ファンタジー小説
運命の微笑み
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
『あっ見つけた聖蓮!!』
紅蓮の声が聞こえた。
隠れんぼはもうおしまいか
『勝手に居なくならないでくださいよ』
少し怒り気味で歩み寄る水蓮
『聖蓮がいないと僕たち弱いんだから』
笑いながら話す花蓮
『私たちずっと一緒なんだからねっ』
万遍の笑みで話しかけてくる嵐蓮
鮮明に見えていた風景が段々ぼやけていく
みんなの声もどんどん遠くなってしまった
...ん
重い瞼を開けると青い空が
目に飛び込んでくる
...なんの夢を見たんだっけ?
夢を見たことは覚えているのに
なんの夢だったかはさっぱりだな
そんな事を考えながら
重い体を起こして当たりを見回すと
近くに大きな街が見えた
次はあの街に行ってみるか
そう思いながら荷物をまとめた
私はゆき、如月ゆき。
あともう2つ名前があった気がするけど
その内の1つは忘れた。
私は今追われている身、
街には合わない真っ白なマントを
羽織りフードを深く被って
できるだけ顔は割れないように。
これが正しい事なのか私には分からない。
逃げ出すべきじゃなかったのかな
でも、私はもう一度みんなに逢いたい
名前も顔も覚えていない。4人の人達
でも逢いたいって感情は凄くあるんだ。
しばらく街中を歩くと掲示板に
張り付けてある1枚のビラに目が留まる。
「国家軍人の募集か...」
軍人になったら国が助けてくれるかな?
あまり期待は出来ないけど
とりあえず入隊してみようかな
軍人は
一般人の人向けの一般軍人と
魔法を使える人向けの特殊軍人と
精霊魔法を使える人のみの国家特殊軍人の
3種類あるみたい。
私は一般でいいかな。
一般なら募集要項を全て満たしている
問題はただ1つ。
顔が割れてしまうこと。
幸い奴らは私の事を__って
呼んでいたから名前は問題ない。
ただ顔は別だ。
とりあえず聞いてみよう。
そう思い、私は中央に立っている
大きなお城に向かった。
大きなお城の入口には
4人の軍人さんが立っていて、
私はその中の1人に
「軍人になりたいです。」とだけ伝えると
「まだ小さいから大人になったらね」
と言われた。
いや、私をなんだと思っているんだ
「...試験場を教えてください。」と言うと、
「ここは孤児院じゃないんだ」
と言われた。
他の軍人さんが
「ねぇほんとに軍人になりたいの?」
と聞いてきた。
みんなと服装が少し違う事に気づいた
少し偉い人なのかな?
かわいい系の少年って感じ(?)
一人称は僕って言ってそう。
私は黙ったまま頷くと、
「どうして軍人になりたいの?」
と聞いてきた。
なんって答えようかな、嘘はいけないから
「国に守ってもらえる気がしたからです。」
と言うとみんなが一斉に笑いだした。
最初に話した人が
「軍人は守ってもらうんじゃなくて
守るんだよ」と言った。
...いや知ってるよ
「ごめんなさい、言い方が悪かったですね。
私は国民の方を守る力を持っています。
しかし、自分を守る力は持っていません。
だから私は国民を守るので、
国に私を守って欲しくて」と言った。
するとさっきの可愛い少年は
「へぇ国民を守る力...ね」と言い黙り込む
少年軍人が少し考えた後
「いいよ、案内してあげる」
と言ってくれた。
「「「しかし」」」
他の3人が納得しなさそうに反論するのを
少年軍人さんは
「うるさいよ。」と言い止めた。
やっぱり偉い人だったのか
少年軍人が門に手をかざすと
門が自動的に開く。
魔法...? それとも...
「着いて来て」
少年軍人がそう呟きスタスタと
先に進んで行った。
着いた場所は大きな部屋
練習場か何かだろうか?
すると、殺気が3つこちらに向かってくる
...なんで!?
ちょちょちょ3対2は卑怯じゃないか!?
「僕は樹、今から試験始めるね。
今から敵襲が来るからそれから僕を
守りきれたら合格。」
さっきの少年軍人さんが
早口で淡々と自己紹介をした。
....は?
なんで樹さんを襲うの!?
