はじめる

#鏡よ鏡本当の私を教えておくれ

読んでると、
思わず胸がギュッとしめつけられる、
そんなポエムを集めました。

全1作品・

これは白雪姫が産まれる

数百年も前のお話。








「鏡よ鏡。
この世で1番美しいのはだあれ?」





“それは___ですよ。”





「ごめんなさい、
いちばん肝心なところが
聞こえなかったわ。
もう一度言って下さる?」





“いいえ。
聞こえなくて当然でございます。
私は何も申し上げてございませんもの。”





「あら。この女王の私に逆らう気?
今すぐ叩き割っても宜しくて?」





“別に構いませんもの。
ただいちばん美しいものは一生知る事が
できなくなってしまうだけですから。”





「あら。今日は私に反抗するのね。
別にいいわ。気分屋なのね。」





“いいえ。
この世で1番美しい人を
申し上げたいのは山々なのですが、
その人はまだこの世にいないのです。”






「あら。話の流れで“白雪姫”という子
だと言うと思ったわ。」






“それは私が
決めることではないと判断しましたの。
人によって美しいと感じるかは
それぞれですわ。”







「確かにそうね。では貴女の思う
この世で1番美しい人を
教えてくださるかしら。」







“先程も言った通り、私の思う
この世で1番美しい人はまだ
この世にいないのです。”








「貴女の言うことには矛盾が沢山ね。」









“私は世界を見た事がありません。
所詮鏡。貴女様にお仕えするのが
私の指令でございます。”








「そうね。貴女は
この部屋から出たことが無いもの。」









“なので私が知る1番美しいものは
貴女様なのです。”









「よく言ったわ。有難う。」









“でも今の貴女様ではありません。”









「なあに?」









“その偽りの仮面を取ってください。”










「あら。この私が
本当の私ではないと言いたいの?」










“私には分かります。
貴女様の魔法によって作り出された
私だからこそ貴女様の心の影が
私の心に映るのです。”









「心の影なんて私は持ってませんもの。」










“いいえ。誰しも影はあるものです。
光に影は付き物ですもの。
私はその影の貴女様がこの世で1番美しいと
感じるのです。”









「でも影なんて
美しいことなんかないと思うわ。
人は美しいとこだけ見せて生きるの。
醜いところは隠すのよ。」









“私はその醜いところが
美しいと思っていますの。
ダイヤの原石、というのかしら。
ありのままの自分で生きる人は
何よりも高価で美しいのです。”








「でも私魔女ですのよ。
人間には嫌われていますわ。
なのにさらに醜いところを見せるなんて。」








“さらに嫌われてしまうことを
恐れているのですね。”








「そんなことないわ。
産まれながらのこの力。
何かと役にたっているのよ。」








“私には貴女様がどんな生き方をして、
誰を愛して、誰を憎むのか。
何も分かりませんわ。
未来は見えませんもの。

ですが、貴女様の真の姿が本当に美しいと
言うことははっきりと見えております。
たとえそれが誰かにとって醜くとも。
それが誰かにとって狂気であっても。

私はその真の姿が
何より美しいと思うのです。”











「真の姿…。」










“私は真の姿なぞありません。
所詮鏡ですから。
ですが貴女様は美しい魔女。
私は貴女様を心から愛しております。
だからこそ
私は本当の貴女様を見てみたいのです。”











「私、愛してるなんて言われたこと、ない。
ずっと孤独だった、ずっと1人だった。
この魔法、のせいで。」









“目に涙が浮かんでおられますよ。
魔女は…”









「魔女は涙を流すと魔力を失ってしまう。
そしたら貴女も消えてしまう。」









“それでいいのですよ。
魔力という皮を脱ぎ、
本当の貴女を見せてください。”









「ダメよ。私を愛してくれた
貴女が消えてしまうじゃない。」









“これからの人生、私を忘れるくらい
誰かを愛すことになるはずですわ。
これくらいのことどうってことないです。”










「……。」












“ふふっ。流れてしまいましたね。
それでは私もそろそろ
失礼させて頂きますわ。”










「待って、消えないで。」











“………。”











「ねぇ、最後に聞かせて。
この世で1番美しいのはだあれ?」









“それはもちろん貴女様でございます。”















残るは切ない鏡の割れる音。

そして1人の美少女の姿。





___

聖琉・2021-10-12
ミニ小説
独り言
白雪姫
鏡に移る真自を
長い長い時を感じ
鏡よ鏡本当の私を教えておくれ

これらの作品は
アプリ『NOTE15』で作られました。

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