伊田よしのり・2日前
ポエム
クリスマス
ねるねるねるね
クリスマス・イブのイブとは
イブニングのイブであって
アダムとイヴのイヴではない。
つまり
ねるねるねるねは
練れば練るほど
色が変わるのだ。
ね る ね る ね る ね で い い
ね る ね る ね る ね が い い
たった 1文字 で、 印象 は
大きく 変 わ る の だ 。
「死ぬ気で練れよ、死なないから」
という言葉があるが、
私は賛同しかねるのだ。
確かに死にはしないだろうが、
がむしゃらに練ったところで
色が変わらなければ
意味がない。
人生で2回目の
ねるねるねるねを
練ったのだ。
私の心に置き忘れたねるねるねるねを
取り返しに来てほしい。
そして最後まで
練りきってほしいのだ。
成果を出せと
上司からプレッシャーをかけられたが
ねるねるねるねを練れない人の言葉は
私には響かない。
クリスマスの約束を
あの人が破ったので
ねるねるねるねの
味がしないのだ。
しかし私は、
クリスマスに
カップルを目撃していないのだ。
公園はイルミネーションが飾られて
いたが、カップルらしい人たちは
いなかった。
ということはやはり
カップルたちは部屋で
ねるねるねるねを練っていたと
考えるのが自然だろう。
地球温暖化とはいっても、
さすがにこの時期、
外は寒すぎる。
もういくつ練ると
お正月
つまり
ねるねるねるねは
練れば練るほど
色が変わるのだ。
とかく現代人は
練りすぎなのだ。
練らずに大人しく眠ること…
それが、意外に難しい。
その昔
まだ国家という概念がなかった時代
クリスマスには
あの魔女も
ドンタコスも
ポリンキーも集まって
仲良く過ごしたものだった
しかし
国家が誕生し
お菓子という枠組みが誕生したことで
彼らはライバル同士になってしまった。
それでも彼らは
いつかお菓子という枠を超えて
再開できる日を信じているのだ。
クリスマスの朝
あなたの枕元に
ねるねるねるねが置かれていた。
つまり、あなたは
あの魔女から
選ばれてしまったのだ。
来年のクリスマスには
あの人と二人で
ねるねるねるねを
練りたいのだ。
クリスマスが終わると
いよいよ年末ムードなのだ。
そろそろ
練り納めの人も
いるだろう。
私がねるねるねるねを練り切る前に
あの人は去ってしまった。
せめて色の変化だけは
見届けてほしかった。