はじめる

#飽和したあの日に酔いしれて

読んでると、
思わず胸がギュッとしめつけられる、
そんなポエムを集めました。

全9作品・


ー 𝓣𝓪𝓰 𝓹𝓻𝓮𝓼𝓮𝓷𝓽 ー



個数制限無し、早い者勝ち

タグ合計100個あります(

__________________


ー menu ー



⊿恋愛系


完売


__________________



⊿切ない系


完売2つ目


__________________



⊿失恋系


初完売


__________________


⊿病み系



#哀の手枷に明日の足枷


#御仕舞を救いと見紛う程に


__________________


⊿儚い系


完売3つ目


__________________



⊿天体系



#雨催いな明日に愛の傘を


#蒼穹に唄った片時を君に


#時化空の隣、歩むは何者か

⇾しけぞら(荒れ模様の空)


__________________


⊿思い出系



#背負った過去の重みや如何に


#手繰った記憶の内側を此処に


#切り取って今日に潜ませたあの日


__________________



⊿御伽噺系



#蓬莱の玉より君との今を


#舞い踊る妖精に目隠し


#玉手箱に詰めたアイの反抗期


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⊿花言葉系



#いつか届ける白薔薇を此処に

⇾白薔薇 : 私はあなたに相応しい


_________________



⊿店主の気まぐれ系



完売4つ目


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気に入ったのあれば

遠慮なく持ってってください(

・2021-12-31
この僕、欠落品につき
君の面影に囁いた「アイしてる」
また「愛たい」ね
恋哀宣言の幕開けを此処に
色褪せたあの日に滲むは幻影
拝啓、フィルム越しのあの日
零れた蒼の水族館
さよなら過去と、逢えぬ君。
飽和したあの日に酔いしれて
アイ情揺蕩う世界にて
ベゴニア不足で哀致死量
青い春の中、君色の花を束ねて。
13月の記憶を辿り
可惜夜よ、永遠に咲け
空に掲げた計画表
しがない哀され者の独り言
冥王星にさえ届けと叫ぶ
あの日夢見た紅いゼラニウム
僕だけが知る昔話
君仕掛けの甘美な毒林檎
不揃いな切り口は哀故に
君に綴るヴァイオレットフィズ
ネオン街灯に馳せた愛しさ
黄昏時レクイエム
午前零時、君への好きが僕を喰らう
対価に羽の片割れを
ひび割れた過去に君へのアイ
この恋、独り芝居につき
しがない脇役A視点
曇天は僕を拒まない
流星群は眠らない
線香花火で描いた輪郭
センニチコウを君に一輪
この恋、月下美人の如く
恋と言ったら愛に来て
神さえ嗤う人生よ
過ぎ行く時は唐突に
雨上がり訪れた桃色の薔薇
月の眠りを待たずして
タグショップ
拝啓、僕の心に住まう君
朝焼けに謳った恋物語を此処に
過ぎ去った時の中、君を哀してる。
どうか、来世では途切れて
虚空だけを掴めるこの手は
恋した故、土砂降りの幕開け
捨てられぬ失った恋
失せ物の名は「希望」だとか
スターチスは案外脆い
夕暮れに君を唄う
泡沫の愛に縋っても
亡霊誘う子守唄
恋は脆いが、愛は不可解
溢れかけの好き、受け取り手不在。
カランコエ鳴り響くこの時に
ホトトギスに誓った心臓
途切れた紅い糸を喪った僕は
偽りが払う報酬は哀
哀愁香る静かな夜に
ひび割れたガラスの靴
命尽き果てた時は君と共に
永遠をも紡ぐ魔法の花を
虚像が心臓に追い付いた時
腐った明日より終わりが欲しくて
ランプの魔人に告げた仮面の裏
空白遺したいつの日か
君の温度だけが未だ__。
秒針がこのアイを刻む
泡沫の恋を朝焼けだけが見ていた
彗星の振る日は君とロマンス
君が欠けて、あの日に駆けて
過ぎ去った春は蒼かったようで
血と涙の珈琲は如何でしょう
恋は盲目だなんてさ
午前零時、カゲロウが消えた
咲き損ねた花の蕾
篠突く雨に君が滲む
悪夢に魘され逃避行
哀哀傘で独り芝居
木漏れ日が照らす水平線
やがて監獄となった夢物語
紅き灯火が示した一時
今宵、エキザカムを告ぐ。
希死念慮は唐突に
好きとイコールで繋いだ君
君と繋いだ瞬間に口付け
愛の贈り物、夢見心地
君への愛、積もっております
から紅のシンデレラ










