1月
・部活紹介の練習
小6への部活紹介の練習
あの頃はまだ打楽器も下手で
合奏の度に掴まっては
先生によく怒られていた
自分が先輩になる自覚なんか
1ミリもなくて
いつも末っ子感覚で
どんな時だって先輩が守ってくれるから
その後ろにくっついていた
2月
・校内ソロコンテスト
・新1年生の部活見学
1年生優勝を逃した
先輩は審査員特別賞受賞
あの「千本桜」は
マリンバの温かさと
先輩の力強さや優しさが創り出した
“本当の完璧 ”だった
先輩の姿は本当にかっこよくて
今でもはっきりと覚えている
小6の部活見学で演奏をした
あの時はまだ先生が指揮を降っていて
2ヶ月後に1年生が入って来た後も
この光景がずっと続くんだと思ってた
3月
・先輩達の引退式
・顧問の異動
別れの多い時期だった
パーカッションの先輩2人と
私を救ってくれた大好きな先生が
学校からいなくなって
1人でずっと泣いていた
4月
・新しい顧問が来た
・先輩の立場になった
新しい顧問が来て早々に揉めた
先生に戻ってきて欲しいと
いつも1人で泣いていた
初めての後輩が出来たことで
私もそうして貰ったように
今度は私が後輩を守っていこうという
先輩としての責任感を感じた
5月
・課題曲、自由曲の決定
本格的にコンクールの練習を始めた
先輩からsoloや目立つパートを
任せて貰えてことが誇らしかった
少しずつ成長していく後輩の姿を
近くで見ていられることが幸せだった
6月
・吹奏楽祭でsolo
・強豪校との合同練習
初めてホールのステージでsolo
緊張で手が震えて
思い通りの演奏に出来なかった
強豪校で指導を受けて
自分の無力さを知った
7月
・吹奏楽コンクール
先輩と一緒に出られる最後のコンクール
金賞まであと少しの銀賞だった
大泣きする私の隣で
先輩は必死に涙をこらえていて
その横顔を見ていことが
何よりも苦しかった
せめて最後くらいは
一緒に笑いたかった
8月
・秋祭り、体育大会、文化祭の練習
突然、後輩が体調不良で
ほとんど部活に来なくなった
初めてのドラムの練習に必死で
声をかけてあげることも
全然出来なかった
9月
・引き続きイベントの練習
・役職決定
後輩が一度だけ部活に来た
先輩の代わりに練習を見た
私が教えたことをすぐに覚えてくれた
体育大会の曲はベランダ練習
青空の下でスネアを叩く先輩は
すごく楽しそうでキラキラしてた
1年生の頃から目指してきた
部長にはなれなかった
1年半やってきた学年代表をやめて
先輩から楽器運搬リーダーを引き継いだ
とにかく悔しかった
「大丈夫」なんて言いながら
私に吹部の未来を託してくれた先生への
申し訳なさで1人苦しんだ
10月
・体育大会、秋祭り
どのイベントも先輩と出られる最後で
楽しいはずなのに寂しかった
ギリギリまで信じてみたけど
後輩と本番に出ることは出来なかった
11月
・文化祭、音楽会
・アンサンブルコンテスト
体育館で演奏してsoloもたくさん出来て
それでみんなが楽しんでくれる
あの瞬間が楽しかった
先輩の最後の姿を目に焼き付けていた
音楽会をもって先輩は仮引退
先輩の前では泣かないつもりだったのに
我慢しても涙が溢れてきた
先輩と話せたことだけは嬉しかった
二度目のアンサンブルコンテスト
直前にメンバーが2人出られなくなった
それでも
「次のアンコンは唯一経験者の私が
みんなを引っ張って行く」
先生との最後の約束を叶えるために
前だけを向いてきた
本番は散々で結果は銀賞
銀賞で少しでも安心した自分が
とにかく悔しかった
去年のメンバーの先輩達には
謝ることしか出来なかった
あの夜部屋にこもって1人で泣いていた
12月
・クリスマスコンサート
・後輩の退部
中学最後のクリスマスコンサートは
殺人事件によって出場辞退で終わった
悔しかった許せなかった
前日まで練習して
見に来てくれる先輩達や先生達の応援に
応えようと思ってた
事件のことも知らず学校に行って
泣き崩れることしか出来なかった
二学期、後輩は1回しか部活に来なかった
それでもいつかは来れるって信じて
時々、声をかけながら
「ズル休みだ」なんて言う2年生に
ミーティングで必死に頭を下げて
「これ以上、言わないで」と説得した3日後
私のたった1人の後輩は吹奏楽部をやめた
とにかく苦しい1年間だった
それでも私はこの場所で
残り1年間を過ごしていく
そこに
先生や先輩、後輩がいなくても
今の顧問と
1人の同級生と
新しい後輩達と共に
打楽器と吹奏楽に
誰よりも真剣に向き合っていく
中学最後の1年間には
後悔が残らないように