私には、最近一緒に狩りに行く男が居る
仲間と呼んで良いのか
唯の顔見知りと言うべきなのか良く分からない
何しろ彼は寡黙で言葉を話さないし
同じ依頼を受ける割には私を置いて走ったり
食堂で出会って同じテーブルに着いても
さっさと立ち上がって何処かへ行ってしまうのだ
…擦れ違った時でさえ、見向きもしない
初めは寡黙で無愛想な堅物だと思っていたけれど
まるで私が居ないかのように扱われると
彼は私の事が嫌いなのかもしれない、そう思うようになった
然し何回か狩りに出掛けてみると
不思議な事に彼は何時も私の受ける依頼に着いてきた
逆に私が彼の募集した狩りに着いていっても文句は言わないし
時には薬や採集の装備すら分けてくれる
初めの方は全く見向きもせず一人お供を従えて走っていく彼にも
一応は"顔見知り"程度に思ってくれるようになったのだろうか
其とも、単に私が目の端でちらつくように
なっただけなのことなのだろうか?
……そう思い始めた頃、二人で出掛ける狩りにも慣れて
何時もとは違う場所に行くことにした
強い風の吹く雪山で彼は何度か足を運んだことがあるらしい
地図があるにしろ
初めから慣れた様子で私を置いて駆けて行ったかと思えば
一人でせっせと採集し、気付けば私の後ろを歩いていたりする
"また今回も何時ものように物悲しい気持ちで終わるのか"
彼が何時もと違ったのはそんな事を思っていた矢先の事だった
彼が雪山の安全な小さな抜け道を案内し
私の採集を手伝ったあと、綺麗な星空を見せてくれたのだ
澄んだ夜空には幾千、幾万の星屑が散りばめられ
まるで神々の宝石箱のように美しかった
きっと、どの国の王が持つ宝石でもこの美しさには敵わない
…何時も何も言わない彼が私に星空を見せ
その素敵な風景と心遣いをしてくれたなら
誰だってきっと私のように胸をときめかせた筈だ
寒いことも彼に対しての不満も忘れて
私は星空を眺め子供のように嬉々としながら彼の方を見ると
隣に居た筈の彼は岩場で何かを発掘していた
___一体何なの!!!
私がそう思ったのは言うまでもない
…………
……………
…………………………
其の次の日も、其のまた次の日も
現在進行形で私は彼と一緒に狩りに出掛けている
きっと明日も、これからも、私は彼と出掛けるだろう
彼といると安心する
強い獲物が居ても彼が居たら倒せそうだと思うし
彼の、他人に見栄を張らず高慢な態度を取らない所が好きだ
……けれど、彼は未だに私と一緒に仕事前の食事をしたり
擦れ違い様に私の顔を見ることはない
前と違うのは、定期的にお互い足りないものを交換したり
必需品を贈り合ったりすることだけ
此処最近は仕事中置いていかれても『こう言う人だ』と
割り切ってしまえばそう胸が痛むことも無くなった
……それでも、私は毎日考える
"この人は、私の事をどう思っているのかしら?"
彼が私の事を嫌いなのか、嫌いではないのか
……私には、まだ判断がつかない