【拝啓、


私が消えた世界を生きる君へ。】










半年。





私に残された時間はたったそれだけだと


告げられたのは1時間前。





思わず笑ってしまいそうになった。





けれど口角は固まったまま。





あんなに辛い治療を受けて、


あんなに嫌いな薬を飲み続けて、


あんなに強く離さないように


掴んでいた生が零れ落ちる。





それがあまりにも呆気なすぎて。





努力に意味など無いと知った瞬間は


まるで真っ暗な深淵に


放り込まれたような感覚だった。










𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃










余命が伝えられたあの日から


一週間が経った。





あれからひとりで色々と考えた結果、


私は長年の入院生活から


抜け出すことにした。





どうせ、放っておいても死ぬのだ。





入院していても


入院費が余計にかかるだけ。





家族には今まで散々


お金を使わせてきてしまったし


これ以上無駄なお金は使わせたくない。





そうお母さんとお父さんに伝えると


体に負担がかかることはしない事と


少しでも体調が優れない場合は


必ず言う事を条件に


了承してくれた。





「小咲(ちさ)ちゃん。」





荷物を片付け終え、


そろそろ行こうかと思っていた時に


聞き慣れた声が無機質な部屋に響いた。





扉の方を向くと、


顔に薄く痣があるにも関わらず


並外れた美しい顔立ちをした女性。





着用している白衣が


天使の羽のように見える。





「麗(れい)さん。」





彼女は今はもう担当医では無いが


私が入院したばかりの時に


お世話になった女性医師だ。





「退院おめでとう。」





「...おめでたくはないですけどね。」





少しの皮肉を込めて


無理矢理笑ってみせる。





何も麗さんの所為ではない、


ただの八つ当たりだ。





まだ受け止めきれていない感情が


暴走し出す。





「私、死ぬんですって。


笑っちゃいますよね。」





麗さんは目を見開くと


次の瞬間、瞳に涙を溜めて


私を抱きしめた。





「救えなくて、助けられなくて、


ごめんね...。」





麗さんの震える声が


直に耳に入り、脳に浸透する。





気づけば私は彼女の背中に手を回し、


子供の様に泣きじゃくっていた。





余命を告げられてから、


泣いたのは初めてで


つっかえていたものが取れたように


溢れ出した涙は


止まることを知らなかった。










𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃










ふたりで大泣きした後、


お互いの顔を見合って


酷い顔をしていると笑い合った。





「さっきは八つ当たりして


すみませんでした。





私の病気は麗さんの所為じゃないのに。





...今まで本当に


ありがとうございました。」





深々と頭を下げると


麗さんは赤くなった目元を抑えて


「残りの時間、大切にしてね。」


と、慈愛に満ちた言葉をくれた。





「はい。」





そして、纏めた荷物を持って


長い時間を過ごした病院と


入院生活に別れを告げた。










𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃










久しぶりに帰った家は


引っ越したての新しい


住居のように感じて


あまり落ち着くことができない。





「小咲。これタンスに


しまってあったんだけど使う?」





お母さんが長方形の


黒い箱を差し出して言った。





箱を開けると、銀色に輝く細い棒。





「...フルート。」





「小さい頃、よく吹いてたわよね。





最近は吹いてなかったし、


処分しちゃう?」





私の病気が発覚する前の幼少期、


と言っても小学生くらいか。





お父さんの知り合いの伝手で


大きなコンサートに


連れて行ってもらったことがあった。





あの時の感動は今でも忘れられない。





数々の音色が合わさって


ひとつのメロディとなり、


私の脳を心を震わせる。





ピアノ、ヴァイオリン、トロンボーン


クラリネット、チューバ、チェロ。





沢山の楽器の中で一際目を惹いたのは


綺麗な女性がフルートを吹く姿。





幼い私にはその光景が眩しくて、


思わず目を細めた。





コンサートが終わった後、私は


