はじめる

#特別出演

読んでると、
思わず胸がギュッとしめつけられる、
そんなポエムを集めました。

全2作品・


逢いたい動物の顔と名前が

一致しないドラコンは

私がテスト勉強をしている間も

ひたすら考え込んでいる



「……ねぇ、まだなんの動物だったか

考えてんの?」

「おうよ」

「いい加減諦めたら?」

「脇毛処理もしてねぇアルマジロを見て

この俺が諦められると思うか?」



……はたしてあれが

脇毛かどうかはさておき

早々に諦めた方がいいと思う



呆れる私をよそに

ドラコンは眉間に皺を寄せ

ミクロな指を顎に当て

いつになく真剣な様子だ



どうせ今何を聞いたところで

また見当違いの動物の名があがるに

違いない



そう思った私は

テスト勉強に集中することにした



だが30分もしないうちに

何やら後ろで会話が聞こえてくる



「お前、ほんっとに変態だな」

「全身タイツのお前に言われたくねぇ」

「何を!?全身タイツを変態と

一緒にすんな、これは男のロマンだ!」

「いやいや、男のロマンはパンツだろ!」



…………はい?

全身タイツ?

そして、パンツ?



私は手を止め

そろりと後ろを確認した



……っ!?!?



視線の先に居たのは

懲りもせずパンツを被ったドラコンと

金色の全身タイツを身に纏った小人



何、このおかしな光景……



最早、言葉も出ない



「あ……、ドラコンお前のせいで

見られたじゃねぇか」

「あぁ?なんだ?なんのことだ」

「前が見えねぇなら

パンツ被るのやめろ」

「やだね、……よいしょっと」



ドラコンはパンツの角度を器用に変え

本来は足が入るその場所から

顔を覗かせる



「あぁ……、なんだマリアのことか」

「お?なんだ、既に知った仲か

じゃあ見られても問題ねぇな」



いや?

パンツを被った小人と

全身タイツの小人は

色んな意味で問題有りじゃね?



「あなたもドラコンの仲間?」

違いないだろうが、一応聞いてみる



「おぅ、俺ドラコンバード」

「……え、よく聞こえなかった

バーコード?」

「っ!?」


私の発言に

目をまん丸くした全身タイツの小人の横で

ドラコンは大爆笑だ



「文字省いて並び替えてんじゃねぇぞ!?」

「いや、そう聞こえたんだって!」

「ド・ラ・コ・ン・バード!!」

「おけ、ドラコンバードね」

「おぅよ、ちゃーんと

耳かっぽじって聞いとけ」



ドラコンバードは

何やらブツクサ言いながら

不満気にしているが

私は一つの疑問を投げ掛ける



「ねぇ、ドラコンって苗字なの?」

「は?」

「だって、同じ名前が付いてるんだよね?

小人の世界ではよくある苗字?」



ドラコンとドラコンバードは

顔を見合せて

一斉にこちらを向いた



「ちげぇし!苗字じゃねぇし!

苗字にすんなし!」



そう言ってドラコンが憤慨すれば



「こいつより長くてかっけぇんだ!

俺の名前は!」



ドラコンバードは反発する



「お前が俺の名前を真似したんだ!」

「いいや!お前が俺の真似したんだ!」



私が撒いた種だが

埒のあかない押し問答に

堪らず口を挟んだ



「わ、分かった、分かった」

「分かればいいんだ、分かれば」

「紛らわしいから

バードって呼ぶね」

「……っ!?」



またもや爆笑するドラコンは

パンツの下敷きになって

腹を抱えて笑い

バードは「省略された……俺の名前」と

肩を落とした



「まぁまぁ、バード

いいじゃねぇか、今日はお前の

誕生日だし、思い切って改名しろ」

「阿呆、お前こそ

ドラコンパンツにでも改名しろ」

「パンツを馬鹿にするなよ?」

「全身タイツを馬鹿にするなよ?」



ん?誕生日?

そうか、小人にもそりゃあ

誕生日があるよね



「今日誕生日なの?」

「おぅよ」

「何歳になったの?」

「……え?」

「……え?」

「……俺、何歳だっけぇ?」



宙を仰ぎ

指を折る仕草を見せるバードだが



「二千……何百歳だっけぇ?」

「……二千!?」

「あー……、考えるのもめんどくせぇ

二十歳ってことにしとくか」



二千歳にも見えないが

二十歳にも見えない



ドラコンがいつか話していた

紀元前の話を思い出せば

納得もいくが

未だに夢を見ているかのような

感覚に陥る



それもそうだ

誰がこの奇妙な小人たちを

現実のものとして

受け止められるだろうか



しかし、実際に小人は

此処に存在していて

私の目の前でうろちょろしている



小人との出逢いを果たした私は

希少種なのかもしれない



「まぁ、とりあえず

誕生日おめでとうバード」

「……おぅ、ありがとな」



照れくさそうに

言葉を返すバードだが

私はというと

なんといってもその全身タイツ姿に

笑えてくる



「ねぇ、なんで全身タイツなの」

「俺の一張羅だ、特別な日だからな」

「……ドラコンはいつまで

パンツ被ってんの」

「俺の一張羅だからな」

「私のだっつの」



変な小人が二匹



だけどなんだか、楽しいと

思えている自分がいた



こんな毎日も

悪くない



そう思う私も

既にもののけ精霊に

侵食され始めているのだろう



誕生日おめでとう、ドラコンバード



新たな小人との出逢いに

私はそっと微笑むのだった

Mari・2023-02-05
物語&小説/from:Mari
小説
ドラコンは小さな恋人
第8話
コメディー
特別出演
私からの誕生日プレゼント
出逢い
おめでとう
独り言
ポエム
好きな人
仲間
ほっと一息
生きる

これらの作品は
アプリ『NOTE15』で作られました。

他に2作品あります

アプリでもっとみる

他に2作品あります

アプリでもっとみる

その他のポエム

独り言
963731件

恋愛とは
5487件

自己紹介
87481件

好きな人
303370件

437877件

ポエム
513261件

NOTE15の日
33344件

辛い
170955件

恋愛
186906件

トーク募集
76530件

失恋
103015件

片想い
219790件

死にたい
89508件

片思い
177895件

苦しい
54715件

同性愛
24027件

好き
193748件

寂しい
32045件

先生
107277件

悲しい
27763件

大丈夫
15432件

すべてのタグ