はじめる

#掟

読んでると、
思わず胸がギュッとしめつけられる、
そんなポエムを集めました。

全21作品・



「辛いですか」


ヨイヤミは「彼女」の心の内を


読んだか、そう囁くように言った。


彼女は細く枝を揺らすと


「いいえ」と笑う。



「あの日々は…天国でした」



「彼が居ることの幸せ、ですか」



「どうでしょう…私はただ、ただ、楽しかったのです。それまでのどんな日々より、それからのどんな日々より」



さわさわと揺れる枝の擦れる音は


こんなにも優しかったかと


ヨイヤミは顔を綻ばせる。




触れると伝わる、彼女の


迅太への想いとその行方。




「続きを話しても?」


「ええ、聴かせてください」



過去が伝播したとて


話を聴こうとするのは


彼女の心の闇を


救いたいと思うからだ。





【ヨイヤミCase One witches broom④】







「んーー!きっもちいー、あー、ここの水はいい水だなあ」


迅太は素早く服を脱ぐと


その服ごと川の中へ飛び込み


水面に顔をあげてはそう笑った。



「いい居場所があっていいな、な!さくら!」



私の心に迅太の言葉の風が吹く。


私は桜の木だ。


それ以上でも以下でもない。


まして、人間様のように


名などあるはずもない。



なのに、迅太は


私を一直線に見つめて


さくら、と呼んだ。



「さくら…?」


「お前、桜の木だもんな」


「そうですけど」


「名前、あった方が呼びやすいだろ」


歯を見せて、目を細める迅太に


心が熱くなっていく。


何故だかとても照れくさかった。



こんな気持ち…はじめてだ。




「名前があったとて、私を呼ぶ人なんて…」


「んー…俺がいるじゃないか」


「…迅太さんだってそのうち何処かへ行くでしょうし」



行って欲しくない


どこにも行かないでとは


言えなかった


その代わりに私は


可愛くもない強がりで


否定を待つ。



迅太は、いつも


それに乗ってきた。




「俺、ここに骨埋めようかと思ってさ」


「え?」


「里の掟でさ、抜け天狗は一生追われる」



「そんな…、逃げ出さなきゃならないような状況を作ったのは向こうじゃないですか」


「それでもきっと奴らは俺を探してるよ」


迅太は、悲しそうに空を見上げる。


迅太が見つめた空は


どんよりと黒い雲が広がっていた。



「迅太さん…」


「ん、でもさ」


暗く声を落とした私を気遣って


迅太は気を取り直したように


明るく声を弾ませた。


「五つも山越えてここまで来たし、そう簡単に奴らもここまでは来れないさ。ここもいい山だ、時期にいい住処も見つかるだろ」


「天狗はどこに住むんですか?」


「木の上に巣を作るんだ」


「じゃあ、迅太さん、私の上に巣を作りなさいな」


「は!?え!」


おかしな事に迅太は


突然にあたふたと汗を拭って


顔を赤らめた。



「私…何かまずいこと言いましたか…?」


「いやぁ……」


迅太は私を上目で眺めてから


鼻をぽりぽりとかき


そして私を優しく叩いた。



「それもいいかもな」



その照れくさそうな笑顔は


ずっと私の心の中の宝物だ。



「でもさくらは俺を支えるには少しばかり小さいや」



「そう……ですか」



「まあ、大きくなるまで待つからさ、頑張って土ん中の栄養取り込めよ」



迅太がぺしぺしと


私の根を叩きながら、笑う。



私に笑う。



笑いかける。



そして私を待つという。



だから、私は


強く、太く生きようと思った。





私の枝の上に


巣を作ったら


ずっと一緒にいられる


ずっと一緒にいたい


だからこその努力が出来る



その想いの強さを感じた時



ああ、これが


人間様のいう、恋なんだ



そう、私は気づいた。






私は、迅太が好きだ。




【ヨイヤミCase One witches broom④終】

ひとひら☘☽・2020-02-02
幸介
幸介による小さな物語
シリーズ
ヨイヤミシリーズ
物語
小説
天狗
独り言
病気
ポエム
3つの宝物
宝物
ルール
異種間恋愛
片想い
未来の恋の行方

