君と2人きりの世界で。
~プロローグ~
愛しい君が私を見ている
大好きな笑顔で私を見つめている
そんな私と君の
2人きりの世界で
精一杯の気持ちを伝えよう
“君の事がずっと大好きでした_”
君と出逢えたことも
付き合えたことも
君を全力で愛したことも
今となっては大切な想い出で
忘れることなんて到底
無理な事だった。
君は私の運命の人だと
いつか叶う恋だと信じていたの。
第一章:出逢い
君と出会ったのは
君に恋したのは
いつだっただろうか。
今となっては君に恋した理由なんて
もう曖昧な記憶でしかなくて
でも、初めて大好きだなって
ずっとこの人の傍にいたいって
思った気持ちは中3になった今でも
変わらないと思う。
今の好きな人、航とは小中学校が
同じで小3のときに
初めて同じクラスになった。
“(どしよ、、誰も知ってる人がいない)”
小3の時の私は片手で数えられる
くらいの友だちしかいなくて
知らない人ばかりの小3の新クラスは
不安な気持ちでいっぱいだった。
航は出会った当初は少し怖い印象で
話しかけずらくて関わりにくそう
そんな雰囲気を持っていた。
“俺、航。隣の席なんだ、
これからよろしく”
“あ、と、叶葵です、よろしく((ポソ”
初めて見た時は航が隣の席なんだと
思うと不安で仕方なかった。
でも…
“おはよー今日表情暗くね”
“俺が笑わせたるわー笑”
“とあー外行ってドッヂしよー”
“なんかいま先生に怒られた笑
なんでだろ笑”
そう話しかけてくれる航に
少しずつ惹かれていった。
航は、あまり女子とは話さない人で
女子で話すのは私だけだった。
隣の席になって話していくうちに
“怖そう” “話しにくそう”
なんていうのは私の中での
イメージでしかなくて
本当は優しくて楽しくて
面白い人なんだと
1ヶ月くらい隣の席で
航の隣にいて気付かされた。
そして、そんな航に私は
気づいたら恋をしていた。
恋すらも分からなくて
付き合うなんて言葉も
知らないくらい幼くて。
でも航を他の人に取られたくない
そんな独占欲があったように思う。
いつの日だったか航に
好きって勇気をだして
伝えたことがあったけれど
付き合うことも好きという感情も
知らなかった航は
“ごめん”の一言で終わらせた。
それと同時に授業の始まりの
チャイムが鳴り、人生初めての告白は
なかったことになった。
初めて振られることを経験して
辛くて苦しくてでも好きっていう
矛盾が生まれて諦めきれなかった。
この諦められない気持ちが
この後の人生を左右するなんて
思ってもなかったんだ。
第二章:告白
告白してからも航との関係は
告白する前と変わらなかった。
そして、私たちは小6になった。
小3から小6まで同じクラスに
なれなくて接点が殆ど無くなった。
だからこそ、忘れられなくて
ずっとずっと航だけを想ってきた。
時々私の親友と航の親友も
含んだメンツで話したりは
したけれど、それといった
進展はなにもなかった。
中学生になる前にもう一度だけ
告白して、諦める、そう決めて
告白することを決めた。
私は、階段の踊り場にいた
航を引き止めた。
“航、えと、好きな人いますか?”
“いないけど”
“小3の時から好き、でした
えと、わ、私と付き合ってほしい、です”
“噂にならなければ”
“ほ、ほんと、ありがと、、っ”
“これからよろしく叶葵”
“こちらこそっよろしくね”
両想いになれないと分かっていても
君と付き合えるのなら
何でも良かった。
でも、それでも、いつか私のことを
好きになってほしい、
なんて我儘なことを考えていた。
第三章:別れ
航と付き合って1年。
たくさん思い出作って
遊びに行って話して
彼氏彼女らしいことをたくさんした。
“航、私とプリ撮りませんか”
“いーよ”
“もっとこっちきて、航”
“こんくらい?”
“ん、そんくらい
(距離近くて緊張してきた…)”
…
“航見てみてっ航の顔が半分に切れてる笑”
“えっほんとやん笑叶葵との
距離の間ができちゃってる笑”
““爆笑””
はじめてふたりきりで撮ったプリは
失敗だらけで、
でも、楽しくて、幸せな
大切な想い出の物となった。
付き合って1年記念日には、
バレンタインも兼ねて
チョコを渡した。
“航ーチョコあげるー
抹茶好きって言っとったから
抹茶スノーボール作ってみた
美味しーといーけどー笑”
“おぉ、ありがと”
本気で想いを込めて作った
ガトーショコラと
抹茶スノーボール
航に、想いが届けと願いながら
作った本命チョコ。
航はおいしってゆって、食べてくれた。
ホワイトデーの日
航は私の家に来て
航のおねーさんと一緒に作ったという
ケーキをくれた。
美味しくて、作って渡してくれたことが
嬉しくて幸せで泣いた。
だけど、航の気持ちが
私に向くことはなくて
付き合っていても、片想いで。
付き合い始めてから
ある時から無視されるようになって、
話さなくなって、
見るだけになった。
航が女の子と話して
笑っているところを見る度に
苦しくなって辛くて、
嫉妬することが増えた。
“私の事好き??”そう書いたメモを
渡すことが増えた。
重いって分かっていながらも
不安と焦りしかなくて
好きになってもらいたくて必死だった。
そしていつからか
別れを考えるようになった、
毎日夜航を想いながら
泣くことが日課になってしまった。
私じゃ、航を幸せに出来ないと、
そう思った。ほんとは、
別れたくなかった。
だけど、航のことを思うと、
別れた方がいいんじゃないかと、
そう思い始めた。
夏休みの途中の日、
私は何週間も悩み
別れることを決心した。
“…航”
“ん、なに”
“私と別れたい??”
