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#葉桜の頃に君を想う

読んでると、
思わず胸がギュッとしめつけられる、
そんなポエムを集めました。

全7作品・



あたしがあたしで居られるのは

あとどれくらいですか_?


『葉桜の頃に君を想う』


さぁーっと爽やかな音を立てて

桜の葉が風に揺れる

4月半ばの空を見上げて

俺はふぅっと息を吐いた

どこからか聴こえてくるピアノ

よく響くその音を

柔らかく懐かしいその旋律を

俺は鮮明に覚えていた

なぜなら初めての彼女がよく弾いていた

“パッヘルベルのカノン”だから

滑らかな指運びが目に浮かぶ

優しく切ない曲調に

俺はたちまち連れ戻される

2年前のあの日

彼女と出逢ったあの日に…


-2年前-

俺はその日も

葉桜をひとり見上げていた

4月半ばの空、この季節独特の

爽やかで優しくて

でもどことなく柔らかい

この風が好きだった

「ねぇ、なにしてんの?」

少し低い、よく通る声に

思わず振り向いた先には

長い黒髪の女の人が立っていた

「えっと…

…誰?」

「あたし?

あたし、りなの、中村凜菜」

「そうじゃなくて、」

「ひどいなぁ、、

あたしのこと知らないの?

同じ学校なのに」

「えっ」

「3年の野口輝斗でしょ?」

「え、なんでそれを」

「ずっと見てたの

あたし、輝斗先輩が好きだから」


話を聞いてみると

中村凜菜は、図書委員の2年生だった

同じ委員だったのに

俺は全然知らなかったけれど

凜菜はずっと

俺のことが好きだったらしい

後輩とは思えない

はっきりとした物言いと

真っ直ぐなその笑顔に

俺は瞬く間に恋に落ちていた_

美丘・2020-04-24
葉桜の頃に君を想う
Prolog
♯1
小説

道路に散った
花びらの絨毯が

何気に痛々しく
車に轢かれていく

咲き誇る期間は
ほんの一瞬で

花火のように
葉桜に成り染めて

何だか憂鬱で切ない

君と別れて
面影を追うような

まだ心の奥では
夢を見て

もう手の届かぬ君を
いつも探している

逢瀬・6時間前
葉桜の頃に君を想う
タグを使わせて頂きました。感謝の言葉
失恋
葉桜
ポエム
面影



『葉桜の頃に君を想う』


凜菜と付き合って2ヶ月

俺と凜菜は

相変わらず図書委員だった

でも、どうでもいいかもしれないけど

図書室で一緒に過ごせる時間が

何よりも幸せだった

そのことに気づくのは

もっとずっと後、

手遅れになってからだけれど…


「あれ…なんで…

背伸びができない…」

「凜菜?」

「あ、輝斗くん…

あれ取ってくれない?

“また、次の春へ”」

「いいよー、凜菜って意外とチビ?」

「…はは、そんなんじゃないよ」

俺はこの時の凜菜の異変に

気づくことができなかった

ずっとそばにいたくせに

何も気づけなかった…


「ねぇ輝斗くん」

「ん?」

「あたしがあたしじゃなくなっても

あたしを好きでいてくれる?」

「え?」

「あたしね、病気なの

あたしが

あたしじゃなくなっていく病気」

「…え、でも…治るんだろ…?」

「ううん、治らない

今の医療では、

進行を止めることすらできないよ」

「そんな…嘘だろ?」

「嘘じゃない、嘘じゃないの」

「…凜菜」

俺はただ、

消えてしまいそうな凜菜を

抱きしめることしかできなかった
♡♡

美丘・2020-04-24
葉桜の頃に君を想う
♯2
小説

これらの作品は
アプリ『NOTE15』で作られました。

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『葉桜の頃に君を想う』


凜菜の病気のことを聞いた後も

俺は信じられなかった

あまりにも凜菜が元気だったから


「輝斗くん!

今から海行こーよ」

この頃の凜菜の自由さは

俺にとって迷惑でしかなかった

「あのなぁ…

俺は受験生なんだよ」

「だから何?

へぇ、そっかそっかぁ

輝斗くんはあたしより学歴が大事かぁ」

「そういうことじゃなk…」

「じゃあ、海に連れてってよ」

年の差が、しかもたった1年の差が

ここまで大きいとは思わなかった

「そんなに行きたいのかよ」

「行きたいよ

今年が最期かもしれない」

「でも、今日じゃなくてもいいだろ」

「今日じゃなきゃダメなの」

「そんなに行きたいなら

1人で行けよ!!」

珍しく大きな声を出した俺に

凜菜はとても驚いていて

「…いいよ、あたし1人で行くから」

そう言い残して立ち去っていった


凜菜が危ないと電話があったのは

その日の夜中だった

海で意識を失っていたという

俺は一緒に行かなかったことを

本気で後悔した

そして、心から祈った

今まで信じなかった神様に

凜菜とまだ一緒に居させてください、と
♡♡

美丘・2020-04-24
葉桜の頃に君を想う
♯3
小説



『葉桜の頃に君を想う』


凜菜はその日

静かに息を引き取った

その顔はとても安らかで

笑っているようにさえ見えた


今、あの頃と同じ葉桜を見上げて

ピアノが聴こえてくるこの場所で

俺は凜菜を想ってる

凜菜は初めての彼女だった

初めて心から好きになった人だった

今はまだ前を向けなくて

恋なんてとてもできないけれど

でも、いつか

いつかもう一度誰かを好きになるなら

きっとそれは

葉桜の下で出逢った人だ_


終わり


ここまで読んでくださった方

ありがとうございました
♡♡

美丘・2020-04-24
葉桜の頃に君を想う
♯Epilogue
小説

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