#迎えに来て欲しい

オレが帰ると だるい身体を起こし
散歩しようって 出て来る
髪の毛の抜けた頭に被った帽子は
数年経った今でも同じソファーの上にある

オレに掴まるように
手を繋いで 歩いた道
最後に入院するまで1年ぐらい歩いたから
季節の花達を少しだけど楽しめたっけ

その道を オレは今 1人で歩く
懐かしいなんてないけど
花々は目に付くし
当時 ヨメさんが言った言葉はずっと心に有るんだ

思い出の道は
思い出の言葉と共に
オレが滅びるまで
あの頃のまま心に残る

たった1人の味方が居てくれたなら
寄り添ってくれる人が居たら
どんなにか幸せで心強いだろうな

だから大切だと思う人が居たなら
そして困ってたり泣いてたりしたなら
もちろん僕は全力で寄り添う

でも残念ながら今の僕を大切に思う人は
何処にもいなくてそのあまりの現実に
暗く重い絶望感に打ちひしがれてしまう

漆黒の空の元いく筋も頬を伝う涙を
拭ぐってくれる人など居ない
差し伸べられる手の温かさすら思い出せないんだ