“なに急に”
“(航、返事冷たくなったよなあ)”
“別れた方がいいんかなって思って”
“今のままじゃ俺もだめだと思う”
“じゃあ、、、別れる、?”
“うん”
あっという間に私たちは
彼氏彼女から他人になった。
同じクラスじゃなかったから
クラスメイト
という関係にもなれなかった。
同じクラスじゃなかったことを
恨んだ。でもそれと同時に
同じクラスじゃなくて
良かったって思った。
航と過ごした1年半は、
辛いけどそれ以上に幸せで
楽しくて、忘れられない年になった。
この状況で忘れるなんて
航のことを過去にするなんて
出来ない、そう確信していた。
第四章:卒業
“卒業おめでとうっ”
今日私たちは思い出の残る中学校を
卒業する。
そして、航への想いも卒業する。
最後の告白。
最後にもう一度だけ、
想いを伝えるんだ、。
航とは高校が違うから
逢えなくなってしまう。
“先生、今まで本当に
ありがとうございました”
“さよならっー!!”
ガタガタと鳴る椅子を
机の中に入れる音も
楽しいそうに笑う生徒の声も
今日で全部最後、なんだ。
本当に、航に
会えなくなってしまうんだ。
毎日見れなくなって
遠くから眺めることさえできなくて。
卒業ってそういうことなんだ…
その前にもう一度航に__。
逢いたい。
話したい。
“こ、う。航っちょ、ちょっと待ったっ”
“どーしたの。叶葵”
“思い出に写真撮りたくて。いい??”
“ん、いいよ撮ろう”
“航ありがとっこっちに寄ってー”
““はいっチーズ笑””
“揃ったね笑笑”
“それな笑揃ったな笑”
“あっあとね、最後だから
もう逢えなくなっちゃうから
想い伝えたくて。”
“うん”
“付き合ってくれてありがとう
遊びに行ってくれてありがと、
同じ委員会、3年間
してくれてありがとう。
それと、たくさんたくさん
迷惑かけてごめんね。
私は、っ!!
航のことが好き”
“ありがとう、でも、ごめん。
付き合えない
付き合う気はない
前みたいに傷つけたりしたくない。
俺、好きとか分からないから、
だからごめん”
“あっううんっ気にしないでっ
とあ伝えたかっただけだからさ、
ちゃんと振ってくれてありゃーとね
でも、とあずっと待ってるから。
きっとさ、高校生になっても
大人になっても
航のこと、過去にできないと思うんだ。
だからさ、
もしとあに会いたくなったら
連絡とか逢いに来るとか
してほしいな。
すぐ両想いになれるからさ笑”
“りょーかい笑”
“でもいつか、ちゃんと
好きって思える人と
幸せになってね??笑”
“ん笑、いつか、ね笑”
“成人式で逢おうね航ッ!!”
“ん、成人式で”
“じゃあっばいばい、
高校がんばれ”
“ありがとう、ばいばい叶葵”
“航ーなにやってんのーもう行くぞー
打ち上げ時間に
合わなくなるだろっ笑”
“ちょ待ってよーアッキー笑
もう行くからさああー”
タタタタッ
“(航からもう私見えてないよね、、?)”
“くっ、、あああぁぁあああ”
(航のこと好きで仕方なくて
何年経っても忘れられなくて
航のこと愛してた。
でも、今日でほんとに
終わるんだ、。)
“つらいなあ、、
今までありがとーね航…”
第五章:未来
私たちは25歳になった__
航は恋人がいる
20歳になる成人式の日、
航を見かけた時に
左の薬指に指輪を
つけていたのを思い出す
結局航私のところへと
現れないまま時が過ぎた。
私と同級生のあの子と
幸せそうに微笑む彼を見て
あの時君を手放したことは
間違いじゃなかったと思えた。
私は、中2から同じクラスだった晴琉と
同じ高校に行って付き合い、
最終的には晴れて
24歳の時結婚した
でも航のことはまだ“忘れられない人”
“過去にしたくない人”である。
中学も高校も同じクラスだった
晴琉と過ごしていくうちに
晴琉は大切な人となり
ちゃんとした“好きな人”になった。
好きの想いを込めて
高1の春に告白し、
付き合うことが出来た
私が“本当の両想い”を知ることが
出来たのは晴琉のおかげだ。
今はお互い結婚指輪をつけて
ある一室で同居をして
幸せな家庭を築いている。
だけれど、やっぱりふと航のことを
思い出してしまう。
どこにいるのかも分からない
あの人に語りかけてしまう。
“ねぇ、航、
君のことは完全には
忘れられてはいないけれど
今は君の幸せを願うことが
できるくらい強くなったよ。
でもね、他の人を想いながら
着るウエディングドレスも
悪くないな、なんて思ってしまったの。
いまは、今の旦那さんのこと、
好きでいるよ。
でも、航を想っていた時の
好きよりは少し小さい気がするんだ。
私にとってあの日々は
かけがえのないもので
とても幸せな日々だった。
そしてきみのことを愛していた。
それだけはどれだけ時が経っても
変わらないことなんだよ。
幸せにしてくれてありがとう
航、幸せになってね。”と__。
~エピローグ~
いつ終わりが来るか
分からないこの世界で
君に出逢えたことは
一生の中で大切な想い出であり
そして君と過ごした日々は
忘れられない。
忘れたくない。
そしていま精一杯の気持ちを伝えよう
もう逢えないであろう
君を想いながら
“君の事がずっと大好きでした_”
そして、
“あの子と幸せになってね”と。
でもね、ほんとは君の___。
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作者:飴翅 叶葵
更新日:2022.03.01.
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