#救いようがない

『雨恋.11』

君は

こんなどうしようもない私の、

救いようのない私の、

そばにいてくれる人。

まちがいを叱ってくれる人。

優しく抱きしめてくれる人。

私の傷も過ちさえも受け止めて、

一緒に泣いてくれる人。

私に本当の愛を教えてくれた人。


寂しくて孤独だった私と、

いつも一緒にいた仲間たち。

私達はみんな、似たもの同士だった。

親に愛されない、

周りから見放された寂しさを、

一緒にいることでまぎらわそうとした。

本当の自分でいられる場所を探した。

私達は何にも悪くないんだって、

どんなに周りから悪者扱いされても

堂々としていたあの頃。

でもそれは、傷を舐め合い、

慰め合うだけで、

まちがったやり方で大人たちに

反抗していた子供の

世界でしかなかった。

あの頃は、状況を変える力も、

踏み出す勇気も何もなかった。

ケンカばかり繰り返して、

何をやっているのか自分に

問いかけることもあった。

なんで生きてるんだろって。

未来に幸せなんて、あるのかなって。

足もとも見えない暗闇の中を

彷徨っていただけだった。

そんな暗闇の中を歩く私に、

光を照らしてくれた人。

好きだとか、愛だとか、そんな感情は

私には必要ないと思っていたのに。

私はいつか変わろうとしていた。

テストの点
カラオケのレパートリーの数　
lineの友達の数
内申点
お小遣いの金額
インスタのフォロワー数
体力テストの点
ファンマークを付けてる人の数
持っているCDの枚数
今までの恋人の数
出席日数

どんな数字を使っても
その人自身の価値は計れないのに

人生ゲームに振り落とされないように
私たちは自分に数字を付け続け
人の数字を比べ続ける

なんだか虚しいこの世界は
もう救いようがないの？

ままならなく
光など見えない盲目の中

無色透明な日々に花を添えて

やがて来る絶望から逃げよう

灯し火みたいな幸せに

すがりつくしかない哀れな女