ハク 低浮上・2020-11-12
先生
秋恋
貴方の背中
貴方と初めて会ったのは
色づいた葉が少しずつ散ってきて
太陽の日が差し込んでくる
そんな6年前の秋でした
今貴方の隣は
誰がいますか?
言葉にならない言葉ばかり溢れ出て
もう声は届かない
先を歩いてゆく貴方の
後ろ姿は
近いようでとても遠い
背中でした
自分の骨ばった指が嫌だって
あまり手を繋ぎたがらなかったね
イルミネーションも寒いからって
ゆっくり見ることも無かった
今、わたしの隣にいる人は
すらりと綺麗な指をしていて
指と指を絡ませて
甘い笑顔を見せてくれる
とても幸せなの
幸せなのに
寒がりなわたしは
この季節になると
貴方の大きな背中に
あたたかさを求めたくなるの
抱きしめてくれた時の君の背中は
何処か寂しくて悲しい、
 ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄
でも、ほんのり暖かくて
 ̄ ̄ ̄
そんなことを考えていたら
君がもっと
愛しい存在になっていた。
 ̄ ̄ ̄
私に背を向けた
あなたはどんな顔をしていたのかな
私はいつも、貴方の背中を見つめてた。
貴方は、いつだって私のずっと先。
どれだけ歩こうとも、貴方はいつも豆粒のよう。
私は貴方の顔を知らない。
私の知っている貴方の姿は、悲しそうな背中と、透き通る様な淡い海の匂い。
貴方の顔を一度でも見てみたかった。
貴方と共に、走って、こけて、何気ない事で笑って見たかった。
でもそれは、今までも、これからも、叶う事は無いのだろう。
きっと、貴方の事だから、誰かも知らない私の事を、許してくれるのだろう。
私はいつまでも、貴方の背中を忘れないままでいる。
きっと、これからも。
いつも、いつまでも、貴方の幸せを願うばかり。
いつか、いつかの日のために。
貴方の分まで、私は笑って生きていきます。
貴方と幸せと呼べる日を、楽しみにしています。
いつか、いつかの日のために。