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#灰と游ぶ。

読んでると、
思わず胸がギュッとしめつけられる、
そんなポエムを集めました。

全17作品・







『変なひと』










「あの、わたし、緊張しやすいんです。そういうのに効く薬はありますか……?」




 自信なさげに目を伏せる少女が、扉のベルを鳴らして現れた。


 話しかけたと思われる僕に対しても目線を合わせてくれず、瞳孔がやけに揺れている。



 絹のように白く、あまり日に焼けていない腕を、寒さに耐えるかのように組んでいた。残念ながら冬の空気が遠のいてきており、近頃は暑さすらも感じるが。





 そんなことを考えながら、少女を見つめていると彼女の胸まで届く、長い髪が揺れていることに気付いた。
 ここは室内だ。新たな客が来て、扉が開いたわけでもないのに何故揺れているんだろうか。







 なにか、おかしい。





 緊張しやすくて内気な性格だと言っても、こんな風に見えるのだろうか。





 僕はどこか違和感を感じつつも


「少しお待ちください」


と言って、薬が並ぶ棚をすり抜け、その奥へと進んだ。



 調合には悩んだけど、いい薬があったことを思い出した。少し手間がかかるけど。













 持ってきた薬を小さな紙袋に入れて、すっと少女に手渡した。彼女はなにか言いたげにしていたが、紙袋を受け取ると、また目を伏せて去っていった。










 すっと静かになり、お暇となった扉のベルを眺めていると、自分の肩に誰かが腕を回してきた。わざわざ顔を見なくても、それが誰なのかはすぐ分かった。



「晴人。なんだよ、彼女の惚気はもう聞かねえぞ」



「なあ、さっきの女の子。ちゃんと代金払ったよな?それに、うちの薬の中でそんな調合ができるモノなんてあったっけ?」


 僕はふざけながら言ったけれど、晴人の声色は重たかった。




 僕の言葉には何も返さず、晴人は少女のいた空間だけを見つめている。その表情にも不安が感じられた。





「代金を払うどころか、彼女本人は払うつもりも払うお金も無かったと思うよ。あと、あの紙袋の中に薬なんて入ってない」





 少女がおどおどした様子で薬の有無を聞いてきたのは、緊張しやすいから。


 それは確かだと思う。


 けど、それだけであんな挙動になるのだろうか。




 見た目は普通の女の子だったし、人目を気にしてキョロキョロしているわけでもなかったが、少女の瞳がなんだか暗いように見えた。




「え、でも、薬を入れたんだよな?」



「うちで扱ってる薬は入れてないけど、彼女にとっての薬は入れたつもりだよ」



「は?お前、何言ってんの?それに、あの子が払うお金すら持ってないって……」




 僕の言っていることは決して間違いではないはずだけど、晴人はよく分からない、という顔をしている。






「ちょっと来い」


「あぁ」



 僕は周りのお客や従業員に聞かれないよう、晴人を連れて、人気のない薬棚の奥に移動した。そして、ひとつ咳払いをしてから説明した。





「薬屋の裏にナガミヒナゲシが自生してたから、適当に摘んで、それを入れただけ。だから、あの袋の中身はただの花」



「え、花?薬じゃなくて?」


 僕は腕を組んで壁をもたれつつ、晴人の脳内に染みわたらせるようにゆっくりと話した。





「そう、植物の花。うちで調合した薬なんか入れてない。彼女が後ろめたそうにしてたから、緊張しやすくて人見知りにしては違和感があった。だから、わざと花を入れて、彼女に渡した」




