菜乃花 このアカウントは現在使われておりません。・2019-01-12
小説創作
冒頭
友情というものに固定概念は必要なのだろうか。
漫画、アニメ、小説。
あらゆるもののほとんどの男女の主人公が登場するものは皆、片想いや恋仲に発展する。
大抵がそういったオチだ。
そうじゃなきゃ駄目なのだろうか。
そうじゃないと誰も求めてくれないのだろうか。
そうじゃないと世間は受け入れてくれないのだろうか。
低学年の頃は『男女仲良く』なんて呪文のように説くのに。
呆れた話だ。
一人だけ居た。[妙な関係]と言われたものを一緒に持った人物が。
その人物は一風変わった考えの持ち主で母国愛ゼロで絶対に僕との縁を断ち切らなかった。
その周りから[妙な関係]と言われたものにその人物と二人で名付けた。
なんだったかな。友情なんてありきたりな名前じゃおさまらなかったもの。
ああ、そうだった。
『「この関係の名前は....」』
小さな光を放った水滴が
頬を伝ったそのささやかな温もりさえ
もう思い出せないほど乾いて
はりついたままの青さを隠したままの
命の余韻。
そのひとかけら。
溶かし込んだような光だった。
そのひかりが覆い隠した嘘も、
忘れてしまうようで
もう、このまま夜など
来ないような気さえしていた。
手を伸ばした夕焼けが
いつしか夜を注ぎこんだ空に変わって、
夏の青さが遠のいていくようだった。
正解を求めては自分の答えを失って
意味がないほどに意味を探してしまう。
ふと、息を吸う。
指先を通り過ぎた風に
夜が、瞬いて、
もうすぐ、
手を伸ばすことしかできなくなっていく。