優希 #吹奏楽・2日前
吹奏楽を手放す可能性
合格できたら
吹奏楽に出会って
本気で金賞目指してきて
本当に良かったって思ってるよ
それがあったから夢を見つけた
でも、これからは
吹奏楽より
吹奏楽が見つけさせてくれた夢を
全力で叶えに行きたい
何になりたくて頑張ってたんだっけ
コンクールで金賞を取ることと
将来いい音大に進学することは
同じ道の途中で掴めるんだって
勝手に思ってたけど
本当は全然違う2つの道だったんだ
今はどっちかしか選べないのかな
私が吹奏楽を手放したら
悲しむ人もいるって知ってるから
2年生になったばかりの5月
一時期、パートが荒れてた
その頃から私は
こんなパートの誰にも負けたくないって
先生のためにも頑張らないとって
打楽器に全力を注ぐようになった
そうしたら上手くなって
それが楽しかった
吹奏楽部やパートは嫌いになったけど
自分は上手くなって
打楽器奏者になりたい
そんな夢を持つようになった
でも、やっぱり
吹奏楽が好きって気持ちも
ちゃんとあった
吹奏楽が好きで
コンクールで金賞を取りたい
打楽器が好きで
将来は打楽器奏者になりたい
それって辿る道は同じなんだって
勝手に思ってた
でも、ちゃんと考えたら
全然違ってた
今の私の状況なら
公立をとったら
コンクールの夢は叶えられる
打楽器での夢は
音大進学を叶えられても
きっとレベルの高い大学は目指せない
私立をとったら
アンサンブルは良くても
コンクールはきっと叶わない
でも、その分
本気で音大を目指した勉強ができる
どっちを取るかで全然違う
コンクールより人生を取った方がいい
そっちの方が本命だったんだから
でも、吹奏楽もちゃんと好きだったんだ
諦めたくないって
あんなに、誰よりも強く望んできたんだ
そんな簡単には決められない
それに私立は、親の反対も大きい
どっちをとったら後悔しないのか
わからない
どっちをとっても
全部がメリットってわけじゃない
人生の選択ってこんなにも怖いんだ
知らなかった
気付くのが遅すぎた
吹奏楽しか見てなかったコンクール前と
初めてのオープンスクールで
やっと受験を意識し始めた今
決める上で考える規模が変わってる
前は吹奏楽のことしか見てなかったけど
今は人生を見てる
でも、本当にこれでいいのかな
あの頃の私なら、きっと今も
自分で決められなかったと思う
2年前、1年生のときの私は
とにかく優柔不断で
何を選ぶにも
「どう言えば
この人は一番喜ぶかな」って
そればかり考えていた
自分の気持ちより
相手の顔色ばかり見てた
でも、そんな私に先輩は言ってくれた
「優柔不断すぎる」って
あの一言は、私が自分でも
気づかないふりをしていた弱い部分を
ちゃんと見つけてくれた
それから私は
先輩の前では、なんでも
自分の意思で選ぶようになった
先輩はいつだって
私を否定しない人だったけど
あの時のあの否定は、私のためにも
あえて言ってくれたものだった
あのたった一言があったから
私は変われた
あれは
私という人間を否定したんじゃなくて
“変われるきっかけ”を
くれたんだと思う
そうして自分で選んだ道の先
最後の吹奏楽コンクールに
私の“嘘のない好き”があった
結果は銀賞だったけど
その結果を自分の声で
涙を零しながらも
真っ直ぐ先輩に伝えられた
あの頃の私なら、きっと笑顔を作って
悔しくないふりしてた
でも、今の私は
ちゃんと本当の気持ちで言えた
「笑顔いっぱいの優希ちゃんが大好き」
そう言ってくれた先輩も
あの時は私の涙を受け止めてくれた
「銀でも、凄かったよ」って
いつもの笑顔で言ってくれた
その笑顔が「頑張ったね」って
言ってくれてる気がした
久しぶりに見上げたその暖かい笑顔で
安心して、もっと泣きそうだった
悔しさも涙も
本気で向き合った証拠だから
もう、いいんだよ
頑張ったね、私
もういい、もう十分やった
悔しさはあるけど
中学最後のコンクールに後悔はない
だからこの先、吹奏楽じゃなく
自分の未来をとっても
もう、いいと思ってる
今までは
高校で絶対金賞とるんだって
ずっと思って疑わなかった
でも、私が本当に欲しいものが
打楽器奏者の夢が
吹奏楽を手放すことで
得られるものなら
なんて、
わかんないよ