「お前、最初からあの子がお金持ってないこと、気付いてたのか?」






「そういうことになるね。そのせいか、僕が代金を貰おうともせず、普通に薬を差し出してくるから彼女がやけに驚いてたけど」





 二人の重く、静かな空気に水を差すように、カウンターのほうから人の声とベルの音が聞こえた。


 そろそろ戻らないと。まだお客さんが多く来る時間帯だな、なんてぼんやり考えていると晴人がボソッと言葉を漏らした。





「でも、最初から払うお金を持ってないのに、うちの薬屋に来たってことは……」



「あの少女は罪を犯そうとしてたんだよ。結果は未遂に終わったけど」



 晴人の中に溜まる、いやな予感を俺はしっかりと穿つように言った。




「いやいや、未遂でもアウトじゃんか。ちょっと誰か呼んで……」




 従業員を呼び出そうと、明るい方へ行こうとする晴人の手を掴んで、その歩みを止めさせた。





「もういいから。緊張しやすいのは本当だと思うし。結局、何も盗まれずに済んだんだから、こっちに何も損は無いんだし」



 本当に調合した薬を入れたわけではないし、ただ街中でもよく見かける花を彼女に渡しただけ。



 それに、彼女が根っからの悪い子ではないような気もした。袋に入れたナガミヒナゲシがあの少女を更生の道に導いてくれるのではないかと、僕は淡い、しがない期待を抱いていた。



 それに縋りつくように、晴人に訴えるように彼の手首を握る手元を少しだけ強めた。





 晴人はじっと固まって、またボソッと呟いた。


「……変なやつ」








 その言葉に、僕も握る手をゆるめた。



「腐れ縁の人には言われたくない」



 そう言い返してやった。










 それから、少女のすがたは僕も晴人も見なくなった。

灰宮 凪・2023-06-06
ようやく書き終えたのでとりあえず満足です。
後半から文章の書き方が雑になってます。すみません。
この話を優しい物語ととるか、狂ってる二人の物語ととるかは読み手次第です。
なんか堀川次郎と松倉詩門の二人みたくなってますが、全く関係ありません。
推敲はやらない質なので、毎回目が粗い小説で申し訳ないです。
誤字脱字あれば教えていただけると助かります。
灰と游ぶ。
創作
小説
短編小説
ないものねだり






『君の死骸に花束を』






「ねぇ、私って笑うと気持ち悪い?」



 目の前に座る彼氏にそう言った。

 自分を好いてくれる人にそんなこと聞くなんて愚問かもしれない、そう思った矢先。



「そうだね」

と即答されてしまった。




 じゃあ、なんで付き合ってんだよ!

 と言い返したくなるのを堪えていると、彼氏は続けて「理解はできるけど共感はしないよ」と言った。




 一瞬、その言葉の意味を飲み込めなくて、時間経過で私の頭に入ってきた。


「私の彼氏なら理解もしなくていいよ!」





「あのなー。俺がお前を好きになった理由を理解するなって、困ったことを言う彼女さんですね」



 私は一度、呼吸をし直した。

 なんだそのセリフは。両手に鞭かと思ったら、口の中に飴を隠してましたみたいな。





 私はチラッと彼氏の様子を窺うと、すぐそばにいる人物は少しだけ拗ねた顔で頬杖をつきながら、こちらをじっと見据えている。


 その瞳は私というよりも、今の私を通して過去の私を見つめていた気がした。





「言っとくけど。自分のスマホを見つめながらニヤニヤしてる奴が近くにいたら、誰でも気になるから」

 怒っている訳でもなく、ただ私に語りかけるようにそう言う。





「でも、気持ち悪いって思う人もいるよ?」



「俺にとっての恋愛は自分の気持ちが最優先じゃなくて、好きな人が何に喜んで、何が楽しいかを見てるんだよ。

他の人の恋愛なんて興味ないけど、少なくとも俺がお前に惚れたときはそうだったんだよ」




 彼氏の手が私の髪に触れて、揺れる毛先が指に絡む。
 散髪をしてから一年が経ち、すっかり胸元に届くくらいまで伸びていた。




 自分の中で熱が溜まっていくのを感じる。



 彼氏の頬には紅色が灯る。その表情を見ると、君に初めて話しかけられたときの表情と似ている気がした。














 そこに君が居て、少しだけ嬉しかったんだ。

灰宮 凪・2022-09-05
あれ、小説の書き方を忘れました。
今皆さんが見ているものは何でしょうか。
信じるも信じるもあなた次第ですよ。
感想くれる人にはアメちゃんあげるよ。
短編小説
灰と游ぶ。
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『余計なもの』







