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#ぴったり200文字で小説書いてみようチャレンジ

読んでると、
思わず胸がギュッとしめつけられる、
そんなポエムを集めました。

全278作品・

【逃避行】




フラペチーノ片手にアスファルトを歩く。セーラー服のスカーフが風に揺れた。



塀の上でうたた寝する猫。



少し逸れた道の、小川の音。




白い雲がのったり流れている。



木漏れ日の匂い。




バス停の少し掠れた文字。



ミスバニーのキーホルダーが揺れる。いつもは重い学生鞄も、今日は何にも入ってない。






明日の予定も、あの人への返事も、今だけは少し遠くにいた。






地面を蹴った。ふわりと舞い上がるスカート。


















身体が、浮いたみたいに軽かった。

無月・2023-05-14
ぴったり200文字で小説書いてみようチャレンジ
小説
雲隠の月
学校
テスト勉強が嫌だという気持ちです、はい

【逃避行】


雨が降っていた。

部屋の窓から外を覗く。窓越しでも分かる冷たさが空気を包んでいる。世界に私だけのような錯覚がする。

目を閉じた。水音だけが響いていた。


「お嬢様」


不意にかけられた声に振り向く。頬に熱がこもった。


「なあに」


「そんなところにいては、風邪をひいてしまいますよ」


心配そうな微笑みを浮かべ、両手をそっと広げられた。

何も言わず、腕の中に引き込まれる。









部屋中に温かさが広がる。










世界には私達しかいなかった。

無月・2022-11-23
ぴったり200文字で小説書いてみようチャレンジ
小説
テスト勉強してたはずなんだけどなぁ?おかしいな
反省はしてます。後悔はしてません。
雲隠の月



あなたの踵を追うことを、逃避行と名付けてみた。


喧騒に塗れた僕の青い世界、1マイル踏み外したら静かな街へ、知らない路地へ。

あなたは僕のマエストロ、あの音にも手が届くってあやうく錯覚するところだった。

積み重なった言葉に宿る温度も、溶けていくグラスの氷も、僕だけに向けられた視線も、思い出して縋りたくなるうちは、僕を一番憎む僕からは逃げられないのに。

いいんだ、僕の音は僕だけのもの。誰かのための人生は脆い。

ふぇるまーた.・2023-02-06
笑ってね
想い
ぴったり200文字で小説書いてみようチャレンジ
五線譜と原稿用紙

これらの作品は
アプリ『NOTE15』で作られました。

他に278作品あります

アプリでもっとみる




夜の駅には居座れる場所などなくて、マクドナルドは行列。スケボー集団には文句ひとつも言えないし、ここじゃ歌だって歌えない。

工事現場の側にはおでこを擦り合わせた高校生カップル、大人気ない私は何度も振り返って眺めてやる。キッツいな。安い恋愛。また知りもしない他人のことを馬鹿にした。

鬱チェックの高得点に苦笑する自分が更に嫌になるような日々。通学路の交差点に戻ってしまったら、やっぱり私がいちばん惨めだった。

夕日色。・2023-07-17
ぴったり200文字で小説書いてみようチャレンジ
―ひと想い。
創作
小説

やるしかない。俺にはお前しかいないと思っていたあの頃はこれで終いだ。煙草を吸うあいつの後ろに立ち、銃口を向けた。小刻みに震える右手を左手で無理矢理押さえつけた。泣いてた俺を何も言わず手を引いてくれたお前。苦しいことも辛いことも、楽しかった日々だって全部お前がいた。だがこれからの思い出はいらない。俺がやれば苦しまずに死ねるんだ。俺の手で、お前が引いてくれたこの手で、お前を殺る。

「じゃあな、兄弟」

氷輪・2023-09-28
ぴったり200文字で小説書いてみようチャレンジ

【選択】



川の向こう側の、電車の窓の光を見た。




車体もレールも周りの空気も、闇に滲んで何も見えない。空に浮かんだような、淡く、鮮やかな光。






無意識に、私の手は伸びていた。










視界が闇に滲んだ。










目が覚める。私は電車の中にいる。



誰もいない車内。レールの規則的な音が、よく響いて耳に届く。





紙袋いっぱいに詰め込まれた林檎が、一つ床に落ちた。






小さな駅に停まる。ぽつりと立つ電灯。目が眩み、思わず手を伸ばした。



















視界が、闇に滲んだ。

無月・2023-05-03
ぴったり200文字で小説書いてみようチャレンジ
小説
雲隠の月
人生





『遠い夢を見ないように』



眠れない。
未だ慣れない、自分のものとは違うシーツの匂い。音を立てないように気を付けながら右側に身体を向ければ、柔らかなオレンジの光の中、いっそ憎らしいほどに健やかな寝顔が浮かんでいる。


僕だって、僕等なら、何でも出来ると思っていたよ、ずっと。髪をそっと撫でてから、手に手を重ね、包み込んだ、貴女はまだ夢の中にいる。さよなら、未来は思い出のようで昨日のようだ。せめて、今夜だけでも微笑んでいてね。



