𝐇𝐚𝐧𝐧𝐚🧸・2024-05-28
ポエム
義理の娘より
認知症
叱ってくれる人
否定してくれる人
強く言ってくれる人
褒めてくれる人
肯定してくれる人
優しく語ってくれる人
相手を思う気持ち
寄り添う気持ちがないと
どれもできなくて
してもらえなくて
得意な角度からでもいいから
たくさんの目と心と手で
大切な人を守る
ねじれる時があってもいいから
どうかこれからも同じ先を見つめて
大切な人を守るために
嘘は必要だ
時には心に鬼も必要だ
それでもやっぱり
ちくりと痛いままの心
大切な人を守るために
嘘は必要だ
時には悪者にも必要だ
それでもやっぱり
私には似合わなすぎて
それでもやっぱり
大切な人を守りたい
ちくりと痛いままの心を
私は責任をもって
自分でなだめていく
嘘つきにでも鬼にでも
悪者にでも私はなる
その覚悟を持って
貴方と向き合っているのです
だからどうか暖かな春を
縁側で一緒に
これからも感じましょう
お義母さんの記憶の中で
私はもう次男の嫁ではなくなってしまった
でも私の名前は呼んでくれる
どこの誰と入れ違っているのかは
私にはわからない...
ご近所の仲良しさんと
「あんたいい嫁もらって幸せだね」
「この子は娘みたいなもんで本当に幸せだわ」
こんな会話が出てくる
私の方が混乱しそうになる...
こんなに2人からの褒め褒めシャワーを浴びると
嬉しくもありプレッシャーでもある
褒められるほどのことでもない
わかりやすく恩返しを
させてもらえてる気持ちになれて私は幸せに思う...
けれどそう記していいのかは今はわからない
︎大切な言葉
ありがとうもごめんねも
愛してるも好きだよも
たくさん心の中にはあるの
心の中にははっきりとしていて
伝えようとするとぼんやりとして
ひとりでは輝けない言葉もあるの
言葉にしないと口にしないと
伝わらない伝えられない言葉もあるの
ほんの少し照れくさいね
ほんの少し勇気がいるね
伝わって欲しい人に限って
伝わらなかったり
素直になれなかったり
溢れそうな言葉と気持ちを
ぐっと飲み込んで
でもね。。
ふたりだから輝く言葉は
伝えられる時間に限りがあるの
言葉で態度で
ほんの少し勇気をつかって
目を見て手を繋いで
ほんの少し笑顔をつくって
真っ直ぐに伝えよう
真っ直ぐにみつめて
真っ直ぐな気持ちを
真っ直ぐに伝えるの
伝わらなくたってまぁ…いいの
いつかきっとふとした時
その言葉をあなたは思い出してくれる
私の家はどこ?明日帰ろうと思うの
電話口で不安そうなあなた
夜になると不安な気持ちになるよね
すぐに会いにいった
不安を口にしていたことも忘れて
ご飯を食べていたあなた
表情をみて少し安心した
触れた肩がちゃんと生きていた
暗くなると不安になるよね
会いに行ってよかった
不安に思っている事を聞いた
大丈夫だよと笑った 触れた
安堵したあなたの言葉と顔
おやすみの笑顔
また明日来るね 私の言葉
待ってるね あなたの言葉
私にできること
あなたのごちゃまぜの記憶や
言動をそうなんだってただ聞くこと
あなたが不安にならない
安心言葉をかけること
あなたに孤独だとか
そんなことを感じさせないこと
人生の先輩として敬い
あなたと共にたくさん笑うこと
ガタガタにむかれたりんご
義父はそれでも嬉しそうに
喜んで食べてくれた
口数少なく照れ屋で不器用な
そんな義父は嫁の私を
義母以外を名前で呼ぶことはない
そんな義父が、私を名前で
いつも呼んでくれた
孫のように感じていたのだろう
ツルツルにりんごをむけるようになった頃
義父は自分で創り上げたお家の中で
眠るように天国へ昇った
そんなお家で今はひとりで暮らす義母
一緒に夕飯のお買い物へ行くと
義父の好きなお刺身を買う
毎晩一杯呑む人だからと妻故の呆れ顔
義父はもういない
それでも一日置きにお刺身を買う
私はいつもそれを美味しそうだねと言う
もう一人のお嫁さんが言う
可哀想だし勿体ないからちゃんと言って
認知症なんだから適当に嘘ついてさぁ
と、自分をよく見せるための笑顔で言う
大切な義父のために夕飯を拵える
余ったお刺身は煮付けにしている
何が可哀想?どこが勿体ない?
