#花

眠れない夜に襲う寂しさ

貴方も眠れずに咲いてるのね

貴方が倒れてしまっても

決して踏まれないように

私の傘を貴方に贈ります

花が目を合わせてくれるなら

私は下を向いたままでもいいかなって

この命が散ってしまっても

君が永く咲っていられるように

私は最期まで咲っているからね

私が枯れるときには

どうか貴方に包んで欲しい

恋心とは呼ばないで

恋心にはならないで


花咲く前の、色つく前の、膨らむ前の

名前も種類も不明な好意


ぼやけた輪郭を揺らす淡い花

拾われたかった訳ではありません

踏まれたくなかっただけなのです

貴方の心に私が残れるのなら

枯れることに後悔などあるはずもないわ

貴方を幸せにできなかった私に

貴方との幸せを願うことは

許されることなのでしょうか

「枯れるまで愛してね」

枯れたら愛してはいけませんか

枯れてから水分を与えたって

意味なんてもうないのね

今は踏まれるような草であってもいつか

化けて強く見える花になってやるわ

今夜は私にもどうか彩りを

完成する頃には化けてるかしら

咲いたら完結じゃないわ

咲いてから続編を描くの

地面に色彩を与えて絨毯の完成

花たちは寝っ転がって空を見上げてる