#終点

こんな詩(うた)も音も
肯定も否定も未練も
四季折々の光彩も
何処にも残らない
暗闇が

果てしないほどの
暗闇が

答えだった

恋の終点は

『幸福』と『不幸』

どちらも幸せで

どちらも不幸なんだ＿

答えだった

答えだった

何もを手放して

微睡の奥深く

堕ちていく

ずっと笑うことより
笑われることに慣れてた

どれだけ足掻いても

崩れた崖には二度と戻れなくて

何も知らないほうがいいなら
何も教えてくれなくていい
妄想 死恐怖症 夜響症
特効薬は無気力か PTSD

いつか笑うことより
ずっと笑われることに慣れていた
感情 愛情 哀情
拾わずにいる
得て落とすよりいいや

座って電車に揺られていると

最寄り駅を通り過ぎて

そのまま逃げたくなるよね


あ、終点隣町だった

何も知らないほうがいいなら

何も教えてくれなくていい

何も知らない方がいい
なら何も教えてくれなくていい。

終点も無いような
果てしない闇の向こう

一歩ずつ確実に歩んでみよう。
そしたらきっと終点に辿り着く。

どんなに努力して結果を出しても
また試練が来てまた弱虫になる

朽ちかけた駅で
彼女は其の刻を待っている

其の手に古びた切符を
柔く握り締めた儘


ガタン ゴトン ガタン ゴトン


聞き慣れた車輪とレールの音
黄昏に溶ける様な列車

彼は言った

「必ず君に逢いに行く」

殆ど形見の様な其れを
彼女は眺めまた待つのだ



ガタン ゴトン ガタン ゴトン


重い目蓋をうっそりと開く

追憶の中に在った筈の其の音は
彼女の待ち侘びた愛おしい音

「...嗚呼」

はらりと零した言葉と泪

黄昏の向うの朽ちかけた駅で
彼女は幸福と愛を知った

恨み合って 叩き合って
妬み合って 乏し合って
探し合って 慰め合って
悔やみ合って 解り合った


こんな詩も音も
肯定も否定も未練も
四季折々の光彩も
何処にも残らない

暗 闇 が

何も知らない方がいいなら
何も教えなくえい