 その日の私は、体に余計なものを抱えていた。


 布団から起きても、猫が縋り付いているみたいに足取りは重かった。実際、猫など飼ってはいないけれど。




 居間に続く扉を開けてすぐ横にあるキッチンを見ると、知った顔がスマホを睨みつけながら立ち尽くしていた。





 私に気付くと、さっきまでの表情が和らいで心配そうに眉尻を下げた。






「寝てなくていいのか?」



「うん。それよりもお粥作るなら、たまご雑炊にしてね」





 私が言うと少しだけ拗ねながら、冷蔵庫からたまごを取り出した。








 ソファに座って、キッチンの様子を見守る。


「えぇ?これ、どうやってやるんだ?」なんて、間抜けな声が聞こえてきた。











 腰を下ろしても、足元にまだ見知らぬ猫の存在を感じた。


 けれど、君とこんな日を過ごすのも悪くない気がする。










 ケホケホ。早く元気にならなきゃ。

灰宮 凪・2022-10-24
唐突に書きたくなるという発作((
この話、本当は「ぴた200」で出そうと思ってたんです。
でも、200字に収められそうになくて、諦めて300字超で書きました。
題名に反してきっと可愛い内容になってるであろう小説擬き
これでも勉強しなきゃいけない身←
小説
灰と游ぶ。
僕を創る君
タグお借りしました。
短編小説
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結び目
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『春爛漫』









「あなたにとって、恋の色はなんですか」

 ピンク色、黄色、緑色、青色。選択肢の中に僕が思う恋の色がなくて、スマホの画面から目を逸らして、机に突っ伏した。

 僕に、心理テストは向いてない。

 僕にとっての恋の色はピンク色でも、黄色でも、緑色でも、青色でもない。どんな色も違う。そもそも色なんて付いていない。

 最初に質問を見たとき、僕が浮かんだのは白色だった。

 君が嬉しそうに笑っていると、僕も嬉しい。君が悲しそうに泣いていると、僕も悲しい。

 そうやって僕の白色に、君が勝手に色を塗りたくっている。君が赤色だったなら僕も赤色、君が青色だったなら僕も青色になるだろうと思った。

 ひとつだけ例外を除けば、僕は従順な白色だ。





 そんなことを想像してから、ふと窓の外を見ると桜の花びらが柔らかく、宙を舞っていた。

「足りない……」

 空気の冷たさがひっこんで、陽光の暖かさを実感するようになったけれど、僕には春も、夏も、遠く感じる。

 僕には、視界を流れるピンク色も季節外れに思えた。

灰宮 凪・2023-04-11
灰と游ぶ。
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短編小説
予感
創作
独り言







『なかないあおおに』










 友達のために書いてきた置き手紙も、今となっては何を書いたのか、覚えていない。








 僕が嫌われる代わりに、友達が村の人たちに好かれるならいいと思った。



 それが友情だったのか、愛情だったのかも自分じゃ分からない。





 ただ、とても満足した。










 ふと友達に呼ばれた気がして、振り返った。





「おーい!あおおにー!」






 聞こえる。




 あの山の峰の向こうから、よく知った声が聞こえる。











 僕は知らないふりをして歩いた。それが涙を含んだ鼻声でも。

灰宮 凪・2023-03-18
灰と游ぶ。
揺られる自家用車の中で執筆したとか信じられない。
例外もありますが、灰宮は基本的に車酔いはしないタイプです。
車の中で小説書くのも珍しいですね。
よっぽど暇を持て余しているのかな?
いやいや、衝動的に筆を取りたくなっただけの事。
以上、深夜の高速道路からお届けしました。
ぴったり200文字で小説書いてみようチャレンジ
創作
小説
友達
昔話
もうひとりの自分




