#練らない

僕がどんなに勧めても、
君は頑なに練ろうとしなかった。
あのときは不思議に思ったが、
今にして思えば、
練らないというのも、
一つの才能なのだ。

あなたが

今

やるべき

ことは、

練らない

理由を

探す

ことではなく、

練る

方法を

探す

ことなのだ。

あの夕方

僕は


「練らない」ことを

選んだ。



あの判断が

正しかったのか

今でもたまに

思い出して

悩むのだ。

密室に

年頃の男女が

二人きり…

中央のテーブルには

ねるねるねるねが

置かれている…

そのような状況下においては

むしろ…

練らないほうが

不自然なのだ。

多くの人は、「練りたい」と言う。

言うが、実行に移す人は、とても少ない。

練らない人たちは、想像の中で色が変わって、それで満足している。

そして、それは別に、悪いことではない。

もう練らないと決めたとき

私のねるねるねるねの

色が

変わった。

わたしは

ねるねるねるねを

練らないという

判断を

維持したのだ。

練っておいしいというのが本当だったとしても
あの魔女に指図されるくらいなら
私は練らないことを選ぶのだ。

あの魔女が
あなたのために
ねるねるねるねを
用意してくれたのに
あなたは練ろうとしない。
それ相応の理由があるはずだと
思って理由を尋ねても
あなたは口をつぐんで
何も語ろうとしないのだ。

今日は晴れて、気持ちのいい朝だ。
ラジオでは大型連休の混雑について報じている。
一方で僕は、アパートの部屋で、ねるねるねるねを練ることもせず、ただ居るのだ。

ルール１：
　　練れば練るほど、色が変わる。

ルール２：
　　こうやってつけて、うまい。


ねるねるねるねの基本ルールは、この2つだけだ。

それでも、なぜか練らない人が多いのが、現状なのだ。

魔女への警戒情報が出されて

夏だというのに

今年は

練らない人が増えたのだという。

無理もない。

せっかくの夏休みでも

練られてしまっては

元も子もないのだから。

ねるねる博士は、「練らない」という考えをメディアを通じて宣伝することを禁止する法令に署名した。近年、練らない人が増えていることが、社会問題になっているのだ。