翠蓮❀・2023-08-03
瞳の中の心
忘れたくない大切だった人
『どうして翠蓮は瞳を見てくれるの?』
昔、君から聞かれた言葉
【瞳は人の心をうつす鏡だから】
いつからか人の目を見ることが癖になっていた
嘘も全て瞳で判断できるから
動物とご年配の方々、赤ちゃん、小さな子供は
純粋な瞳で心がすっと浄化されて…
そういえば君も全て見透かすような瞳で誰かを見つめてるよね
嘘に塗れた世の中で、信じられなくなったから
お互いしか信じられなくなったから
でも、私にだけ見せる君の瞳は違ったの
どこまでも優しくて、愛おしそうに見てくれて
どこまでも温かい瞳だったね
これが愛してる人の目なんだ…
いつも優しく見守ってくれてありがとう
『翠蓮は、世界一大切な人と、世界一大切な親友、どちらかしか助けられないとしたら、どっちを助ける?』
「もちろん親友」
即答した言葉に君は驚いた顔をしてたね
「大好きな親友に私の分まで生きて欲しいから
私は世界一大切な人と一緒に行こうかな」
あの時、抱きしめてくれた君は少し震えてたね
知ってたよ、泣いていたこと
あの時には知ってたんだね
私の病気と君の余命
最後に私の気持ちを確認するなら
はっきりと言葉にしたかったよ
「君が好き」
線香花火のように消えていく命だけど
最後まで生き永らえたら…
「この世界で望むとしたら、何?」
唐突に聞かれた君の言葉に驚いて…
「ん〜…」
考えてると君は優しく笑っていた
「君は何を望むの?」
聞き返した言葉に君は私の頭をそっと撫でて
「時間が欲しい」
って笑ってたね
今なら君の言った言葉の意味が分かるよ
時間は限られているから
私達は少ない時間の中で生きてるから
『大切な人との時間が欲しい』
私ね、もう1個だけ望んでることがあるの
『大切な人が幸せでいられますように…』
「なに、しにいくの…?」
君が私の手をつかんで、
壊れそうなぐらい泣きそうな瞳で私を見ていて
向かう先は何もない、消える事が隣り合わせ…
「どうして気づくの…?」
唇が震えてしまっい君は握る手を強めたね
「好きだから。ずっと見てきたから」
今でもあの時の傷跡は消えなくて…
それを見て君を思い出すよ
君が私の前から姿を消したあの夏の日…
今年もまた、あの場所に行くね
手を合わせて、君へお話ししにいくよ
待っててね
「海の中に泡となって消えてしまいそうだ…」
君が泣きそうな声でそう言ったあの日
泣きそうな顔で必死に私の体を抱きしめて…
君はそう言ったね
君の涙は何よりも綺麗だった
「居なくならないで…」
「不幸に、ならないで…」
掠れた君の声、今でも耳に残ってる
今は君が私を置いていって遠くに行ったね
もうすぐ全部を忘れちゃうけど、君のことだけは覚えていられるかな…
今ね、大切な人のおかげで幸せだよ
あの時、生きる希望をくれてありがとう…
1人に慣れて他者と一線を引いている
それが当たり前の日々で…
「怖くないの?」聞かれるけど首を振った
嘘だよ…本当は凄く怖い
でもね、大切な誰かをなくすなら、1人が良いの
今はね、夜、1人でいることが怖い
苦しいから、痛いから
でも、頼り方が分かんなくて…
『助けて』なんて言えなくて…
君がいてくれた時、お互いが助けだったから
だから怖くなかった
君も人を信じられなかったから
初めてお互いを信じられたから寂しくなかった
ねぇ、君に会いたいな…
もう一度だけ君の笑顔に触れたい…
もう少しで君のもとに行けるから
空の上で待っててよ
「僕の婚約者になってください」
あの日からもう1年が経つんだよ
今は君はどうしてるかな…?
空の向こうはどんな景色なのかな
そっけない君が、どんどん甘えてくれて…
いつしか大きな存在になっていたあの日から…
「愛してる」
君の涙ながらの声が今でも耳に残ってる
今はね、大切な人ができたの
とっても優しくて、強くて、素敵な人なの
「愛してる」を教えてくれた君だから分かるよ
今ね、幸せだよ
また数年後、空で会おうね
裸足で君と歩き始めた日
溺れることも気にせずに君と進んだ時間
まるで時が止ったみたいに、世界が2人だけ
ねぇ、覚えてる?
「何が起ころうと愛してる」
あの時の君は涙で声が震えていたね
今では伝えられない言葉がたくさんあるね
壊れかけた君に手を伸ばせずにいる
雲の向こうはどんな景色ですか?
今でも、君は好きでいてくれてるのかな…
またいつか会った時に、君の大きな手で、ギュッと抱きしめてね
またね。ずっと大好きで、愛してました
夕暮れ時、君との「またね」が名残惜しくて…
遊ぶ時は少し早めに家を出て待っていたね
帰るまで君の大きな体でギュッと抱きしめて
心まで温まっていたの
どこにも行けない、誰にも理解されない
それでも、2人でいれば幸せだったね
今はもう会えないけど、元気かな…?
あの時から1年、思い出しては会いたくなる
あの時は「私も連れてってよ」って思ってた
でもね、今は傍にいたい人ができたの
あの時、大切にしてくれてありがとう
いつか雲の向こうで会えたら、また話そうね
ありがとう。大好きで愛してました