オフセット・21時間前
幻のあんちゃん
夏休みのある日
見知らぬあんちゃんが
僕を遊びに誘うようになった
年上の兄弟がいない僕は
あんちゃんの背中を夢中で追った
あんちゃんと自転車で
全力で駆けた
虫取り網を持って
真昼の草むらを探した
日差し以上にあんちゃんの姿が
キラキラしていた
やがてあんちゃんは
パッタリと来なくなった
そして近所のどこにも
そんな男の子は遊びに来てないと言う
あんちゃんは幻だった
間もなく僕がひとりで歩いていけるよう
あんちゃんは
最後の思い出をくれた
僕はもう年上の兄弟を
望まなくなった