花笠海月・2021-11-26
会いたい
頭文字を縦読み
あなたからの手紙を見る
いち番はじめの 言葉は
たいした事じゃないけれど
いま すぐ あなたに
こう庭のトラックに
すなが吹き荒ぶ
もやが晴れて 空砲が鳴る
すたーとを切った 視界の端で揺れる
なん億光年先から 光り輝く星よりも
がめんに写りこんだ 君を
れんずに収める
ぼうえん鏡を覗きこむ 君が 急に
しりうすの方を 指差して 叫んだ
よるの街に あてられた
ふりをする
かえって すぐ 上着も着たまま
していする プレイリストは
めの前は 高い壁 この先に
いきたいだけなのに
きた道を少し 引き返す 選択肢は
ゆん手か馬手か
うつろう心 まるで
くうはくの期間
ずっと 待っていた
れんらくの最後に 別れの言葉
るすの隣に 牡丹が そっと
あさ早くから
けいたいも 放り出して行くわ
ぼーとしてたら 置いていかれちゃう
のりこみながら 呟く 春は
つれない態度をとっているのも
よるに独りで泣いてるのも
がんばってるのも 知ってるから
りくつなんかより 俺を呼べよ この
ぶざーが鳴る さあカーテンコールだ
たい役を任された 俳優たちが
いち早く 暗幕から飛び出して行く
うらやましい 彼処に立ちたかった
らん気渦巻く スポットの当たらない
そめい吉野の落ち葉と
まるい鍋で ぐつぐつ煮る
るろうの心 君色に
きたの果て 氷の大地で待つ
よみが当たらず もう三日
つのる眠気と
こおりそうな角膜を解かす
うかび上がったのは 緑色に輝く
たか台へ 君が駆ける
そらは すでにオレンジがかって
がらすの先の 瞳も見えない
れんずを君に向けた 背景は
ひだまりのテラス席
とれーを運ぶ 君の頬が
りんごみたいと 口に出た
ごまかされてくれ
とりあえず 君に こう 答えた
あかい手を擦り合わせる
さりげ無く 息を吹き込んだ
やけに 寒いホームで
けい笛を待つ 君の横顔を照らすのは
あさのニュースは 晴れだって
いってたはずなのに
あい憎の通り雨
いち縷の望みをかけて 鞄の底を探る
がらんとした下駄箱で
さし出された左手と ぶっきらぼうな