向くが、

すでにいなくなった後だった。



(お礼を言おうと思ったのに…残念)



私は残念な気持ちに

なりながらも、

カウンターへ本を借りる

手続きをしに行った。


美人な司書さんは、

私の借りようとしている本を

じっと見つめていた。



「あの…どうかしました?」


「あ、いえ…お客さんもしかして、白い猫に会ったりしませんでした?」



図星を突かれて私は驚いた。



「なんで……」


「会ったんですね…本に白い毛がついていたのでそうじゃないかなと思いまして」



そう言って司書さんは

白い毛を指で掴んでみせた



「なんで猫の毛だって分かるんです?」


「昔、私が白猫を飼っていたんです。ルウという名前でした」



司書さんは話し始めた。


自分が七歳になった時に

祖父母からプレゼントで

もらったのが、

動物愛護センターから

引き取ったルウだということ、

昔、祖父母がこの図書館を

管理していたこと、

だが、自分が十五歳になった時に

二人とも認知症に

なってしまったこと、

七年後に他界してしまったこと、

後を追うように

ルウも旅立ってしまったこと、

そして…

幽霊のルウは今、

この図書館に

住み着いていること。

私が見た白猫は、

ルウだということ。


半透明だったのも説明がつく。



「実はルウにあった人はあなたが初めてじゃないんですよ」


「え?」


「毎回必ず決まって、探したい本が見つからない人の前に現れて案内するんです。全ての本の場所を熟知しているのでしょうね。あまり噂にするとここの評判が落ちてしまうので、ルウを見た人にだけこのことを話しているんです」



司書さんはそう言って

本のバーコードを読み取り、

本の間に、貸し出し締切日が

印刷された紙を挟む。



「司書さんは、ルウにあったことないんですか?」


「……ええ、一度も。残念ながら私もこの図書館の本を熟知しているので、案内されることはないんです。いつか会ってみたいのは山山なんですが…」



司書さんは俯き、

眉を下げて溜息をつく。



「じゃあ、新しく本を仕入れる時に、その仕事を全部他の司書さんに頼んだらどうですか? そうしたらどこにあるか分からなくなって、ルウが出てくるかもしれませんよ!」



我ながら

いいアイデアではないかと思う。



「それいいですね! 今度やってみます!」



司書さんの顔が明るくなる。

私は本を鞄にしまい、

図書館を出た。


なんだかほっこりした。

幽霊は

お話の中だけの話だと

思っていたけど

考えが変わった。


私が借りた本の題名は……

【優しい泥棒猫】





















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偉大なる夕雁さんとコラボです!

この続きは、

夕雁さんが書いてくれます。

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夕雁さんの投稿があるので、

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沙 織 .コラボ小説書いた .コラボ 常時募集中 応募はヘッダーまで .半不登校民・16時間前
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ユメビカリ出版
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大きな書斎/from:沙織
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