おやすみ

夕日色。・2023-03-10
ぴったり200文字で小説書いてみようチャレンジ
小説
創作
―ひと想い。

うっすらと勘づいていた。隻眼。眼帯。黒いスーツに胸元を開けたワイシャツ。今までそういう人に会ってきたからわかる。きっと、私とは違う世界で生きているのだと。でもあの人は。あの人だけは違う。あなたはそこに居るべきじゃない。手を伸ばせば暗黒だ。誰も触れることが出来ない闇だ。居るべきじゃないなんて言えない。だからせめて隣にいてくれているときだけは、時間を忘れてしまえばいい。闇をかき消せる存在になれたなら。

氷輪・2023-09-28
ぴったり200文字で小説書いてみようチャレンジ

その人に会った瞬間、一瞬にして色づく世界。その一方で胸がぎゅっと痛いほど締め付けられる。目を見開くと前よりも穏やかに笑うあなたがいた。その眼差しが春の陽射しのようで、私のような屑になぜそんな穏やかな顔をするのと過去の私を殴りつけたくなる。と同時にそんなあなたの優しさに悲しくなる。「久しぶり」私たちはお互いの手を合わせる。数秒触れ合った手がまた離れていく。まるで自分の手に花びらが乗ったみたいだった。
『桜色の恋』

氷輪・2023-10-11
ぴったり200文字で小説書いてみようチャレンジ
桜の羽を纏う君

「背、伸びなかったね。」
「うん。」
私は精一杯の嫌味を言った。
ここで一つ勘違いしてほしくないのが、私の精一杯の嫌味が"こんなに可愛い訳がない"ということ。私の精一杯はあくまでも、その場で嫌味ということがバレないギリギリのラインという意味だ。嫌味はその場でバレてはいけない。別れた後、ふと思い出したときに「そう言えばさっき嫌味を言われたな…?」と思わせることこそが嫌味の極意だと私は思っている。

陽_ひぃ・2022-11-28
ぴったり200文字で小説書いてみようチャレンジ

【幕切れ】


好きだけで、一緒にいられるわけじゃない。

彼氏と一緒にいるあの子を見かけるとき、つくづく思う。

可愛いあの子。私だけが知っていたあの子。


あいつはどこまで知ってしまったんだろう。


あの子の笑顔を思い出す。
心に穴が空く音がした。



私だけの教室で、あの子の席に座る。
机に相合傘が書かれていた。



私の喜劇は幕切れ。エンドロールも流れてしまった。

続編は流れてこない。



あの子の机に口づけする。














「せめて君だけは、幸せでいて」

無月・2022-12-04
ぴったり200文字で小説書いてみようチャレンジ
小説
片思い
だからテスト期間に小説を書くなとあれほど
雲隠の月

「久しぶり、映画なんて」と笑う妹。チケットを握りしめて向かう足取りは羽が生えたみたい。座ると後ろから声がする。「こんなところ来るべきじゃないのに」そんな声が暗い館内を埋め尽くす。上映中、頬には唾。嘲笑。怖くて、怖くて逃げることも出来ない。そんな差別、生まれた頃から受けてきた。「おにいちゃん」小さく震えた妹は俺の手を握る。何も悪くない。俺たちは何も悪くないよ。俺は妹の手を握り返す。いつか抜け出せる。

氷輪・2023-10-01
ぴったり200文字で小説書いてみようチャレンジ

焼け焦げた臭い。パチパチと弾ける音。さっきの爆発音からするに乗ろうとしていたあの人の車が燃えた。もう生きていない。ざりざりと迫る知らない靴音。隣から呻き声。ああ、私殺されちゃうんだ。ぶっきらぼうな声。少しあの人に似た腕。彼とは逃げる生活をしてきた。その数日は良いものとはいえなかった。でも、「とにかくあいつを信じろ」と燃えた車から声がした気がした。ここで終わってしまうんだ。ふつりと記憶が途切れた。

氷輪・2023-10-01
ぴったり200文字で小説書いてみようチャレンジ

「兄さんの場所が分かったぞ」返事をする暇もない。白杖をつき早足で兄のいる場所に向かう。急げ。足を止めるな。10年前に生き別れた兄。この街に来ていると知ってから5年。それでも全く会えず、もう死んでしまったのかと思った。この街に来てから辛いことが山ほどあった。目が見えなくなったのもこの街に来てからだ。でももう大丈夫。兄がそばにいてくれさえすれば、また生きられる。ここで足を止めては兄に会えない気がする。

氷輪・2023-10-02
ぴったり200文字で小説書いてみようチャレンジ

【魔性】


貴方の薬指が掌に触れる。少しの沈黙と溜息の後、硝子玉を扱うように、ゆっくりと指が絡まった。

「寒いから、さ」

そう、言い訳のように呟く。木枯らしが顔を撫でた。

「指、温かいんですね」

「懐の、カイロのせいだよ」

目を逸らして、貴方は答える。紅潮した耳。寒さのせいだろうか。

「私、好きですよ」

必要以上に甘ったるい声を出す。貴方の、真っ赤になった顔。


胸のときめく音がした。


















『私が好きで堪らない、貴方のことが大好き』

無月・2023-01-28
ぴったり200文字で小説書いてみようチャレンジ
小説
雲隠の月
江戸川乱歩の『孤島の鬼』読みました
諸戸道雄に心をやられた

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