『君へ飛ばす紙飛行機』
コラボ__raimu
「うわ、碓氷」
「もうオーラが怖い」
「何もされませんように」
全部聞こえてるっつーの
睨みつけるように声の方向を見ると
すぐに皆怯えた顔をして逃げていく
弱い人間だらけのこの世界
俺はこの世界が大嫌いだ
「晩ご飯は自分で買っておいで」
「お母さんたち忙しいから1人で食べて」
「いい子にしててね」
そんな冷たい親も
「お前は頭がいいなあ」
「飲み込みが早い」
「天才だろうな」
そんな事しか言えない先生も
「碓氷君って完璧だよね」
「うん、悪いとこないって言うか」
「碓氷俺らの事下に見てるよな」
そんな勝手に決めつける友人も
この世界の全てが嫌いだ
だったはずだった
「ヤンキー君」
そう笑う君に会うまでは
影で隠れてコソコソ俺の事を
悪く言うやつは多くいる
だけど、面と向かって言ってきたのは
初めてだった
『は?』
「変な顔〜」
ふふなんて声を上げながら笑うこいつ
バカなのかと思った
と同時に興味が湧いた
『お前、俺が怖くねえの?』
「ヤンキー君は私の事覚えてない?」
予想だにしない質問返しだった
『どっかで会ったことあるっけ?』
「覚えてないなんてひどいなあ」
言葉と表情が合っていない
『お前、どこで俺とあった?』
「さっきからお前お前って
私の名前は林 穂乃香!」
『林穂乃香、どこで俺と会った?』
すると林穂乃香は吹き出すように笑った
「さっきと全く同じセリフを
フルネームしかも呼び捨てを代入して
言うとか笑わせに来てる??」
笑いながらの声は
デカくてうるさくて
でも、俺の近くではあまり聞かない
楽しい声だった
『代入っていう表現はだせえ』
そういうと林は俺に笑って見せた
気づいたら俺も笑ってた
誰もいない広い家に帰って
俺が1番にすること
それは手紙を書くことだった
最初はほんの出来心
まだ林と会う2年くらい前
俺が1番グレていた時期だった
誰もから否定され続けていた時
小さい時一緒にお手紙で
大好きだった友達と話していた
女か男かもどんな奴かも覚えてない
自分がどれだけ人間に興味ないのか
過去の自分もそうだということに
失望しながら思い出す
そして
手紙を書き、紙飛行機にして
飛ばした
別に返事なんて求めてもないし
返ってこなくてもなんとも思わなかった
ただ、自分の気持ちを吐き出す
そんな機会はここだけだった
【変な女と出会った
久しぶりに楽しいと思えた
まだ俺も笑えるってわかった】
これだけ書くだけで
なぜか涙が溢れていた
手紙のすみに涙がおちて
慌てて涙を拭う
『なんで泣いてんだよ、俺』
紙飛行機を飛ばした
【昨日の女とまた話した
やっぱり変なやつだけど
嫌いにならないのは不思議だ】
その次の日も
【例の女と昼飯を食った
誰かと飯を食うのは何年ぶりか
と思うほど久しぶりだった】
その次の日も
ずっと_____
「碓氷くん、また明日〜」
「碓氷、またな!!」
放課後クラスメイトが手を振ってくる
『おう!またな!』
これが俺の最近の日常だ
「あ〜あ、ヤンキーくん
もう、ヤンキー君って呼べないや〜」
『いや、もう呼ぶなよ
もうあだ名みたいになってるの
なんなんだよ』
2人で顔を見合わせて笑う
「クラスメイト変わったね〜」
『いや、俺が変わったからだろ』
「君は、なにも変わってないよ
ずっと、ずっと、そのまんま」
林は時折、変な発言をする
そして、そんな時1人寂しい顔をする
『なあ』
俺が手を伸ばすと林は笑って
「ヤンキー君、私もう強くなったよ」
意味がわからなかった
ただ、言葉が出ず、呆然と立ち尽くした
「ヤンキー君、ばいばい」
気が付けば君の右手を握っていた
力の限り、強く強く
林は驚いた顔をしてみせる
驚いてるのは俺も一緒だった
なぜ自分がこんな行動を取っているのか_
なぜ林が泣いているのか_____
『林、泣いてる』
俺が驚いて固まった時
林は勢いよく俺の手を振りほどいて
走っていた
追いかけるほどの精神強さは
持ち合わせていなかった
【大好きな人の様子がいつもと違った
いつも笑顔なのに泣いていた
何も分からない自分に腹が立つ
明日、また名前を呼んで笑ってよ】
涙の跡でグチャグチャの手紙
過去一汚い手紙
過去一想いの詰まった手紙
その日夢を見た
3歳ぐらいだろうか?