興奮で赤くなった頬を抑えながら


フルートを習いたいと


お母さんに言ったのを


今でも鮮明に覚えている。





あの瞬間、初めて私は


音楽の世界へ足を踏み込んだのだ。





「...吹く。」





何故、そう言ったのか


私にも分からない。





ただ、ただ吹きたいと思った。










𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃










フルートの入った箱を持って家を出る。





流石に家で吹くと


近所迷惑になると思ったからだ。





小さい頃、よくひとりで


行った場所まで徒歩20分。





住宅街の突き当たりを右に曲がって


すぐの坂道をしばらく行くと、


一面緑の小さな丘に出る。





人気が無くて、街が一望できて、


空気が美味しい。





私の秘密の穴場スポットだ。





丘の真ん中には大きな1本の


桜の木が立っていて


春が来ると桜の絨毯が出来る。





「よいしょ。」





その木の下に箱を置いて


フルートを取り出す。





フルートを吹くのは


かれこれ5年ぶりだ。





上手く吹ける自信どころか、


音を出すことが出来るかすら危うい。





でも、それでいい。





フルートを構える。





そっと指を添えて、肩の力を抜く。





あの頃、何度も何度も吹いた


あの曲を思い出せ。





血が滲むほどの努力をして


やっと吹けるようになった曲。





大丈夫、体は覚えてる。





新鮮な空気を


めいいっぱい吸って、奏でる。





高音が風に乗って葉を揺らす。





メロディが空へ昇ってやがて溶ける。





所々音が外れたり、


音にならないところがあったが


そんなことが気にならないくらいに


音を奏でるのが楽しかった。





ラスト一音を吹き終わると


一気に現実に引き戻される感覚に


襲われる。





これから私はフルートを


吹き続けることは出来ない。





フルートどころか


好きなことを続けることは不可能だ。





全て、全て病気の所為で。





果てのない虚しさが


蓄積して視界が曇る。





パチパチパチパチ





急に何かを叩く音が聞こえて、


ハッと顔を上げると


フルートの箱の隣に体育座りをして


拍手をしているひとりの男の子がいた。





色素の薄いサラサラの髪の毛が


風に揺られ、茶色の瞳が私を射抜く。





「フルート、だよね。」





薄い唇が弧を描き、


心地いい声が耳に通る。





「あ、勝手に聴いちゃってごめん。


ここに来たら聴こえたから、つい。」





さっきの柔らかい笑みとは


打って変わって


眉を下げ、申し訳なさそうな顔


をしている。





表情がコロコロ変わる子だ。





「あ、ううん。





私が勝手にここで吹いてただけだから。





こちらこそごめんね。」





慌てて私も謝る。





まさかこんなところに


人が来るとは思っていなかった。





「僕、1年前くらいから


毎日ここに来てたんだけど


先客が居たのは初めてなんだ。」





嬉しそうに目を細めて笑う。





まるで花が綻ぶように。





深淵に一筋の光が射し込むように。





なんて綺麗に笑うのだろうと思った。





「僕は駿(しゅん)。君は?」





「...小咲。」





気づけば彼の声に誘われるように


名前を口に出していた。





「ちさ...。」





「うん、小さく咲くって書いて小咲。」





「小咲か。可愛い名前だね。」





「へ。」





突然投げられた爆弾。





可愛いと言われたのは幼少期以来で


柄にもなく動揺してしまう。





「あ、えっと、ありがと?」





「はは、どういたしまして?」





首を傾げた私の真似をする彼は


いたずらっ子のような顔をしていた。





「...からかったでしょ。」





「なんのことかなー。」





わざとらしく目を逸らして言う彼を見て


ふっと小さく息が漏れ、


いつの間にか口角が上がっていた。





地獄のような入院生活を


過ごしていく内に


自然と笑えなくなっていたのに。





私、ちゃんと笑えたんだ。





ちゃんと生きてる。





「...小咲?」





気遣うような優しい声に


視界がぼやけていく。





「ふ、っぅ。」





瞳に滲む雫が堪らず溢れ出す。





フルートを胸にぎゅっと抱えたまま、


小さく嗚咽が漏れていった。





「ちょ、大丈夫?





