「まいどっ」
屋台のおじちゃんの威勢のいい声が響く
りんご飴を買った
今、私はお祭りに来ている
…これから大好きな君と会う
冗談っぽく
「ねえ、お祭りさぁ一緒にいかない?」
って言ったんだ。
そしたら君は
「いいよ」って
一瞬びっくりしたけど
嬉しかった
そしたら君は
友達に「ごめん、今度の祭りコイツと行くから行けなくなったわ」って言った
…友達との約束断ってまで…
申し訳ないけど嬉しかった
そして今
君との待ち合わせまでまだ時間がある
それでりんご飴を買った
久しぶりの浴衣
君の為に髪型も可愛くした
食べながら待ち合わせ場所に行く
すると1人、境内に座ってる人がいた
目を凝らして見ると…
君だった
浴衣を着て、腕を組んでいた
…妙に色っぽかった
君は私を見つけると
「早いな」
って言って、近寄ってきた
そして、私のりんご飴を持っている手を上から握り
食べかけのりんご飴を一口食べた
「?!?」
「美味しいじゃん」
か、間接キス…
美味しいとかそれどころの話じゃない
やばい、これは…
そんな私の心情を気づいたのか気づいてないのか
君はニヤッと笑って
「間接キス…しちゃったね」
なんていたずらな笑顔で言った
「も、もう!馬鹿!」
そう言って君を叩くと
君は笑いながら
さりげなく手を繋いでくれた
…ドキドキする
付き合ってもないのに…
手を繋いでくれるなんて…
期待しちゃっても…いいのかな
なんて思いながら君と二人で屋台の方に向かう
「俺さ」
君がふいに言った
「好きな人と…浴衣デートするの、夢だったんだよね」
…
え?
「好きな人、と…?」
「そ、好きな人と」
「へ、へえ。そうなんだ」
君が突然立ち止まる
人混みの真ん中で。
そして、こっちを見て
「あのさ、まだ気づかないの?」
と言った
「え、…」
すると君は
「あのさぁ、俺の好きな人…」
と言い、口をつぐんだ
私は沈黙が気まずくなり、りんご飴を食べた
すると君は
決意を固めたように
突然
私の唇に
キスをした
びっくりした
周りにいた人たちも、こちらを凝視している
「?!」
三秒くらいのキス
君は私を見つめている
驚きすぎて、声が出ない
口がパクパクと動き
心臓が、ドックンドックンと激しく脈打つ
唇に意識が集中する
君は、
唇をペロッと舐めて
「りんご飴の味する」
って笑った
そして、
優しく私を抱き寄せ
耳元で
「俺の好きな人、お前だから」
と言った
こんな人混みで、恥ずかしい
…でも
それ以上に
幸せだと思った
秘密さん・2018-08-09 #浴衣デート #夏休み #夏祭り #妄想全開 #絵の具の創作 #好き #片想い #キス #君と #幸せ #りんご飴 #恋 #恋愛
