#最低な母親

音もしない。声もしない。
こんなに穏やかな夜。

お父さんの膝枕にコロンとなって
久しぶりにテレビを見せてもらった。

ママとお父さんが別れる時
お父さんはあたしを手放したくなくて
ママの不倫が原因だったし
めっちゃいっぱい頑張ってくれたけど
その頃ちょうど
お父さんの海外赴任が決まって
あたしは
お父さんのところに来れなくなった。

ホントは
お父さんを一人にしたくなかった。
ホントはママのとこで
不倫相手と暮らすのが嫌だった。　

お父さんとさよならの日は
めっちゃ泣いて泣いて泣いて
でもママはすぐ不倫相手の
今のパパのとこに転がり込んだ。
あたしも一緒に転がり込んだ。


お姉ちゃんや兄貴と出逢えた事
わかり合う事が出来た事
レイくんが生まれた事

これは悪い事ではなくて
めっちゃいい事なんだけど
素直に喜べなくて

今のあたしたちの何不自由ない生活は
向こうの奥さんや
お父さんの涙の上に成り立ってて
きっと今もめっちゃ苦しんだり
寂しかったりしてるんだろな
そんな事考えると堪んなくなる。

お父さんちの冷蔵庫。。。
缶ビールがめっちゃいっぱい入ってて
ゴミ袋にも空き缶だけが大量に入ってて

なんか、、、なんだか
パパに会えるのうれしーけど
こうやって会って楽しくても
結局バイバイしなきゃならなくなって

パパはいつまでもしがらみから
抜けられないんじゃないかって。。。
そんな事、思ったりもする。

なんか。つらい。