『ベールアップ』





 かわいいレースが編み込まれたカーテンの向こう。

 昇ってきた朝日が透けて、少しずつ部屋の中に優しい光が満たされていく。



 目の前で、泣き出しそうな彼女の顔が見えた。



 おもちゃの指輪を嵌めてあげると

「いつの日か、本物をください」

と笑われてしまった。




 ベールの代わりに掛けた、淡いレースカーテンの裾に手を伸ばした。




 嗚呼。なんて贅沢な誓いの儀式だろう、と思う。



 互いの目尻から、雫の一つが滑り落ちていく。




 未明の霧を梳く。

灰宮 凪・2024-08-06
未明の霧を梳く。
ぴったり200文字で小説書いてみようチャレンジ
過去に投稿したタグ紹介から、小説でも書いてみるかと思い立ちました。
自分で考えたタグとはいえ、我ながら気に入ってる((えへへ
小説
灰と游ぶ。
短編小説
創作
独り言
苦しいくらいに優しい君
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『レディグレイの香り』








 今でも柑橘系の香りが抜けずにいる。








 お湯を入れてふわりと立ち上る湯気に、僕は懐かしさを覚える。




 お湯は徐々に茶葉から甘味を絞りだしていく。無知な透明から、深い紅色へと変わる。







 彼女がすこしだけ微笑んで、



「おいしくなあれ」




と呟きながら、くるくるとお湯を回し入れていたのを不意に思い出した。








「おいしくなぁれ」





 二分後、一縷の望みをかけて呟いた。








 底に沈んだティーパックを取り出して、一口だけ飲んでみる。








「苦い……」

灰宮 凪・2023-01-13
夢はひそかに、恋はほのかに
いきなり頭に浮かんだ話を抽出いたしました。渋みは保証しないです。
気になった方はぜひレディグレイを調べてみて下さい。
ちなみに、灰宮は珈琲も紅茶も飲みます。
本日、久しぶりにレディグレイを頂きました。美味しかったです。
ぴったり200文字で小説書いてみようチャレンジ
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灰と游ぶ。
小説
創作
空を見上げて
切ない




『無題』







最後の夜を数えてた。


丸い輪の中に飛び込めば、


ラクにもなれたのに。


命を延ばし続けてた、


自分で決めたはずの余命。


息が続く、今も。


白い息が見える。まだ。


生きている、そんな気がしてる。


ずっと願ってた、


最後の斜陽。


暖かいのに、手が冷える。


頬を伝い、枕が濡れていく。




あの丸い輪の中に飛び込めば、


その世界に行けたのなら、


きっと、もう、傷付くことなど無いのに。




自分の体温が、この体から抜け出していく。


血も、涙も、汗も、動かないまま。




もう、何も感じなくなる。


「辛い」も

「泣きたい」も

「苦しい」も

「痛い」も

思わなくなる。



きっと泣くことなんて無いだろう。


嫌なことも無くなるだろう。


嗚呼、よかった。これで良かった。


この体を動かすことは無いのだろう?


この体で、この頭で、この脳内で、



自分の価値を問うことなど。



そんなこと、



もう二度と……。











「嬉しい」も消えていく。



「楽しい」も消えていく。



「ありがとう」も消えてく。



「だいすき」も消えてく。



「あいしてる」も消えてく。



あの空も、その花も、



あの笑顔も、その愛情も、



消えるの……?