どこか痛いの?」





サッとこちらに駆け寄った駿に


背中を優しくさすられる。





隣に立つと、私より


頭一個分背が高くて


スラッと足が長く、


スタイルがいいんだなと


呑気にそんなことを思っていた。





「...も、大丈夫。





どこも痛くないから。」





袖で強引に目元を拭く。





再び目にした青空はさっきよりも


鮮やかに見えた。





「ほんとに?」





「うん。





さっきは笑えて嬉しかったの。」





また自然と口角が上がる感覚。





駿といると何故か


不安や怖さが浄化されるようだ。





「笑えて嬉しい?」





駿の頭の上に


クエスチョンマークが見える。





「ふふ、うん。」





「...ふーん。変なの。」





「変じゃないよーだ。





さーて、日も沈んできたし


帰ろうかな。」





フルートを箱に片付けて


空を見上げると、雲が茜色に染まって


青い空を流れていた。





「...なんか明るくなったね。」





「......そう?」





体が軽い。





それはきっと彼が


本当の私を深淵の底から


救ってくれたからだ。






「またね、駿。」





今日1番の笑みで駿に手を振った。





その日をきっかけに毎日丘に行って、


フルートを吹いて、それを駿が聴く。





そんな瞬間が好きで、


生きてると実感できる。





私の日常に駿が浸透していく。





私が明日を生きるには


駿は欠かせない人物となっていた。










𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃










駿と出会ってから季節が変わり冬。





その日は曇天で今にも


雪が降り出しそうな天気だった。





「小咲。」





マフラーを巻いて鼻を赤くした駿から


放たれる私の名前。





それが今までの声色より


少し低く感じた。





「なーに?」





それに気付かぬふりをして


わざと明るい声を出す。





「...話があるんだ。」





いつもの柔らかい声と違って


緊張と悲しみが混じりあったような


固い声。





何故か聞いてはいけないと思った。





耳を塞いでしまいたくなる衝動を抑えて


何?と聞く。





そして、駿は白い息を


吐きながら言った。





「...僕、引っ越すんだ。」





ああ、やっぱり


耳を塞いでおけばよかった


と今更後悔した。





冷たい風が私たちを


突き刺すように吹いた。





「...いつ。」





震える声で問う。





「一週間後。」





私の日常が壊れていく感覚。





嗚呼、違う。





駿と出会う前の日常に戻るのだ。





また、深淵の底に


落とされて独りぼっちで


笑顔すら満足に作れないあの生活に。





「...やだ。やだよ。





駿、置いて行かないで。」





情けない声で吐いた言葉に濡れた頬。





きっと私は今不格好な姿に


見えているのだろう。





「ごめん...。」





駿はそう呟いて、


私を優しく抱きしめた。





冷たくなった体が


駿の体温で温められていく。





「絶対、絶対帰ってくる。





来年になるかもしれないし、


もしかしたら数年後に


なるかもしれない。





でも、必ずこの丘と


小咲の元に戻って来るから。」





来年、数年後。





そんな遠い未来に私の居場所はない。





私は、もう半年も生きられない。





何も知らない彼の言う未来の話は


私にはあまりにも眩しすぎる。





「私、」





来年はもう居ないの。





そう告げようとして、止めた。





「...じゃあさ、


タイムカプセル埋めようよ。」





何故、そう提案してしまったのか


分からない。





けれど、彼がフワッと笑うのを見て


提案して良かったと思えた。





一週間後、


私たちはクッキーが入っていた缶に


未来の自分への手紙を詰めて


桜の木の下に埋めた。





「僕が帰って来たら、一緒に開けよう。





約束。」





「...うん。待ってる。」





そう言って指を切った。










𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃










あれから3年。





彼はまだ来ない。





もしかしたら彼は私のことを


忘れてしまったかもしれない。





あの約束に執着しているのは


私だけなのかも。





頭の片隅ではそう思っているのに


私は今も待ち続けている。





桜が散り、ピンクの絨毯が


広がるこの季節も。





サクッと芝を踏む音に振り返ると


白いTシャツにジャケットを羽織り


黒いズボンと軽い服装をした


男性が歩いていた。





サラサラの色素の薄い髪に


整った顔立ち。





あの頃より背が伸びて


大人っぽさが増していた。





「駿...。」





「小咲。ただいま。」





耳に残る心地いい声は少し震えていた。





「遅くなってごめん。」





桜の花びらが舞う。





駿の瞳から溢れる雫を纏いながら


ヒラヒラと落ちていく。





「丘の入口に小咲のお母さんが居てさ


僕に教えてくれたんだ。





小咲は病気で3年前亡くなったって。





僕、何も知らなくて。」





ああ、なんて綺麗に


泣くのだろうと思った。





笑顔が綺麗な人は


泣き顔も綺麗だなんて知らなかった。





「駿。タイムカプセル開けてみて。」





この声が彼に届いたかは分からないが


彼はごめん、ともう一度呟いた後


涙を強引に拭いて


桜の木の下を掘り始めた。





「...あった。」





カラスが巣へ帰る時刻、


彼は汗を流しながら


クッキーの缶を手に


桜の絨毯の上に座った。





缶の中には二通の手紙が入っている。





駿が未来の自分に宛てたものと


私が未来の自分に宛てたもの。





「...え。」





そして、私が


未来の駿に宛てたもの。





あの日、私は未来の彼と


会うことは出来ないと悟り


もう一通の手紙を


こっそり入れて置いたのだ。





『拝啓、


私が消えた世界を生きる君へ。』





目を丸くした彼を見て、


思わず笑ってしまった。





私の最期のサプライズは


成功したようだ。





駿は丁寧に封筒から便箋を出し、


静かに読み始めた。





手紙には私が病気だったこと、


秘密にしててごめんってこと、


駿に出会って私の世界が変わったこと、


死ぬ最後の瞬間まで


私は幸せだったこと、


そして沢山のありがとうを詰め込んだ。





駿が最後の文を読み終わる頃、


ポタポタと雨が降った。





空は晴天で、


雲一つないのに雫が落ちた。





温かい雨だった。





「...小咲。」





「ん?」





「好きなんだ。





あの頃からずっと、


小咲が好きだった。」





雨を流しながら、


酷く優しい声で彼は言った。





私の体が透けて光の粒となり、


天に昇っていく。





「私も好きだよ。





死にたくなくなっちゃう


くらいにはね。」





そして私の意識は完全に途絶えた。










_Fin.

檸薇 椏霧・2022-03-20
拝啓、私が消えた世界を生きる君へ
感想ください
小説
前垢の投稿
駿編書く予告も兼ねて(
どんな未来が待とうとも
好きな人
別れ
滲む泪に枯れぬ花
飽和したあの日に酔いしれて











【薄紅の春に君の咲み】










また駄目だった。





僕の病気が発覚してから


大きい病院を転々として来たが、


未だに治せた病院はない。





今回も治療や入院を繰り返したが


治すことは不可能だと告げられた。





僕の病気は本当に治るのだろうか。





体が重い。





負の感情に押し潰されそうだ。





「...ん。駿(しゅん)。」





ハッと顔を上げると


曇った瞳に彼女の不満そうな顔が映る。





「あ、あー、何の話だっけ?」





「聞いてなかったの?