小さな男の子と女の子が
手を繋いで遊んでいた
仲良く笑いあっていた
そして、2人は小学生になっていた
いつも2人
隣で笑いあっていた
そんな時、突然女の子の方が
笑わなくなった
そして、学校に来なくなった
そんな日の空には紙飛行機が飛んでいた
【ほのかちゃん
ぼくのせいでほのかちゃんが
ないちゃうのはいやだから
ぼくつよくなるよ。
ほのかちゃんをまもるよ】
そんな大小バラバラ
ひらがなだらけの手紙の紙飛行機が
目が覚めた時、泣いていた
全てが繋がった気がした
朝いつもより早く家を出た
いち早く学校に行きたいと思うのは
これで最初で最後だろう
必死に足を動かした
途中信号が点滅していたけど
無視して走った
そんなの気にしてられない
ブーーーーーーーーー!!!!
近づく大きなもの
反射的に目を瞑って立ち尽くした
ガン!ガチャン!!!!!!!!
キャーー
大きな音
同時に激しい痛み
誰かの叫び声
何が起きたか分からないだけど、
温かさを、感じた
ピッピッピッピッ
一定の音が耳に入る
目を覚ますとそこには
変な顔をしている両親がいた
俺を見て、涙を流していた
『仕事は?』
俺はどこまでも可愛くない子供だと
思った
「バカなの!?こんな時に仕事なんて
しないわよ!!
心配したんだから
小さい頃からホントに大変だったわ」
なんて涙を拭いながら
俺に微笑みかける母親を見て
懐かしさを覚えた自分に対して
違和感を覚えた
『俺、もしかして小さい時も
事故にあってたりした?』
そう恐る恐る聞いた時
母親は驚いた顔をしていた
そして、全て聞いたんだ
自分の過去の話
小さい時俺には大好きな女の子が
いて、その子といつも一緒にいたらしい
自慢ではないが
子供の俺が見ても美人だと思う母の
子供なのだそこそこの顔だし
運動、勉強には自信があった
だから、その女の子はいじめを受けた
らしい、俺といるせいで
そして、俺はその事を知って
手紙を書いたらしい
それを紙飛行機にして飛ばした
この前の夢と多く繋がる所があった
そして、その次の日
俺は彼女に手紙が届いたか聞きたくて
急いで学校に向かったらしい
そして、その登校時
交通事故にあったらしい
しかも、その女の子の目の前で
そして、俺は記憶があやふやになった
そうだ
その女の子に関してのことは
特に覚えていなかったらしい
『なあ、その子の名前
なんて言うか覚えてる?』
「覚えてるわよ、えっとねたしか
_________」
聞いた瞬間いてもたっても
いられなくなった
「今日一緒に運ばれた女の子
も今目が覚めたそうですよ」
看護師の声が聞こえた
一緒に運ばれた女の子?
誰だかは分からなかった
でも、ただ本能的に?
感情に任せて俺は走った
ガラガラガラガラ
勢いよくドアを開ける
『ほのかちゃん!!!!』
「思い出したの?」
不安そうな顔
寂しそうな顔
泣きそうな顔
もう見飽きたよ
『うん、全て思い出したよ
俺がグレたのはお前のせいだったってな』
わざとらしく彼女に笑う
彼女はただ、涙を流していた
『ずっと辛い想いさせてごめん』
そう言って微笑みかけると
「とおるくん」
涙でグチャグチャの笑顔で笑ってくれた
そして、その時
ピピピピピピピピ
嫌な音がした
『ほのかっ!!』
「とおる、ごめんね」
そう言って目を閉じたほのかは
もう二度と目を開けなかった
【とおるへ
これを読んでいるって言うことは
私はもうこの世にいないのかな?
っていうフレーズ書いてみたかったから
念願のフレーズ書いてみました
とおるくんは馬鹿って笑ってくれるかな
まあ、私の事大好きだから
寂しいって泣いてるだろうね〜
私病気で死ぬんだ
ってとおるくんに伝えれてた?
まあ、よわーい私だから
たぶんまた逃げたかな〜
小さい時もそうだったんだよ
まあ、とおるくんは忘れてると
思うけど笑
そういえばあの毎日飛ばしている
紙飛行機の手紙
受け取ってるの私だからね笑
君が私の事語ってるの見てたよ〜
言いたい事は沢山あるんだけど
全部まとめると
ごめんね、ありがとう、大好きだよ
林 穂乃香より】
そんなふざけた手紙を残して
__________________
【林 穂乃香へ
手紙受け取った
あんなんふざけてるだろ笑
泣いてるってわかるなら
穂乃香が笑わせろよ
これから俺は穂乃香を忘れないし
ずっと大好きなままだから
まあ、俺がじいさんになるまで
そこで待ってろよ笑
ていうか、俺全て思い出したからな
またじじいとばばあになって
顔を見合せた時
思い出話でもしようか
俺も文句沢山あるけど1つ
今までもこれからもずっと好きだよ
碓氷透より】
僕が飛ばす最後の紙飛行機は
君へのラブレターだから_
君へ届くまで
ずっと飛び続ける紙飛行機___