マンションの広告には書かれているキャッチコピー。それらはどこかポエムのようです。
「マンションポエム」と名付けて、インターネットを通して、このコピーに面白さを見出す人が増えています。
ここでは、書き手が意図しないところで生まれるポエム性について見ていきます。
マンションポエムは、写真家・ライターの大山顕さんの発見です。
2013年、デイリーポータルZに掲載された記事で、大山さんはマンション広告のコピーに独特の詩のような空気が漂っていることを紹介しました。
この観察が共感を呼び、「マンションポエム」という言葉はネット文化として広がっていきました。
マンションの広告コピーは、本来は販売促進のための文章です。
ですが、多くの広告には次のような特徴があります。
これらが重なることで、広告としての実用的な文章でありながら、読み手にエモさを感じさせます。
書き手の意図とは関係なく、受け手がポエムとして感じてしまう。
マンションポエムは、ポエムが読み手によって生まれること(「ポエムとは何か」の記事で説明しています)を象徴する例でもあります。
マンション広告は、書き手も読み手もポエムを書こう、読もうとは思っていません。
にもかかわらず、言葉と写真の組み合わせによってポエムに見えてしまう。
そのズレが、「マンションポエム」を「面白い」ものにしています。
マンションポエムには、ポエムとして書かれていないものが、ポエムに見えることへの面白さがあります。
大山さんが「ポエムに見える」と指摘したことで、共感が広がっていったのは、その見た目に理由があったのです。