もうっ、これからは


リクエスト聞いてあげないからね。」





拗ねたような口調で


ぷいっとそっぽを向き、


頬を膨らませる。





そんな仕草が酷く愛おしい。





「ごめんごめん。





小咲(ちさ)に


吹いて欲しい曲があるんだ。





駄目、かな。」





わざと悲しげな声を出すと、小咲は


慌ててこちらを振り向き口を開く。





「え、あ、ちょっと


からかっただけだよ。





そんな顔しないで?」





「......ふっ。」





あまりにも必死な表情で


話すものだから、つい笑みが零れる。





「...駿なんてもう知らない。」





からかわれていたのは


自分だと理解した小咲は


立ち上がって背を向ける。





後ろ姿だけで拗ねてることが


分かる程度には仲良くなったつもりだ。





さてと、あれをやるか。





サッと立ち上がりわざとらしく言う。





軽くお辞儀をするのがポイントだ。





「小咲さん。





先ほどのご無礼をお許しください。」





「...本当に反省していますか、


駿さん。」





くるっと振り返り、


彼女もわざとらしく敬語を使う。





「ええ、勿論。」





「分かりました、貴方を許します。





顔を上げなさい。」





言われた通り顔を上げると


笑みを浮かべた小咲が


僕の方へ寄ってくる。





「小咲、この謝られ方好きだよね。」





「うん、お嬢様になったみたいで


気分いい。」





「左様でございますか、お嬢様。」





「左様ですわよ、駿さん。」





顔を見合わせてふっと笑う。





この時間が永遠に続けと願った。





幸せだった。





病気のことなんて


忘れられてしまうくらいに。










𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃










「駿、次の病院に行くわよ。」





母さんの冷たい声が部屋に響いた。





「え、」





「次の病院なら絶対大丈夫。





必ず治るわ、ね?」





僕の肩を強く掴んで


自分自身に問いかけるように呟く。





僕のことを見ているわけじゃない。





母さんは僕じゃなく、


父さんの跡取りが必要なだけ。





だから必死で病院を探す。





跡取りを失っては


母さんが父さんに甚振られるから。





大丈夫、慣れてる。





そう自分に言い聞かせる。





ただ虚しさが胸を突き刺す痛みと


握り締めた拳の爪が刺さる痛み


だけが鮮明だった。










𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃










次の病院へ行く一週間前。





曇天の空は今にも雪を落としそうで


まるで僕の心模様のようだ。





病気のこと、病院を行くことを


小咲に伝えるべきか。





丘へ重い足を動かしながら考えた結果


小咲には引っ越すとだけ告げた。





彼女は異常なほどに動揺して、


赤く染まった頬を濡らした。





「...やだ、やだよ。





駿、置いて行かないで。」





震える声で僕を求める。





愛おしい、可愛い、離れたくない。





引き寄せて唇を重ねて


好きだと言ってしまいたい。





そんな衝動に駆られるが


拳を握りしめて理性を保つ。





もしこの病気が治らなくて


死んでしまったら


小咲を苦しめることになる。





だから、僕のことを


簡単に忘れられるように


浅い関係のまま離れなければならない。





分かっている。





分かっているんだ。





「...ごめん。」





小さく呟いて、


彼女の冷えた体を抱き締めた。





一緒にいられなくてごめん。





抱き締めてごめん。





中途半端な僕でごめん。





「絶対、絶対帰ってくる。」





嘘だ。





「来年になるかもしれないし、


もしかしたら


数年後になるかもしれない。





でも、必ずこの丘と小咲の元に


戻って来るから。」





忘れて欲しくない。





確証もない口約束でいいから


彼女を僕という存在で縛りたい。





子供のような我儘だ。





「...」





彼女は苦しげな表情で何かを呟いたが


次の瞬間には明るい笑み


を浮かべていた。





「...じゃあさ、


タイムカプセル埋めようよ。」





小咲の提案を受け入れ一週間後、


小咲が持ってきたクッキーの缶に


未来の自分へ手紙を書き、


桜の木の下に埋めた。





「僕が帰って来たら、


一緒に開けよう。約束。」





「...うん、待ってる。」





これが僕と小咲の最後の会話だった。










𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃










今年で3年が経った。





小咲と離れてから3年。





僕の病気は完治した。





過酷な治療や成功率の低い手術を


受けて今も息をしている。





全ては小咲に会いたい一心で。





久しぶりにあの丘へ向かう


足は軽かった。





「...駿くん、ですか?」





丘の入口にひとりの女性が立っていた。





小咲の面影が重なる。





ふわっとした雰囲気を纏った


綺麗な女性だ。





「えと、はい、駿です。」





「小咲の母です。





3年前、小咲がお世話になりました。」





何故、小咲の母親がここにいるのだろう。





何故、僕を知っているんだ。





疑問が頭を覆う。





「...駿くん、


小咲に会いに来てくれたの?」





「え、あ、そうです。





3年前、丘でまた会おうって


約束してて。





覚えてるのは


僕だけなのかもしれないけど。」





僕の話を聞いた小咲のお母さんは


顔を歪め、目に涙を溜めて言った。





「小咲は...。





3年前、病気で亡くなったわ。」





頭を鈍器で殴られたかのような


衝撃が走る。





小咲が死んだ?





