#花丸

今年を、今を、生きている自分に

100点を。

花丸を。

今日も　悲しき世界の隅で　憂鬱と奏でる

路地裏には　明るい商店街とは　違う空気が流れていて

願っただけの夢と　少しの希望を抱いて

名前のない今日から　逃げ出したくて

そんな世の中で　今日も生きた自分に　"花丸"

小さな彼女は独り泣いていた。

欠けてる、足りない。
暗闇でひっそりと鳴咽を鳴らしながら、
100点になりたい、でもなれない。
幾ら頑張っても誰も見てくれない。
私には採点する価値もないんだ、と。

ならば私が採点してあげよう。
そう言って私は彼女の手を取り。
白く小さな掌にペン先をつけた。
描かれたのは赤色の大きな花丸。

彼女はキョトンとした顔で掌を見つめる。
それもそのはずだ。
そこにあるのは花丸だけで、
彼女の望む点数どころか、
数字の一つも見当たらない。

結局私も、採点してあげる、などと
大口を叩いておきながら、
その実、点数などつけていないのだ。

私もできた人間では無いから、
彼女が何点中何点かなんて見極められない。
だから私は花丸を一つ描いたのだ。
満点の意味を込めて。

この事を告げると、彼女は顔を顰めながら、
私は満点なんかじゃない、
私の想う理想に、全然なれていない、
そう怒鳴ってきた。

そう否定を続ける彼女に、
私も苛立ちを覚えていたのかもしれない。
私は彼女を説得させる様に、
彼女に言い聞かせる様に言った。

確かに理想に比べれば、
まだまだ足りていないかもしれない。
でも、理想の君の満点と、
今の君の満点は違うじゃないか。
私は今の君に満点をつけたんだ。
何とも比較せず、私の主観で。

今の君は、優れている部分もあれば、
欠けている部分もあるだろう。
でも君は、
それとしっかり向き合っているじゃないか。
逃げる選択肢もあるのに、
君は変わろうと、自ら険しい道を選んでいる。
頑張っている人に満点をつけるのは
至極当然な事だろう？

私がそう言い終えると、
彼女は声を上げて、また泣き出してしまった。

辛い月曜日を無事に終えた君に
花丸あげちゃう！！

今日も一日お疲れ様