ここなっつ・2019-03-02
footprint
人生
「あしあと」。
ある夜 男が夢を見た。
自分は死んでいて、そして神さまとともに居た。
自分の一生涯を表す砂浜が見えた。そこには、ふた組のあしあとがあった。ひとつは神さまのもの、もうひとつは自分のものであった。
男は気づいた。人生のところどころで、あしあとが、ひとつだけになっていることに。
男は尋ねた。
「神よ。わたしが人生でいちばんつらかったあのとき、何故あなたは、わたしをひとりにしたのですか?」と。
神は答えた。
「愛する我が息子よ。大切な子よ。あなたが人生でいちばんつらかったあのとき、わたしは、あなたを背負って歩いていたのだよ」
作者不肖。