あんなに美しく音色を奏でていた、


あんなに明るく元気だった。





何故、何があったんだ、どうして。





「小咲は幼い頃から持病を持ってたの。





貴方に出会う少し前に


既に余命宣告を受けてた。





病名は、」





聞き慣れた名前だった。





僕が患っていた病と同じ名前だった。





同じ病だったのに、僕だけ生きてる。





小咲は死んだのに、どうして僕だけ。





頭が真っ白で目の前がぼやける。





小咲、小咲、小咲。





「...行かないと。」





丘の芝に踏み入る。





真ん中に立つ桜の木は満開で、


周りには桜の絨毯が出来ていた。





「小咲、ただいま。





遅くなってごめん。」





3年前の小咲の面影に話しかける。





当然声は返ってこなくて、それが


僕に小咲が死んだ事実を突き付けた。





「小咲のお母さんが丘の入口に居てさ


僕に教えてくれたんだ。





小咲は病気で3年前亡くなったって。





僕、何も知らなくて。」





何も知らなかった。





小咲が僕と同じ病気で、


余命宣告を受けていたこと。





あの日、彼女は全て悟っていたんだ。





自分の命がもう長くはないことも


二度と僕に会うことが


出来なくなることも。





それなのに僕は、


待っていて欲しいだなんて


我儘を彼女に言ってしまった。





未来に絶望する痛みを


僕は知っていたのに。





彼女を傷つけたのは他でもない僕だ。





「駿。タイムカプセル開けてみて。」





柔らかい声が頭に響いた。





嗚呼、嫌な幻聴だ。





僕の理想が作り出した幻聴だと思うと


吐き気がする。





「...ごめん。」





流れ続ける涙を無理矢理拭い、


タイムカプセルを埋めた


木の下を掘った。





日が沈み出した頃、ようやく


缶を取り出すことができた。





桜の絨毯に腰を下ろし、


錆び付いた缶を開ける。





中には手紙が二通。





僕が未来の自分に書いた手紙と


小咲が未来の自分に書いた手紙。





「...え。」





『拝啓、


私が消えた世界を生きる君へ。』





そう書かれた三通目の手紙が


二通の手紙に挟まっていた。





震える手で封を開けると


綺麗な字がびっしりと書かれた


便箋が入っていた。





『未来の駿へ。





この手紙を読んでいる時、


私はもう死んじゃってるかな。





駿には秘密にしてたんだけど、


私、小さい頃からの持病で


余命宣告されてました。





ごめんね、約束したのに


一緒にタイムカプセル開けられなくて。





私、余命宣告された日に駿と出会って


世界が変わったの。





自由にフルートを吹いて、


駿がそれを聴いてくれる時間が


唯一生きてると実感できた。





だからありがとう。





いっぱいいっぱいありがとう。





駿と出会えたことが幸せでした。





駿もそうだったらいいな、なんて。





...貴方は私の生きた理由でした。





どうか私の分まで生きて、


幸せになってね。





過去の小咲より。』





「...小咲。」





想いが溢れる。





今日、小咲に伝えたかった言葉が


嗚咽を混じえながら散っていく。





「好きなんだ。





あの頃からずっと、


小咲が好きだった。」





桜と共に咲いた君へ。





絶対に君を忘れない。





口約束なんかじゃない。





これは確信だ。





必ず君に逢いに行く。





だからもう少しだけ待っていて。





手紙の最後の文を指でなぞりながら


桜の木に誓った。










𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃










『追伸





待ってるから、来世もその先もずっと。





もしまた出逢えたら、


絶対私から好きって言うから


覚悟しておくことっ。





大好きだよ、またね。』










_Fin.

檸薇 椏霧・2022-03-22
薄紅の春に君の咲み
感想ください
拝啓、私が消えた世界を生きる君へ
を読んでから読むことをおすすめします(
小説
君の隣
どんな未来が待とうとも
好きな人
別れ
滲む泪に枯れぬ花
飽和したあの日に酔いしれて

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創作










「君にとって神様はどんな存在?」



いつも唐突に始まる彼女の問いかけに

今日も僕は頭を捻る。



「...残酷で情がない奴。」



「そっか。」



「あんたにとっての神様は?」



「可哀想な人、かな。」



「なんで?」



「みんな都合のいい時だけ感謝して

都合の悪いときは恨むでしょ?