義母の想いと義母の時間で
義母のお金で。。
何が可哀想?どこが勿体ない?
義母は大切な義父との記憶の中で
今を生きている
ちゃんと思いをもって生きている
何が可哀想?どこが勿体ない?
私もきっとそうなる
悲しみや寂しさを飛び越えたあと
愛する人との記憶の中で
幸せに生きられる
何が可哀想?どこが勿体ない?
視線は遠く首を傾げる
りんごジャムがいい感じ
おばあちゃんズを乗せ
おせんべいファクトリーへ
絶景を前に3人でソフトクリーム
お昼は3人でランチ
仲良しおばあちゃんズの
はちきれた笑顔と
パワフルの間で
なんて素敵な関係なんだろう
微笑ましくもあり羨ましくもあり
認知症という病名がついた
ただのそれだけ
おばあちゃんズ
お迎えに行くと
お風呂上がり艶々になってた
帰りにショッピング
刺激と情報量の多さに脳が疲れて
少し混乱し始めたお義母さん
お風呂に入ったことも忘れちゃった
連れて行ってくれてありがどうございました
他人行儀に私を忘れちゃったお義母さん
害はない、そう思ってくれるだけでいい
また一緒に行きましょうね
に、笑顔で手を振るおばあちゃんズ
認知症だと知っても変わらず仲良くいてくれる
ご近所さんにたくさんの感謝と
2人の時間と歴史 そこに触れられた
少し疲れたけれど今日は心いい日
この人は誰なんだろう...
でも私に害はないみたい
少しずつ顔と名前が
一致しなくなってきて
一緒にいるのが私な時もあれば
私じゃない時もある
ショックじゃないと言うのは
強がりかもしれない
けれど私と過ごした今日を
お友達に楽しそうに話す
そんなあなたに救われる
あなたが笑顔になれるのなら
私は誰だっていいのです
この人は誰だろう...
とっても怖いことだと思う
あなたに害はないこと
言葉と態度と行動で
安心して
笑っていてもらえるように
私には一生解けない
難解なパズル
今あなたと時間を共にし
一番そばにいるのは私
あなたの断片的な
パズルのピース
解けるはずがないのは
わかってる
でも解いてあげたいと
欲張ってしまう
心を込めてそうなんだって
言いたくて一緒に笑いたくて...
お風呂に行きたいお義母さん
お風呂に連れて行ってあげたい私
潔癖の私はお風呂へは入れない
だからと遠慮するお義母さん
ご近所の仲良しさん
2人でよくお風呂に行っていた
私たちはきんさんぎんさんだとよく笑う
この田舎で免許の自主返納という
勇気ある決断をした素晴らしいふたり
☆お義母さんの笑顔を見たい
☆お義母さんの喜ぶ顔が見たい
☆お義母さんを大切にしてくれる
ご近所さんにも恩返しがしたい
おばあちゃんズと私の珍道中
記憶にはもう残らないけれど
心が温かくなった感情は残ってくれる
とは言え初めての道...
私にはちょっとした冒険気分
予習復習はもうバッチリ!
私の願いが叶うドキドキ秋晴れの日
してあげてた気持ちに
なっていた自分が恥ずかしい
お義母さんはちゃんと
おかあさんだった
認知症とは言え
ちゃんとおかあさんだった
嬉しいなぁ...ありがとう
不出来な嫁だけれど
これからも日々お勉強
人×人として
私の愛する人を産んでくれた
お義母さん
私をかわいがってくれる
お義母さん
これからあなたは
色々なことを忘れて
出来ていたことが出来なくなって
性格も変わってしまうかもしれません
覚悟なんて持つ必要はないと
思うから、その時その時に
私がどれだけ寄り添えるか
どんな恩返しができるのか
一緒に迷いながら
一緒に探しながら
できるだけ笑顔でいて欲しいと思います
脳は萎縮してしまう一方かもしれない
けれど、丈夫な身体を活かして
一緒に歩んでいきましょう
残念ながら病名がついた所で
治るものでは無いけれど
私たち家族は
受け止める準備ができました
怖かったかもしれないけれど
病院へついてきてくれて
検査を受けてくれて、ありがとう
春には似合わない雪が降った日
愛する人のお母さん
2人で病院ドライブ
他愛のないお話で笑い声の車内
お義母さんが作り上げて
守り続けてくれた家族がいます
お義母さんの半分しか生きていない
頼りのない私だけれど...
私もその一員としてこれからも
一緒に生きていきましょう
過去を辿り将来を案じて
不安が押し寄せ眠れなくなった
今のこの気持ちは
今のこのボロボロの心は
いつしか覚悟となり
必ず私を強くしてくれる