零れた蒼の水族館
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プロローグ
彼と私と涙零れる水族館
「死にたい」彼はそう言いました。
「よし、今日も投稿するか、」
そう呟いて、私はあるアプリを開きます
毎日行う動作で、もう習慣がつきました
新着をふと見ると、素敵な言葉の羅列
誰だろうなんて思い、ついついお気に入り登録
話しかけるなんて出来ない臆病者でした
けれどその投稿がおすすめに載りました
話しかけない理由などありません
その人は優しく、何処か距離を置いて
受け答えをしてくれました
ある時、サブ垢を作りました
そこでも彼の投稿が目に留まりました
けれど、前の垢名とは異なっていました
しかし、同じ人だということは
投稿を見れば一目で分かりました
私は迷わず話しかけました
「知り合いですよね?」と
けれど彼は
「いいえ、人違いです。」
そう、答えました
仕方がありません、サブ垢ですので
それから何度も投稿を見かけました
どれも垢名は異なっていたりしましたが
やはりどれも素敵な投稿でした
ある時、御手紙企画に贈り物が届きました
初見ですけど、なんて書いてありましたが
これはチャンスだと思い、
〇〇さんですよね?なんて尋ねました
それから少しずつ仲良くなったような気がします
ある時、おすすめに上下で載りました
私は彼の投稿に報告の贈り物を贈りました
「憧れさんと上下嬉しすぎます」
とかなんとか
今思えば何故スクショをしなかったのだと
自分を恨んでいるのはまた後のお話
「憧れなんですか」なんて返答
そこから共タグもトークも出来ました
とても嬉しかったのを今でも覚えています
お姫様様、なんて言われて
王子様様、なんて言い合って
白雪姫は似合わない、おてんばだ
なんて言われました、シンデレラも駄目だそう
それから彼は私のイメージアンケートにも
贈り物をしてくれました
どれも不思議でしたけど、面白かったな
彼はとても素敵な人でした
年齢を教えて貰った時は驚きました
いつも彼はどこか大人びていました
けれど彼はまだまだ子供でした
彼はとても優しい人でした
どんなに苦しくても優しく接してくれました
時には悩みの相談にものってくれました
彼の方が大変な人生だというのに
そんな彼を救えませんでした
私は世界を恨みます、私自身を呪います
もし、〜だったら、なんてばかり考えます
世界を変えます、彼の為に
彼のような人を失わないように
何が政治だ、何が世界だ
何かを変える前に、人の心を変えなければ
私はそう感じます
これは、あるネットで知り合った
とても素敵で優しい、まだ蒼かった君と
そんな君を救えなかった、蒼かった私の
世界で1番零れ溢れた
約3ヶ月間の水族館
♡