心が熱い。


見えた桟橋がかすむ。


酸素は鈍らない。


燻る心と、冷えた体の隙間に


結露ができる。


泣きたくなってきた。






矛盾が生まれた。



まだ生きたいと嘆いてる。



この心が叫んでる。



いやだと言ってる。







愛せない。


愛されない。


それでもいいから。


辛くてもいいから。






明日が見たい。


本が読みたい。


笑っていたい。


楽しんでいたい。




つらいのは、いや。


くるしいのは、いや。


いたいのは、いや。









それでも、生きていて、いいかな。






生きてみよう、かな。




灰宮 凪・2023-12-16
灰と游ぶ。
さて、こんなに独り善がりな文章と内容は一度きりになるでしょうか。私にも分かり兼ねます。
好きな表現も生まれたので、書けてよかったです。
独り善がりな書き方はポジティブに言うと、一人称視点から描写を綴ることができるので、なんだかんだ良かったりします。その分、読む人を置いていってしまう時が多いですが。
小説







『いつかの恋心』









 ふう、と息を吐いて、階段を下りていく。
 まだ履き慣れないヒールで山ほど歩いたせいか、足取りが重い。



 あと半分のところで踊り場に出ると、手すりの向こうに立ちつくす女の人が見えた。


 何かを前にして考え込んでいるようで、少しだけ身を乗り出してみると、年季のはいった傘立てがあった。

「突然の雨にお困りの方へ、傘をどうぞ」
と書かれた紙が靡いている。




 そういえば、いつも置いてあったっけ。

 そう思うのと同時に、帰りの電車の窓に雨が打ちつけていたことを思い出す。




 あの女性は、傘を持っていないんだろうか。

 なんだか見入ってしまって、その場で様子を窺ってしまう。



 不意に、女性は意を決したように、赤いチェックの傘を手に取った。





 その瞬間、目が離せなくなった。



あれ、私が知ってる傘だ






 かわいらしい柄のその傘は、ついこないだ、母に

「使ってないなら、駅前の傘立てに持っていくよー」

と言われたものだった。








 女性は大事そうに抱えると、傘立てに感謝するかのように、そっと一礼した。


 それを見守っていた私まで感化されて、疲れていたはずの心が「どういたしまして」と呟いた。




 きっと素敵な人なんだろうなと、そのまま見惚れてしまう。








 その人が歩き出して、そのまま屋根の下に立つと、優雅に目線を落として傘を広げてから、雨の街を歩こうとした一瞬。


 横顔が見えた。


 ほのかにアイシャドウが乗っていて、頬が色づいて。

 鼻筋のとおった、美しい女性だった。




 知ってる人だった。









 忘れかけていたはずの思い出が、間欠泉のように湧き上がってくる。







 中学生だった私が、はじめて恋をした相手だった。



 優しくて、人気者で、みんなに囲まれていて。

 友達のように接してくれていた彼女だった。






 今すぐ駆け下りて、声をかけることもできなかった。

 ただ、手すりを握る指先が熱い。






 あの一秒間で見えた彼女を、何度も、反芻してしまう。




 それだけで心の中が破裂してしまいそうになって、その場にうずくまった。




 当時、告白した記憶はない。


 けれど、今から追いかけてでも伝える言葉がなにひとつ、見つからなかった。

 好きだと言っても、困らせてしまう気がした。



 そもそも、まだ自分のことを覚えてくれているかも分からない。


 もう、忘れられているかもしれない。







 どうすればいいか躊躇する私とは反対に、心臓は恋情に燃えるみたいに蠢いていた。































 どれくらい、そうしていたのだろう。


 残りの階段をようやく下りて、誰もいない出口に立つと、雨の降る音が激しくなっていた。


 水たまりのかさが増していて、雨樋をすべる水の量がすさまじい。



 幸いにも、雨が酷いだけで、風はそれほど強くもなく、なんとか歩いて帰れそうだった。






 鞄から折りたたみの傘を取り出して、屋根の下から出た。






 バスロータリー。隣にある公園。横断歩道。駅前のコンビニ。駐輪場。

 思わず、周りを見てしまう。














 だが、あの見知った傘は、どこにも無かった。

灰宮 凪・2024-08-26
寝ようと思ってたのに、衝動に負けてしまいました。
これで一時間半の出来なので大目に見て((
はやく寝たいです。頼む。寝かせてくれ。
誤字脱字だけ教えてくれたら幸いです。
創作
独り言
灰と游ぶ。
小説
短編小説
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『ドキドキしたら負け』