贈り物くれないと拗ねる

ー掟ー

其ノ壱 波長が合わない人は無理

其ノ二 「りぃくん」か「はやせ」
って呼ばないと無視

其ノ三 独占欲と依存度が高め

其ノ四 バイセクシャル

其ノ五 ( '-' )

其ノ六 離れない人好き

其ノ七 とーくしたい

其ノ八 顔出し無理

其ノ九 LINE無理

其ノ十 お友達待ってる

颯瀬 李依兎・2020-01-19
りぃぬくん
じゃないよ
りぃと
だお
トーク募集


“平穏・平和”に成れなかった…
“平成時代”


“令和時代”は、
争いの無い(零・令)、
和やかな時代に なりますように。

*にゃんちむ* (一言、更新!見てね♪)・2019-04-02
新しい時代
令和
和み
さよなら平成

これらの作品は
アプリ『NOTE15』で作られました。

他に21作品あります

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掟を破ることは許されぬ


ただ、ただ

守りたかった

Mari・2019-09-23
遠い昔
繋ぐ
守りたい
独り言
ポエム
自分だけの宝物
桜Wish/記憶
記憶/from:Mari
古からの手紙

忍掟1条、婚姻は里の者同士
加えて長の決めた者同士で行う事
忍掟2条、婚姻を果たした者は子成に励む事
忍掟3条、無断で里を出る者、抜け忍と覚え
全力を持って其の命狩る事と心得よ





桜の花を何故そんな風に見つめる。
それはやはり…
俺の兄弟に恋をしたからなのか。




「玉葉」
俺が妻の名を呼ぶと、彼女は肩を震わせた。
後ろ姿だ。
その表情を窺い知ることは出来ない。


ただ、わかる。
妻は泣いていたのだ…
月夜に散りゆく桜を見ながら。



「立葉…どうしたの」
無理をした弾むような声が心に突き刺さる。



「泣いていたか」
「…うん、桜が散るの綺麗で、切ない」
「…そうだな」


俺はそうは思わない。
それでも話を合わせたのは
合わせなければ
聞かなければならないからだ。



【何故泣いた?】



問えば、どつぼにはまっていく。
知りたくもない真実をまざまざと心
深くへと知らしめられてしまう…
その事はわかっていた。



「そろそろ時間だ、寝屋に行かなくては」
「…うん、わかってる。ねえ立葉」
「なんだ」
「その前にもう少しだけ、桜見ていていい?」
「好きにしろ、俺は…寝屋で待っているからな」
「うん…」



俺はきびすを返して、寝屋へと歩む。
一度も妻を振り返ることはなかった。


振り返れば嫌でも見える。
大切な彼女が、桜を介して
あいつを見つめる姿が。



俺と床を共にするのが
そんなにも苦痛かと、拳を握る。


その後で決まって俺は首を振って
「今は俺の妻だ」と、自分に楔を打つのだ。


俺は、義兄弟の契りを交わした親友と
許嫁の玉葉が恋に落ちている事を知っていて
玉葉の手を離せなかった。

俺が手を離せば
玉葉は俺の親友と共に里を抜ける…


里の掟は絶対。
玉葉が、親友が同胞に狩られる
そう思えば容易くその手は離せなかった。


もう、親友と玉葉が離れてから
十年経つというのに彼女の中から
親友の影は一向に消えない。



こうなれば、感じる度に想う。
あの時の判断は…正しかったのか、と。




寝屋に入ろうと簾をあげた時
ともがらの八葉が音もなく近付いた。



「おい、立葉」
「なんだ」
「辛そうだなあ?」
「何が」


見透かしたような態度の八葉に苛立った。
荒らげた声からまた何かを感じとったようで
八葉は哀れみの目を俺に向けた。



「だから、言ったじゃねえか」
「…何を」
「玉葉を手放す気はないか。って」
「さあ、そんな事誰か聞いたか」
「あいつに渡してやれ、その方がいい」
「あいつって…誰だよ」