神様だって辛くなるし

悲しくなると思う。

きっと神様は人にとって

ヒーローであり、悪役なんだ。」



彼女はまるで神の心情を

直接聞いたことがあるかのように

雄弁に語る。



「だから、残酷で情がない人だなんて

言わないであげてね。」



そう言って哀しそうな笑みを浮かべた。

檸薇 椏霧・2022-01-16
飽和したあの日に酔いしれて
創作
空を見上げて
神様
独り言









超絶短編小説(

【神様に愛された片翼の天使】










「俺さ、死のうと思ってるんだよね。」





「は?」





放課後の帰り道。





いつもより少し硬い笑みが


夕日に照らされる。





「まじ?」





「まじ。」





「ふーん。へー。そっか。」





適当に返事をしてから


先を歩くマサの腕を引っ張る。





小麦色の肌を思い切り抓ると


痛ってぇ、と涙目で睨んできた。





「何すんだよ!?」





「お前が死なねーって言うまで


やり続けてやる。」





「はぁぁぁあ!?


意味分かんねーよ!!」





グッともう一度力を入れると


五月蝿かった口をきゅっと結び、


痛みに顔を歪める。





「痛っ!?


お、おい、アキ...。」





抵抗しようとしたマサの声が


中途半端に消えた。





視界がぼやけて、目の前のマサが滲む。





「ア、アキ?


なんで泣いてんだよ。」





マサの腕から手を離して


目元を強引に拭こうとすると


今度はマサに腕を掴まれた。





「おい、なんで泣いてんのか


聞いてんだけど。」





「お前が、死ぬだなんて、


言うから、だろ。」





声が震えて上手く言葉にならないが


意味はちゃんとマサに伝わったようで


目を大きく開き、


気まずそうに首の裏を撫でる。





「わか、わーった。わーったよ。


死なない。死にません。」





「よし、言ったな。」





ニヤッと為て遣ったりの笑みを


見せつけるとマサは今置かれた状況を


理解したようで真っ赤に顔を染めて


俺の胸をポカポカと叩いてくる。





「てめぇ、騙したな!?」





「勝手に騙されたんだろーが。」





「ふざけんな、馬鹿緋輝(あきら)!!」





「うっせ、阿呆雅也(まさや)。」










𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃










あの会話から一週間後、


マサは空に飛んでった。





嘘つき。嘘つき。嘘つき。





死なないって言った癖に。





俺も母さんも父さんもクラスメイトも


みんな泣いてるっていうのに


マサだけが穏やかに笑ってる。





それが酷く俺を苛立たせる。





「悪い、ちょっと外の空気


吸ってくる。」





隣に座っていた母さんに一言告げて


葬式場を後にした。





空は泣いていた。





神様もマサのこと好きだったんだな


なんて柄にも無いことを考えた。





今なら泣いてもいい気がした。





神様もマサも、


今俺が泣いても赦してくれっかな。





頭に巻いていた包帯が


濡れて気持ち悪い。





頬に貼ったガーゼが剥がれかける。





「一緒に死んであげられなくて


ごめんな。」





灰色の空を見上げると


温かい雨が涙腺を濡らした。










_Fin.

檸薇 椏霧・2022-04-07
神様に愛された片翼の天使
感想ください
駄作
小説
短編小説
どこにいるの?
雅也sideも書くかも()
独り言
飽和したあの日に酔いしれて