「お前、鋼のメンタルだよな」



「はにゃ?」



「だって、男子を恋愛対象に見たことないだろ」



「あぁ。よくご存知で」



「それで、そんな鋼のメンタルであるお前と、愛してるゲームをしてみたいんだけど」



「別にいいよ。なんか嫌な予感がするけど」



「よし。じゃあ、お前から」



「え、えーと。あ……愛してる?」





 そう言った目の前の女子は、頬を紅く染めていた。


 まさかの表情に俺は面食らって、白旗を上げた。











 たった三分の、恋の駆け引き。

灰宮 凪・2022-09-28
カップヌードルもできちゃった恋模様
本当に書きたいのはコレじゃないけど、急に書きたくなった!
これが小一時間の出来だ!(暗黒の微笑)
会話ネタの単品。あとは皆さんの妄想にお任せします(やり投げ)
「はにゃ?」は使ってみたかっただけです!!
灰と游ぶ。
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小説
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『大恋愛』










 成人式の日。



 セレモニーが終わって、懐かしい同級生との再会もひと段落がついた頃。僕は見知った彼女を連れ出して、人目のつかない場所まで走ったんだ。







「もうやめて!」

「私はあの日から時間が止まったように過ごしてきた。過去形にも現在形にも未来形にも、あなたへの気持ちは動かない」

「あなたへの気持ちはあの日に拒まれて、臆病なまま、どこかの一点で留まり続けているの。あなたを忘れるために、誰かを好きになろうとしたこともあったわ」

「でも、やっぱり私は何処にも行けなかった。あなたのことも、その誰かのことも、思い出してしまう」

「今じゃあなたを好きなのか嫌いなのかさえ、冷静に判断もできない」

「あの日のままで居られたら、どんなに良かったって思う」

「それでも、もう、私とあなたじゃ、昔には戻れない」

「あなたは今でも私の心を掴んで離さない。それが苦しくて、嬉しい」

「私は、あなたが大嫌いで大好き」

「だから、あなたとも付き合わない」








 それは濾過もしていない、深く考えることもない、彼女自身の心からそのまま溢れた言葉だった。




 そんな言葉を言い放ってから、彼女はひとつお辞儀をして、成人式の会場へとまた向かっていった。









 セレモニーが終わって、懐かしい同級生との再会にひと段落がついて、会場の外で彼女を見かけたとき。

 僕は自分が何をしたいのか分からないまま、彼女の手を掴んでいた。



 そうしてその答えも分からないままに彼女の後ろ姿を見送った。









 それからのことを、僕はあまり覚えていない。

灰宮 凪・2023-03-22
ただの恋愛小説です。
独り言
創作
灰と游ぶ。
小説


氷がとろける音がした。光とかき混ぜれば、お気に入りのグラスのなかで甲高い音をたてて、楽しそうにくるくると転がる。時間の存在を炙りだすように、水は進む。窓辺においた、プラスチックの小さな子豚がせっせと仕事をしている。その向こうで、青色が雲の輪郭を辿るように映えている。近所からも似たような甲高い音色が聴こえてきた。余裕を感じてしまう。まだだよ、私はまだ、葉の赤や黄色は見たくはないんだ。まだ、解けないで

灰宮 凪・2023-09-29
灰と游ぶ。
こういう書き方してる人をいっぱい見かけて、私も一度やってみたかったのです。
なんとなくで書いてたのに、思っていたよりも、好きだと思う文章が書けて満足。
創作
小説
独り言
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