「…強情っぱり。こんなの、みんな、辛いだけだろ」
「……わかってる」
「おめーはわかってねえよ。知らねえぞ、その判断がまたお前らを苦しめる事になんだからな」


俺は、八葉を睨みつける。


何がわかると言うのだ。
俺ではない八葉に
俺の想いがわかってたまるか。


わかってる…

手を離せば玉葉は
本物の幸せを手にいれられるのだろう。
それが例え命を縮める事になっても。


でも出来ない。
どうしてもこの手が
この心が言うことを聞かない。


俺は怒りか切なさか
震えながら息を吐き出して
八葉を無視するような格好で寝屋へと入った。



寝屋には
煎餅布団が重ねられている



里に必要な人材を生み出す…


玉葉は…その為だけに
俺に抱かれるのか。



掟のままに婚姻の契りを交わした。
掟のままに玉葉とひとつになった。


掟なんてなければよかった。
そうしたら、友と正々堂々勝負出来た。
玉葉を賭けて笑い合えた。


不戦勝のような今がとても苦しかった。




「……俺はどうすりゃいいんだよっ」


涙が込み上げる。




その時、寝屋の簾が静かに開いた。




「立葉…お待たせ様」
玉葉の声だ。慌てて涙を押し込んで振り返る。


「玉葉、遅い」
俺は笑った。冷静に、平常に。


「ごめん」
妻も笑った。優しく、泣き腫らした目で。



「おいで…」
手を伸ばして床に妻を誘う。

「うん」
妻は手を伸ばして、俺の手をとる。



俺はゆっくりと妻を抱き締めた。


玉葉の香りだ。
玉葉の形だ。
玉葉の温もりだ。
玉葉の…



心はどこにある?



「玉葉、お前が好きだ」
たまらずに伝える。
私もだよと、可愛い声で笑って欲しくて。


「うん」
けれど、返るのは
気のない返事と切なげな眼差しだ。



「玉葉」
「うん」


…すまん。

「玉葉…っ」
「うん」

…俺を恨むか?



聴けない想いだけが募り
歯がゆさをぶつけるように
玉葉をきつく抱いた。


桜の花びらが
簾の隙間からひらひらと舞い込む。
天窓から差し込む月光がやけに冷たく感じた。


さあ


切ない夜の、幕開けだ。

ひとひら☘☽・2019-10-09
riyu
追憶/TruthDragon
小説
切ない
物語
苦しい
片想い
乗り越えたい
両想い
両想いの片想い
花びら
月光
恋の残り香
独り言
ポエム

いずれ僕ら大人になるんだろう?

いつか綺麗な招待状が届いて

大人の世界に迷い込んで出られなくなる

そうなるともう二度と

子どもの世界には戻れない

それが「掟」なのだ

里沙・2019-01-07
大人
子ども
大人の世界
迷い込んで
いずれ
僕ら
招待状
綺麗
里沙

1.決して人前では泣かないこと

2.泣く時は、1人で泣くこと

3.みなには笑顔の背中を見せること

これが私の掟

goodbye・2021-06-12

古顔だから知っている

掟だから守らなきゃいけない

誰がそんなこと決めたんだ

人間誰しも一人一人に合った

やり方くらいあるだろう

守るべきものを守らないで

正義のヒーローにでもなったつもりか?

海月輝 (月輝)・2019-01-24
生き方
苦しみ
苛立ち
月輝

慎重であれ

その上

正確であれ

ILUSM・2018-12-13
恋愛
頑張れ

ルールや掟が多い日本


たまに生き苦しくなったりもする

ちなむら・2019-01-21
ルール
日本

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