すると、ドアが激しく開き
3つの殺気が押し寄せてくる、
?「樹...」
?「てめぇ仕事押し付けて逃げやがって」
?「樹くん...許さない」
あ、そういう事か
やばいこれ。
「「「地獄に堕ちろ」」」
という声と同時に3人が攻撃を出した。
あーっと、これは...?
とりあえず避けないと?
そう思い樹くんの手を握り
「壁」と呟くと、
私たちは大きな4方の壁に包まれた。
「え、なにこれ!? 壁!? 凄い凄い!!」
樹さんは凄いわくわくしてるみたい
いやそうじゃなくて、
「樹さんどうゆうことですか?」
「君採用する!! 」
どこまでも唐突だな。この人
「この壁を出たら1発だけ攻撃守って。
そしたら何とかなるから。」
何処からそんな自信が出てくるの?
まぁ1発だけなら...
「分かりました。
じゃあ手を貸してください」
そういい樹の手を握り
「解除」と言うと四方囲まれた
壁がバラバラに砕け散って
そして「相殺」とまた一言呟くと、
3人の攻撃が一斉に消えた。
「おい樹誰だよその白マントは!!」
「規格外じゃないですか?」
「強過ぎ」
...は?
強くはないよ?
「この子は軍人希望の子だよ。」
樹が「ほら挨拶して!! 」と私を前に押す。
「初めまして一般軍人希望のゆきです。」
・・・・・・
するとみんなの顔が固まった
「「「「...は?」」」」
みんなの声がはもる。
いや、何故そこまではもるんだ?
「いや、君一般志望だったの!?」
樹の声がやけに響いた。
当たり前じゃん
私の目的は奴らから
身を隠すことなんだから
「一般志望です。」
「いや、お前は国民を守るんじゃなくて
戦うべきだよ、俺たちはお前より弱い」
そう言うリーダーっぽい人
「あなたのような人材が
ただ国民を守るだけって勿体ないです。」
常に冷静な雰囲気を持つ人が呟いた。
「来て...欲しい」
この子は余り喋らなさそうだな
にしても、しつこいな
「私は一般軍人がいいんです。
前線にたったら隠れる意味がないでしょ?」
言ってから、しまった、と思った
「待って、ゆきは何から隠れてるの?」
樹が反応した
「この世界です。」
お願いだからこれ以上聞かないで...
「...そ...か」
動揺したように呟く樹さん
「浬、こいつを一般のところに届けろ」
「分かりました。」
あぁ採用されたみたいだな、
「隊長には片時も独りにさせるなと伝えろ」
え...なん...で
「了解です」そう言って恭平さんは
部屋を出る準備をし始めた
「今までずっと孤独だったんだろ?
もうお前が孤独になる理由なんてねぇよ
俺らが直接守れたら良かったんだがな」
そういいリーダーっぽい人は寂しく微笑む。
あぁこの人は純粋にいい人なんだ。
この人の為なら運命に逆らっても
いいかなって思えた。
「あの...」
私は控えめにリーダーっぽい人に
声を掛けてみる
「ん?なんだ?」
少し声を小さくして呟いた。
「やっぱり一般に行くのやめます。」
なんって言われるかな
「「「「は?」」」」
突然の一言にみんなの顔が
面白くなって少し笑っちゃった
「その変わりみんなが私を守ってください」
受け入れてくれるといいなっ
そう言うとみんなは万遍の笑みで
「「「「当たり前!!」」」」
と言ってくれた。
「では改めて国家特殊軍人通称
『時蓮』にようこそ!!ちなみに僕は樹で、
大地の精霊の加護を受けてるんだ
仕事の時は花蓮って呼んでね」
「俺は陽向、炎の精霊の加護を受けてる
仕事の時は紅蓮と呼んでくれ」
「僕は浬です。
水の精霊の加護を受けています。
仕事の時は水蓮と呼んでください。」
「...楓 ...風の精霊加護持ち...嵐蓮」
なんで...なんでこんなに聞いた事があるの?
思い出そうとしたら頭が痛くなってきた
視界がぐるぐる回ってそのまま転倒した
「おい!?」
誰かに受け止められた
あぁこの太陽の匂いまで懐かしい。
そう思いながら意識を手放した。
To be continue...?