創作










「急にね、胸にぽっかり穴が空いて

目の前の色が暗くなって

痛いの、心が痛い。

ああ、これが死にたいって感情なんだ

ってずっと前から思ってたの。」



雲ひとつ無い快晴を見つめる

彼女の瞳には雨が降り続けている。



「でも、最近違うんだって知った。」



「え。」



ふとこちらを向いた彼女の瞳には

雨上がりの濡れた太陽が映っていた。



「私、寂しかったの。

本当の私を見て、抱き締めて

受け入れて欲しかっただけだった。」



寂しげに笑う君が妙に綺麗で

今にも溶けて消えてしまいそうな程に

青空に馴染んでいた。

檸薇 椏霧・2022-01-14
飽和したあの日に酔いしれて
創作
独り言
死にたい
空を見上げて









短編小説

【双子の天使は片翼で飛ぶ】










俺の双子の弟は神様に愛されていた。





テストは毎回満点。





運動神経抜群だし、


顔もスタイルも良い。





漫画でよくあるような完璧な奴だった。





両親は平等に俺と弟を


愛そうとしていたが


無意識に弟を贔屓している。





それもそうか、俺は平凡な奴だ。





俺を愛する理由があるわけ無い。





神様を憎んだこともあった。





何で弟は完璧なのに


俺は出来損ないなんだ、


神様も弟を贔屓するのかって。





それが無意味だと知ってからは


自分の無力さを


神様の所為にするのは止めた。





そんな人生もそろそろ終わりにしよう。





俺が死ぬ一週間前の学校からの帰り道。





弟にだけ自殺することを告げた。





弟は泣いてくれた。





俺が死ぬと言ったら泣いてくれたんだ。





いつも劣等感を抱いてた相手が


俺に死ぬなと言った。





嬉しかった。





俺の死を嘆いてくれる人がいることが。





けれど俺の決意は揺らがなかった。





むしろさっさと


死んでしまおうと思った。





生きていても何にもなれない俺が


死んだら誰かの記憶になれるんだ


と思ったから。





俺は弟にその場しのぎの嘘を吐いた。





しかし、その嘘は


自殺を決行する一週間後


バレることになる。





午後九時、自宅マンションの屋上。





マンションは10階まであり、


飛び降りるには適した場所だ。





完璧な自殺になるはずだった。





飛び降りようとした時、


弟が俺を止めなければ。





「マサっ、何やってんだよ!?」





「アキ、なんでここに...。」





「今日様子おかしかったし、


急に屋上行ってくるとか言うから


嫌な予感したんだよ。」





双子の弟にはバレバレってことか。





「死なないって言ったじゃねーか。」





月明かりに照らされたアキの頬には


透明な雫が流れていた。





「...また嘘泣き?」





「ちげーよ、馬鹿。」





端正な顔立ちが


台無しなくらいに泣きじゃくっていた。





それを見ると何故か胸が痛い。





目が熱い。





「マサだって泣いてんじゃねーか。」





アキが泣きながら笑う。





それにつられて俺もぎこちなく笑う。





溢れそうだった雫が遂に零れた。





「アキの所為だよ。」





何もかもアキの所為だ。





いつだって俺を苦しめるのも


救うのもアキだ。





でもそれも今日で終わらせる。





「悪いけど、


俺は先に神様に会いに逝くよ。」





「駄目だ、俺が許さない。」





「アキに許されなくてもいいよ。」





アキに背を向け、一歩踏み出す。





アキは焦ったように


俺の名前を呼ぶが無視した。





そしてもう一歩。体が浮いた。





「マサっ!!!!」





アキが俺を追って空を飛ぶ。





まるで羽根が生えた天使みたいだった。





アキは俺をぎゅっと抱き締めて言った。





「一緒に死のう。」





俺はアキを突き放し、また引き寄せ


アキの頭を腹に押さえ付けて


抱えるような体勢で落ちていく。





「お前と死ぬなんてごめんだな。」





そして俺の体は


アスファルトに叩きつけられた。










𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃










案の定、俺は死んだ。





人間の死は案外呆気ないと知った。





弟のアキは生きている。





一緒に落ちてきた時は驚いた。





俺が咄嗟にアキの頭を守ってなきゃ


俺もろとも死んでたかもな。





アキにはこれからも


生きてもらわなくちゃならねぇ。





彼奴の能力なら


これからの人生楽しめるだろうし、


何より死んで欲しくなかった。





我が弟よ。





お前は俺を救えなかったことを


悔やむだろう。





優しい奴だからな。





でも俺はそんなことを望んじゃいねぇ。





幸せな人生を生きろ。





生きて生きて、


じいちゃんになったら来い。





その時はこの天国とやらで


一緒に今までのこと語ろうぜ。





一緒に死ねなくて悪かった。





愛してるよ、家族として


いや、兄として。










_Fin.

檸薇 椏霧・1日前
双子の天使は片翼で飛ぶ
二人で一人ってやつ意識した(
感想ください
駄作
小説
短編小説
どこにいるの?
独り言
飽和したあの日に酔いしれて











創作










「私、しあわせになっちゃ

駄目なのかな...。」


傷だらけの身体が痛々しく、

暗い君の瞳からは哀が流れ出す。


「幸せになっていいんだよ。」


ただ純粋に

幸せになって欲しいと願った。


哀を流す君を憐れに思ったからか

ただ自分の僅かな良心が作動したのか

自分でもよく分からない。


「ありがと。」


微かに微笑んだ君に少し安堵した。





一週間後、彼女はしあわせになった。


黒に囲まれ、安らかに眠る彼女は

まだ塞がりきっていない傷なんて

全く気にならない程に美しかった。

檸薇 椏霧・2022-01-24
飽和したあの日に酔いしれて
創作
一人になると
花が散る
幸せ
ポエム











創作










貴方を独り占めできる

金曜日の22時


甘い言葉はくれるのに

愛の言葉は囁いてくれないのね


乱れて乱されて

こんな関係駄目だなんて知ってるの

貴方が私を愛していないことなんて

分かりきってるの


握り締めた貴方の左手

薬指の指輪が私を嘲笑うかのように

妖しく光るから

檸薇 椏霧・2022-02-06
飽和したあの日に酔いしれて
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